時代の流れを定点観測 時流観測所

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ハイパーカミオカンデ

ニュートリノの大規模観測装置

宇宙誕生の謎に迫る

岐阜県飛騨市で建設が進む『ハイパーカミオカンデ』の地下巨大空洞が公開された。高さ94メートル、直径69メートルという壮大な空間に、19万トンの水をため、2万本の高感度検出器を設置。宇宙から降り注ぐ“幽霊粒子”ニュートリノを捉えるための大規模な観測装置だ。ハイパーカミオカンデは、初代「カミオカンデ」が超新星爆発を、2代目「スーパーカミオカンデ」がニュートリノの質量を明らかにして、それぞれノーベル賞へとつながった実績を受け継ぐ3代目。観測開始は2028年予定で、「ビッグバンによって誕生した直後の宇宙ではなぜ物質が反物質に勝ったのか?」という宇宙誕生の謎の解明に向けて大きく前進することが期待されている。この実験装置が再び大きな発見をもたらすのか。ハイパーカミオカンデは地下深くで静かにその時を待っている。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250628/k10014847201000.html

3163

ヤンマガUSA

世界を狙う特別増刊号を発行

WEBサイトで公開中

著名な作品を数多く生み出してきた講談社の青年マンガ誌『ヤングマガジン』の特別増刊号『ヤングマガジンUSA』(英語版)が、8月に米国内で発行された。表紙は『攻殻機動隊』の原作者・士郎正宗氏による描き下ろし。ニューヨークで開催される「ANIME NYC 2025」で無料配布されるほか、紀伊國屋書店やWEBでも公開中だ。収録されているのは、北米でも人気を集める『頭文字D』のしげの秀一氏による『Subaru and Subaru/昴と彗星』や、『惡の華』などで知られる押見修造氏の『ME AND BOB DYLAN(AND MY FATHER)/ぼくとボブ・ディラン(と父)』を含む、多彩なジャンルの19作品。青年マンガが描く「葛藤や違和感」という生々しい感情に共鳴が広がるかが焦点だ。フィルターを通さない“UN-filtered MANGA”は、文化の壁を越えて米国読者の心に届くのか。講談社の挑戦に大きな期待が寄せられる。
【参考URL】
https://news.yahoo.co.jp/articles/22e75c06f4493bbb4bf2ca1b4ca0bdc8dc7f518e

3162

培養ウナギ

ウナギの培養肉をイスラエルの会社が開発

かば焼きやすしを試作

食糧問題が人類喫緊の課題となるなか、いわゆるサステナブルな食材として、遺伝子技術で培養したり、植物由来のタンパク質などで作る代替肉が実用化されつつある。そんななかイスラエルでは『培養ウナギ』が誕生した。イスラエル発のスタートアップ「Forsea Foods」は、ウナギの細胞を培養液で育て、脂肪や筋肉に分化させる技術を開発。かば焼きやすし用といったメニューの試作も進められており、2027年には商用化や日本での生産も視野に入れているという。絶滅危惧種に指定されたニホンウナギは、稚魚の乱獲や養殖コストの高さが課題となっており、培養技術はこうした資源問題の打開策となる可能性を秘めている。「土用の丑の日」に培養ウナギが並ぶ日も、そう遠くなさそうだ。
【参考URL】
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/fcde31d5dabd11b1c6a9d0797a9ae9f13deb6a92

3161

フィジカルAI

AIが三次元世界を理解

日本初のイノベーションにも期待

『フィジカルAI』とは 重力や摩擦といった現実世界の物理法則をAIに学習させ、シミュレーションを通じてロボットが環境の変化に自律的に対応できるようにする技術のこと。生成AIの次のステップとも言われ、米国では倉庫での物流ロボットや家庭向けの水やりロボット、さらに自動運転など、幅広い分野での活用が進みつつある。一方、日本でも経産省とNEDOが205億円を投じ、製造や物流分野に適用可能なロボット基盤モデルの開発をスタート。米中に比べ投資規模では劣るものの、建設現場や土木といった適用領域を絞り、日本ならではの強みを模索する動きが見られる。単なる自動化を超え、社会変革の鍵となり得るフィジカルAI。日本発の挑戦が、どのように現場に根づいていくのかが今後の焦点だ。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2025_0410.html

3160

こねこフィルム

スマホ特化でタイパ重視

Z世代のニーズ直撃コンテンツ

SNSによる動画コンテンツの急速な一般化。さらに近年、YouTubeショートやTikTokを中心とした短い尺の縦型動画コンテンツ「縦型ショートドラマ」がエンタメコンテンツとマーケティング利用の両面で注目されている。デバイスに最適化して見やすく、かつ見どころが凝縮されたタイパ重視のコンテンツとしてZ世代を中心に影響力が強い。そんな縦型ショートドラマで大きなヒットを生み出す代表的な集団が『こねこフィルム』だ。2023年からTikTokを中心に作品を投稿し、フックとなるユニークな設定と魅力的な登場人物で瞬く間に人気を集め、SNSでの累計再生回数は18億回を突破。その人気とコンテンツのクオリティに企業も目をつけ、タイアップは35社を超えているという。百聞は一見にしかず。2〜3分程度で見れてしまうので、ぜひどのようなコンテンツかチェックしよう。
【参考URL】
https://conecofilm.com/

3159

メロい

推しを称える新たな表現

SNSとの相性も良く利用が拡大

元々はアイドルファンやオタクと言われるような層で使われていた「メロメロになるほど◯◯(かわいい・魅力的・美しい など)」から生まれたスラング、『メロい』が若者を中心にSNSで広く使われるようになっている。推し活全盛とも言える現状と親和性が高く、利用が広がったと言えそうだ。
「メロい」に似た言葉には「尊い」「沼る」「しんどい」などがあり、いずれも自分が好きだったり応援したりする対象を、より強くかつオリジナリティを持って称えるために使用される。以前であれば「エモい」や「ヤバい」等もそうだが、汎用性の高いスラングはSNSとの相性がよく一気に広まる傾向がありそうだ。
【参考URL】
https://zexy.net/contents/lovenews/article.php?d=20250218

3158

五季

日本の季節を再定義

猛暑の追加でビジネスも変容

春夏秋冬ではなく、近年の温暖化による猛暑も加えた『五季』という概念が注目されている。従来アパレルでは季節を少し先取りした商品展開をしていたが、8月・9月に秋物を販売しても消費者ニーズとのギャップが大きく、商品展開に五季制を取り入れニーズにマッチさせるメーカーが現れた。この動きは食品や観光など様々な業界に広がり、新たなビジネスチャンスとなっている。
その一方、過剰な暑さは熱中症をはじめとする健康リスクを高めており、2025年6月には職場での熱中症対策が義務化された。企業はリモートワークや猛暑シフトを導入し、従業員の安全を守りながら生産性を維持する取り組みにも追われている。ビジネスチャンスだけでなく、今後の働き方改革にも影響を与えそうだ。
【参考URL】
https://toyokeizai.net/articles/-/888738?display=b