これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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10/05
2015

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タテにデザインする

“タテの経営”に、“タテの発想”。
近頃のビジ達にタテを多用していること…
皆様気付かれただろうか?

この場合のタテというのは、
過去や未来、今などの時間軸を基本に、
哲理哲学や理念を長い目で見据えることだ。

この“タテ”という概念の
重要性について考えていたところ、
とある人物を思い出したのでご紹介したいと思う。
宮大工の西岡常一棟梁である。

西岡棟梁は法隆寺の昭和の大修理に参加され、
薬師寺の大伽藍の復元工事に一生を捧げた方だ。
職人としての技術だけに留まらず、
人間性も含めて多くの人たちから認められている。

私の記憶だと、あのNHKのドキュメンタリー番組、
『プロジェクトX』にも早くに登場していたと思う。

これほど偉大な功績を持つ西岡棟梁なら、
数多くの仕事が舞い込むと思うものだが…。
実は、代々法隆寺の宮大工を務める西岡家では、
大工の仕事だけでなく稲作や畑作も行っているという。

神社仏閣では何百年に一度の修復や災害による破損があるものの、
そう頻繁に宮大工が手をいれる機会は少ない。
そこで宮大工としての仕事が無い時は畑や田んぼを耕していたそうだ。

超一流の腕がありながらも、西岡家では
神社仏閣以外の建築物を手がけることはなかったという。
その理由は、ずばり「手が荒れる」から。

つまり、一度楽なものを造ると
腕が鈍ってしまう…ということのようだ。

ビスや釘を用いた簡便な工法に慣れてしまうと、
それまでの釘を一本も使わない、
千年ももつような木を組む技が廃れてしまう。

したがって西岡家の宮大工たちは民家などを造らず、
その技術を保ってきたというわけだ。

これはまさに“タテの発想”。
この発想を貫くからこそ、
その技が次の世代に継ぐことができる。

すなわち西岡棟梁は“タテの発想”で
自らの人生をデザインしてきたのだ。

以前ビジ達でご紹介した「吉田カバン」の創業者、
吉田吉蔵氏も“タテの発想”だと言えるだろう。

国内での職人育成を重視し、
コストの安い海外での生産を行わなかったお陰で、
現在まで国内での鞄作りの技術が受け継がれているのである。

吉田氏もタテの発想をし、
タテの生き方を意識したのではないだろうか。

他にも老舗と言われる企業は
“タテの発想”が基礎にあることが多い。
例えば高級フルーツ店の千疋屋総本店には家訓があり、
不変の価値観をつなぐことを徹底している。

それは「勿奢、勿焦、勿欲張」だ。
この価値観だからこそ、代々続いて来れたとも言えるのだ。

石川酒造も代々の当主が記した日記により、
過去の先達たちを想い、自らの役割を考え、
“タテの生き方”を実践しているのだ。

拡大ではなく継続を目指したことが、
長く続く企業の秘訣なのだろう。

このようなタテの発想の生き方やビジネスに反映させることを、
私は“タテにデザインする”と表現したい。
私の肩書き“経営デザイナー”にもあるように、
ビジネスや生き方を“デザインする”という発想はとても重要。

ここで改めて自分の生き方が、そしてビジネスが
“タテ”になっているかどうか考察してみてはいかがだろう?
そしてタテに再デザインしてみよう!

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西岡棟梁の著書

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選ばれるビジネス

10/05
2015

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ピンを知っての追求

まず、湯飲みを4つ用意し、1つに熱湯を注ぐ。
次に、その湯を他の湯のみに1つずつ注ぎ変え、
湯冷ましにする(目安は湯飲みを手で持ち続けられる温度)。
そして、できた湯冷ましを
10グラムの茶葉が入った急須に注ぎ、きっかり1分20秒。
温めておいた湯のみへ最後の1滴まで注ぐ。
すると… えっこれがお茶?
甘~くて丸~い味が口の中に広がるのだ。

これは、京都に行った際に
一保堂茶舗にてレクチャーされた、
100グラムで1万円という
最高級玉露「天下一」の淹れ方だ。

このようなひと手間かけて
淹れた玉露を一口飲んでみる。

すると、いままで味わったことのない
苦味のないまろやかな味わいが広がり、
目からウロコの状態だった
(いままで飲んでいたお茶は何だったのか…)。

ここでふと思い浮かんだのは
「ピンからキリまで」という言葉。
“ピンキリ”なんてよく聞くが、
これは「最大から最小まで(最高から最低まで)」
という意味がある。
それに例えるなら、
この玉露はまさに“ピンのお茶”といえるだろう。

このように、“ピン”を知ることは、
同時にその他のさまざまなものを知ることにつながる。
“ピンのお茶”を知ることで
今までのお茶のレベルを知ることができるし、
逆に“ピンのお茶”を知らなければ
お茶について語ることはできないのだ。

さて、この“ピンキリ”というハナシは
ビジネスにも同じことが言える。
私は経営デザイナーとして様々な企業を訪ね、
経営者の話を聞いているが、
やはり多くの人たちから選ばれる
素晴らしい企業は存在する。
すなわち、一流企業であり、
“ピンの企 業”ということだ。

例えば、ビジ達でも何度も紹介している大里綜合管理。
会社の規模や売り上げよりも地域貢献や、
社員や組織の成長に重きを置き、
実質的な成長を目指している。

また、世界からも視察者が訪れる
産業廃棄物処理の石坂産業。
これまでの考えや常識にとらわれず、
その在り方を追求し、
常に新しい取り組みを発信し続けている。

これら以外にも私の知っているだけでも
“ピン企業”と呼べる企業は存在する。
そして、このような経営者とのやりとりを続ける中で、
自分の会社をポジショニングすることができるのだ。

つまり、「ピンを知ることで己を知る」ということ。
自分の足やメディアを使い、
“ピンの現場”を見て・聞いて・体感する。

そうすることで、自社の現状の立ち位置を知り、
次なる高みを追求する指標となるのだ
(逆に言えば、“ピン”を知らなければ
自身の次なる成長を推し量ることは難しいだろう)。

先に紹介したように、普段何気なく飲んでいるお茶をとっても、
“ピンキリ”の実感は大きい。
企業やビジネスならばもっと実感できるだろう。

ビジネスの“ピン”を知り、
自身の成長につなげることこそ、
多くの人から選ばれる“ピン企業”への道となるのだ。

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“ピン”のお茶を体験!

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淹れ方にも作法と手順がある

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適温で淹れる!

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香りも色もすばらしい

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ビジネスにも通じる“ピンキリ”

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