時代の流れを定点観測 時流観測所

2961

永世棋聖

史上最年少での永世棋聖

八冠陥落の影響感じさせず

藤井聡太七冠が山崎隆之八段を挑戦者に迎え、将棋タイトル「棋聖」の5番勝負を3連勝で制して棋聖戦を5連覇。『永世棋聖』の資格を獲得した。初の棋聖タイトルを獲得した16歳から5年間防衛を果たし、21歳11ヶ月での永世棋聖の獲得は、これまでの1971年に中原誠十六世名人が、同じく最年少記録で永世棋聖の資格を獲得した際の23歳11ヶ月の記録を53年ぶりに更新することとなった。2023年、藤井聡太七冠は将棋の主要タイトル8つを独占し八冠となったが、直近の6月にはその一つ「叡王」を同級生の伊藤匠七段に敗れ手放していた。タイトル戦で初の負けを喫したことでその影響を懸念する声もあったが、相変わらず強くまだまだ藤井時代が終わらないことを印象付けた。
【参考URL】
https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/20240702-OYT1T50061/

2960

2.5次元ミュージカル

漫画とアニメだけじゃない

2次元コンテンツ第三の矢

漫画やアニメは国内外で絶大なコンテンツ力を発揮しているが、2次元作品を実在の俳優が舞台・ミュージカルで演じる「2.5次元ミュージカル」が大人気なのをご存知だろうか? 最近話題の作品ばかりでなく、往年の名作などもミュージカル化し、チケットは争奪戦でグッズ販売も盛況だ。日本の2.5次元ミュージカルの元祖は宝塚歌劇団による『ヴェルサイユの薔薇』と言われている。その後、現在のブームにつながる作品となったのが多くのイケメン若手俳優を起用した『テニスの王子様』のミュージカル、通称『テニミュ』だ。それ以降2.5次元作品は若手俳優の登竜門とも言われ、多くの女性ファンを獲得した。舞台の強みである演出や観客も含めた会場全体の一体感は作品の魅力を大きく広げ、新たなコンテンツの形として確立している。
【参考URL】
https://ha.athuman.com/humanstar/blog/pa/25.html

2959

令和政経義塾

経済ではなく政治からも日本を活性化

新たな政治リーダーの誕生を狙う

7月1日、一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ(NXJI)が経済界のリーダー33名の賛同・支援を受け、次世代の政治的リーダーと政策起業家を育成することを目的とする『令和政経義塾』を立ち上げた。現在、第一期塾生の募集を行っている。
塾生には1年間完全無料で、立憲民主党の野田佳彦元首相ほか与野党の現職議員、日本や海外大学の教授陣による講義や支援が行われる予定。多くの起業家や投資家が現在の政治や経済に問題を感じながらも、政治からは距離を置く状況を変えていくことを目論んでいる。野田元首相をはじめ多くの政治家を輩出した松下政経塾のように、今後日本政財界の一大勢力となるか注目だ。
【参考URL】
https://www.asahi.com/articles/ASS7131HTS71UTFK006M.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA013UJ0R00C24A7000000/

2958

成瀬は天下を取りにいく

「第21回本屋大賞」を受賞

滋賀県大津市が便乗キャンペーン

全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ「本屋大賞」に、今年は『成瀬は天下を取りにいく』が選ばれた。同書は滋賀県大津市在住の宮島未奈さんのデビュー小説。滋賀県大津市を舞台に、主人公・成瀬あかりが、中学2年生から高校生にかけて繰り広げるちょっと変わった挑戦の数々を描いた作品だ。。本をきっかけに聖地巡礼に訪れるファンも増加。滋賀県大津市はここぞとばかりに物語に登場する各所をめぐるデジタルスタンプラリーを開催するなど、今地元は“成瀬フィーバー”に沸いている。なお続編『成瀬は信じた道をいく』も販売され、5月の時点でシリーズ累計部数が75万部を突破。さらなる快進撃を続けている。この夏、あなたも成瀬に出会ってみては。
【参考URL】
https://www.ktv.jp/news/feature/240418-naruse/

2957

マンガン団塊

南鳥島沖に大量のレアメタル

2026年にも大規模採取がスタート

小笠原諸島・南鳥島(東京都)沖合の深海に、蓄電池などに必要不可欠なレアメタル(希少金属)を豊富に含む『マンガン団塊』が2億トン以上密集していることが、東京大学と日本財団の調査で判明した。マンガン団塊とは鉄やマンガンの酸化物を主成分とする海底の鉱物資源。魚の骨や歯などを核に、コバルトやニッケルといったレアメタルを含む金属成分が数百年~数千年かけて年輪のように付着してできると考えられている。今回採取されたマンガン団塊の分析では、コバルトの資源量は61万トン、ニッケルは74万トンと試算され、それぞれ日本の消費量の75年分と11年分に相当するという。日本財団は2026年にもマンガン団塊の大規模な採取をはじめ、商業化に乗り出す方針。この発見をきっかけとした日本の経済発展を期待したい。
【参考URL】
https://mainichi.jp/articles/20240621/k00/00m/020/341000c

2956

育成就労制度

技能実習制度にかわる新制度

介護や農業の人手不足は解消されるか

今年6月、外国人労働者の技能実習制度にかわり、新たに『育成就労制度』を設けることを柱とする改正出入国管理法が可決・成立した。技能実習制度は、制度目的と実態の乖離によってさまざまな問題が発生しており、廃止の方向が示されていた。新しい制度は、特定技能を持つ外国人労働者の育成と、特定産業分野における人材の確保を目的とした制度。従来の制度で起きた社会問題を踏まえ、労働力として外国人人材と向き合い、労働者としての人権を守るとされている。、また受け入れる分野は人手不足が叫ばれる介護や建設、農業などが想定されているとのこと。世界的に人材獲得競争が激化するなか、日本が選ばれる国になるのかどうか。外国人労働者から見た新制度の評価が気になるところだ。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240614/k10014480601000.html

2955

同意なき買収

「敵対的買収」から名称を変更

日本企業の競争力を高めるのが狙い

経済産業省は2023年に「企業買収における行動指針」を策定した。本文中の用語の定義によると、対象会社の取締役会の賛同を得ずに行う買収を『同意なき買収』とし、従来の「敵対的買収」から名称を変更。企業に仕掛ける買収のネガティブイメージを払しょくする姿勢を見せた。そもそもM&A(合併・買収)は元気のない企業を淘汰し、強い企業群をつくるための有効な手段。しかし「敵対的買収」というネーミングがタブー視につながり、戦略として敬遠されてきた背景がある。今回の名称の変更には、買収する側とされる側、双方の株主利益を重視したM&Aによって企業再編を促し、日本企業の競争力を高めることが狙いと見られる。M&Aをめぐる潮目が変わりつつある今。果たして国内での企業買収は活発化するのだろうか。
【参考URL】
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/01823/