時代の流れを定点観測 時流観測所

3185

ファイナルドラフト

時間、予算、リアルな人間ドラマ

Netflixで日本のリアリティ番組が人気

Netflix製作の日本発リアリティ番組『ファイナルドラフト』が世界190地域で配信され、非英語シリーズ週間TOP10入りを記録。引退や戦力外通告を受けプロを離れた元アスリート25人が3000万円をかけて挑むフィジカルバトルで、セカンドキャリアへの想いや人間ドラマが融合し、スポーツの普遍性と日本独自の表現が海外でも評価されている。近年のNetflix作品と同様、予算をかけた大型セットと高品質な映像、時間をかけた共同生活の描写などは健在だ。Netflixは今後アンスクリプテッド(脚本がない)作品への注力を掲げ、日本からもアニメ等だけではない新たなコンテンツ発信が期待されている。
【参考URL】
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00607/00049/

3184

7NOW

高齢化地域と配送の課題解決へ

注文商品をロボットが自動宅配

「セブン-イレブン」と「スズキ」、自動配送ロボットの開発・サービス運用を手掛けるスタートアップ「LOMBY」の3社が、自動配送ロボットのLOMBYを活用した商品配送サービスを『7NOW』に取り入れる実証実験を東京都南大沢で開始した。高齢化が進む多摩ニュータウン地域の利便性向上を目的に地域協議会とも連携した実験で、ロボットは段差や坂道、信号や横断歩道も自動認識して利用者の自宅へ最大3,000品目を配送する国内最大規模の取り組みとなる。将来の人手不足解消を目指す本格的なロボットによる自動化プログラムの一環として全国展開も見据えられており、その成否が注目される。
【参考URL】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000103569.html

3183

概念推し活

色やモチーフで隠れ推し

日常に浸透し続ける推し活

『概念推し活』とは、推し本人ではなく、推しのイメージカラーや象徴的アイテムなど“推しを連想させる要素”を日常に取り入れる推し活の一形態。あからさまなキャラグッズを避けながら密かに推しを感じられる、そして公式グッズが少ない場合にも活用されているという。メリットとして色やモチーフであれば日常に取り入れやすく、推しを常に身近に感じられる点がある。具体的には、推しのイメージカラーの服やアクセ、ネイルなどがあり、メイクやファッション、持ち物に自然と溶け込ませることができる。あなたの周りでも、密かな推し活が増えているのかもしれない。
【参考URL】
https://myshumi.design/contents/conceptual-push/?srsltid=AfmBOoqFb1Eicuj5ksahbwQt763LsgMjW0DlATGk6A3ORuzOr2EvNMcS

3182

金属有機構造体(MOF)

開発者がノーベル化学賞を受賞

温暖化対策などの分野で研究開発が進む

京都大学の北川進特別教授ら3人が、2025年のノーベル化学賞を受賞した。評価されたのは、金属イオンと有機分子を組み合わせて作る物質『金属有機構造体(MOF)』の開発。無数の微細な穴を持つ構造で、気体を選択的に吸着・分離できるのが特徴だ。北川氏は1980〜90年代に、溶液中で金属イオンが柱となり、有機分子が規則的に結合する独自の手法を確立。天然ガスを安全に貯蔵できるほか、CO₂や有害物質を分離するなど、環境対策への応用が期待されている。現在までに12万種類以上のMOFが作られ、工場などから排出されるCO2の回収などの分野で、実用化研究が進んでいる。受賞は2019年の吉野彰氏以来、日本人として9人目。北川氏は会見で「多くの同僚や学生、家族に感謝したい」と喜びを語った。
【参考URL】
https://www.yomiuri.co.jp/science/20251008-OYT1T50154/

3181

制御性T細胞

免疫反応を抑える細胞

臨床応用の進展に期待

2025年のノーベル生理学・医学賞は、大阪大学の坂口志文特任教授ら3人に授与された。授賞理由は「免疫の抑制に関する発見」だ。坂口氏は、免疫反応を抑えるブレーキ役となる『制御性T細胞』を世界で初めて発見した研究者。通常、免疫はウイルスや細菌などの外敵のみを攻撃する。しかし自己と非自己の区別がつかなくなると、自分の体を傷つける自己免疫疾患を引き起こしてしまう。その暴走を防ぐ重要な働きを担うのが制御性T細胞だ。坂口氏は1980年代から研究を続け、95年にこの細胞を特定。米国の研究者が見つけた遺伝子「Foxp3」との関係も明らかにした。現在は、制御性T細胞を利用した自己免疫疾患やアレルギーの治療、がん免疫療法への応用が進められている。1985年の仮説から40年、免疫の“ブレーキ”をめぐる研究がついに世界最高の栄誉に輝いた。
【参考URL】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC00042_V01C21A1000000/

3180

観光以上、移住未満

地域の日常生活を体験

自宅でも職場でもない第3の場所に

かつて「観光」と「移住」のあいだには大きな壁があった。だが今、その中間に新しい関係が生まれている。兵庫県・家島で活動する「いえしまコンシェルジュ」中西和也さんが提唱する『観光以上、移住未満』はその象徴だ。島の日常に触れ、地元の人と話し、短期滞在でも「いい島だった」と感じてもらうことで、地域と人とのゆるやかなつながりを育んでいる。栃木県大田原市の農家民宿「momo farm」でも、ワーケーションを通じて都市の人が働きながら地域に関わる動きが広がる。テレワークの合間に田んぼ作業を手伝うなど、地域に密着した暮らしを体験することで、観光とは違う交流が生まれるという。最近では中高年のリゾートバイトも増え、仕事を続けながら地方と関わるスタイルが定着。旅でも移住でもない“第三の関係”に、地方の未来がかかっている。
【参考URL】
https://www.fnn.jp/articles/-/788799?display=full

3179

MUJI ENERGY

良品計画が再生可能エネルギー発電事業会社を設立

店舗のCO2排出量削減に活用

無印良品を展開する良品計画が、エネルギー大手JERAとともに新会社『MUJI ENERGY(ムジエナジー)』を設立する。太陽光発電による再生可能エネルギーの創出を目的とし、発電で生まれた環境価値はJERAの子会社JERA Crossを通じて良品計画に供給。店舗でのCO₂排出削減に活用する仕組みだ。今後1年で約13MWの発電設備を整備し、年間約8,000トンのCO₂削減を見込む。良品計画は2030年までに温室効果ガス排出量を2021年比で50%減らす目標を掲げており、今回の取り組みはその一環。近年、企業が自ら再生可能エネルギーを調達・発電する動きは広がっており、電力の「環境価値」を活用して脱炭素経営を進める事例も増えている。身近なブランドが発電事業に取り組むことで、環境への配慮がより私たちの生活に近いところで進んでいく。MUJI ENERGYは、その流れを象徴する新しい試みだ。
【参考URL】
https://www.jera.co.jp/news/information/20250625_2200