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はなまるア・ラ・カルト

09/30
2019

ara0930

誠意のない資本主義の行方

今、まさに、“75年周期のパラダイムシフトの時”と
発信しているのだが、実のところ、どのような過渡期なのか?
変化はどこから来て、どこに着地するのか、私自身よく見えて
いない。そんな時に手に取ったのが「未来への大分岐」
という本。

この本の“はじめに”にはこんなことが書いてあった。

『GAFA(Google・Amazon・Face Book・Apple)に
象徴的なプラットフォームの独占状態は情報プライバシーを
脅かすとともに、アマゾンやウーバーは不安定な低賃金労働を
生み出し、貧富の格差を深刻化させている。

要するに、テクノロジーは中立的なものではないのだ。
テクノロジーは、知や権力を構造化し、利潤のために世界を
再編成する手段だからである。

したがって、情報テクノロジーの急速な発展が世界の人々を
水平的・同時的なネットワークにつなぎ、数多くのイノベー
ションや価値創造の源泉にもなっているとしても、新しい技術に
規制をかけずに、ただ技術を加速させていくならば、待っている
のは「サイバー独裁」、あるいは「デジタル封建主義」だろう。』

いやいやいや、本当にそのようなことになっていくのだろうか?

まさに深い哲学的な本なのだが、実はこの本を手にした
タイミングで9月の“鍵山秀三郎の一日一話”に、
「相対差の世界」というタイトルが出てきた。

曰く、『相対差の世界で生きておりますと、結果だけを追い求める
ようになります。「終わりよければ全てよし」という考え方
になり、途中の大切な手段を省くようになります。
途中を省き、結果だけを急ぎますと、事業そのものに
“誠意”がなくなってしまいます。誠意のない事業は・・・。』

現在は、“あそこと比べてどうか”という相対差の世界で生きて
いる。常に、“比較・比較・比較”の世界だ。
KPI(キー・パーフォーマンス・インジケーション)、すなわち、
何か比較するポイントを割りだし、その数値で物事をはかっていく。
数値化することはまさに相対差の世界である。

だからこそやり過ぎてしまうのだ。資本主義が結果的に
歪んできてしまい、あの封建主義の時代とは違う新たな構造の
格差を生み出しているのだ。
この行き着く先が、「サイバー独裁」あるいは「デジタル封建主義」
へとつながる・・・?!

それこそ“資本主義の危機”というわけだ。
これはまずいことになってきた!
行き過ぎた資本主義に突き進んではいけないのだ!!
だからこそ、鍵山相談役が言う“誠意ある事業”となる。

“誠意のある事業”とは私利私欲を離れて、正直に真摯にその
事業を展開していく。その事業が本当に役に立っているのか、
本当に多くの人たちに喜んでもらっているのかを考える事業のこと。

数字だけを追うのではなく、相対的な比較論で展開していく
のでもなく、目の前の商品を買ってくれる、そのサービスを選んで
くれるお客様の満足度を考え、社会に対する貢献も、そして未来の
人たちにも・・・。
すなわち、「タテ 三方よし」の実践ということ。

とにかく、誠意のある資本主義を作っていかないとこの先の
未来は厳しいものになるだろう。

※引用 資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐
    マルクス・ガブリエル/マイケル・ハート/
    ポール・メイスン/斉藤幸平・編 集英社

ara0930

誠意のある資本主義を作っていくべきだ

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