時代の流れを定点観測 時流観測所

3129

ドバイチョコ

韓国でSNSのASMR動画を通じ大流行した、板チョコの中にピスタチオクリームと中東の極細麺「カダイフ」が入ったスイーツ『ドバイチョコ』が日本でも人気だ。ドバイは、多国籍文化が融合する都市であり、チョコレートもその影響を受けて贅沢さと独自性を持つ。パリッとしたチョコとザクザク食感の組み合わせが特徴で、SNS映えするビジュアルが話題を呼び、カルディやポップアップ店舗で販売が広がっている。SNS時代のいま、見た目や音などの「映え」が重視されるが、それと合わせて各国の文化が反映された「エキゾチック感」も人気を集める要因となっている。個人が広く情報発信をすることが、様々な視点での文化発信につながる一例と言えそうだ。
【参考URL】
https://www.tenpos.com/foodmedia/newstrend/trend/32049/

3128

CEREMONY

対バンともフェスとも異なる

新たな協奏の形を探るイベント

Mrs. GREEN APPLE主催の音楽イベント『CEREMONY』が横浜Kアリーナで開催され、ATEEZや日向坂46など9組が出演。このイベントは、お互いの音楽やカルチャーを讃え合い、交わり合うこの祭典を通じて、次世代のエンタテインメントコミュニティーのあり方を提唱しているという。ファッションや演出も重視し、観客と出演者が一体感を持って音楽と文化を共有する、従来のフェスなどとも異なる特別な場となった。ボーカルの大森は「明確なゴールがないからこそ音楽は自由」と語り、互いの多様性を認め合う場を大切にしたいと強調。イベントは盛況に終わり、来年再び横浜で「CEREMONY」を開催することが発表された。新たなイベントの形として定着していくか注目だ。
【参考URL】
https://www.thefirsttimes.jp/report/0000637608/

3127

黄金株

鶴の一声を1株で保障

USスチール買収劇の決定打

二転三転の末、6月18日に完了した日本製鉄のUSスチール買収。トランプ政権は外資による買収に反対の姿勢を示すこともあったが、米政府が1株でも重要事項などに対しての拒否権を行使することができる『黄金株』を所有することで、「安全保障上の懸念がなくなった」と、買収が決着した。1株で強力な権利を持つだけに、経営の自由度や企業統治の透明性が損なわれる懸念があり、米国では原則上場企業に認められていない。USスチールは上場廃止後に黄金株を発行し、米政府が所有することになる。欧州では裁判で違憲判決が出て以来、制度の撤廃が進むなど、国によって扱いが異なる制度だが、グローバル化による企業買収がさらに進む今後、耳にすることも増えるかもしれない。
【参考URL】
https://www.sankei.com/article/20250619-SD5WARKZGNAZ7FGFTG7POWDMSI/

3126

チャイルドペナルティー

出産した女性は賃金が下がる傾向に

新たな取り組みを進める企業も

子どもを産んだことで昇進が遅れたり賃金が下がったりする『チャイルドペナルティー』。東京大学の調査では、出産した女性の賃金が10年間で46%も減少する一方、子どものいる男性は賃金が8%増加するという結果が出た。背景には、長時間労働を評価する人事制度があり、時短勤務を選ぶことで昇進のチャンスを失う構造がある。しかし近年、一部の企業ではこの課題に向き合い始めている。たとえばキリンホールディングスは、育休後の一定期間、人事評価が下がらないようにする制度や、育児・介護中の社員は転勤を回避できる制度を導入。またJR東海も、昇格に必要な一定の勤続年数に育休期間を含める取り組みを進めている。多様な人材が力を発揮できる環境づくりは、個人だけでなく企業の競争力向上にもつながるはずだ。
【参考URL】
https://www.tokyo-np.co.jp/article/390279

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フクオカ・メソッド

福岡が生んだごみ処理技術

シンプルさが支持され世界に拡大

日本発のごみ処理技術『フクオカ・メソッド』が注目を集めている。福岡市と福岡大学が1975年に開発したこの手法は、埋め立て地に竹や古タイヤで作った管を埋め、空気を送り込んで微生物の力でごみを分解するというもの。メタンガスの発生を抑え、温室効果ガスを大幅に削減できるのが特徴だ。構造がシンプルでコストも低いため、途上国でも導入しやすく、すでに世界21か国に広がっている。この技術が生まれた背景には、水俣病や北九州のばい煙など、深刻な公害問題があった。ごみ処理も大きな課題のひとつだったが、現場に通い続けた研究者の熱意が、このフクオカ・メソッドを生んだという。“福岡”の名を冠した技術が、地球規模のごみ問題の解決に貢献しているのだから、まさに日本の誇りと言えよう。
【参考URL】
https://www.yomiuri.co.jp/science/20250606-OYT1T50109/

3124

手ぶら観光

ヤマト運輸と佐川急便がサービス開始

街中の混雑緩和にも期待

観光をもっと快適に——。いま、外国人観光客を対象に、荷物を預けて身軽に観光を楽しめる『手ぶら観光』サービスが広がりつつある。ヤマト運輸では、全国約4万か所のコンビニや営業所から海外の自宅へ荷物を送れるサービスを開始。専用サイトに入力し、QRコードを提示すれば、通関手続きも代行してくれる仕組みだ。また佐川急便は、東京スカイツリーや京都駅などの観光地で荷物の一時預かりやホテルへの配送を実施中。今後はゴルフ場やショッピングモールにも拠点を拡大予定とのこと。過去最多となる年間3600万人以上が訪れる日本では、オーバーツーリズムが課題になっている。大きな荷物を抱えずに街を歩ける「手ぶら観光」は、観光客自身の快適さはもちろん、交通機関や街中の混雑を緩和する効果も期待されている。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250527/k10014817521000.html

3123

スマホ認知症

物忘れがひどい人は要注意

「デジタルデトックス」で予防を

人や物の名前がすぐに出てこない。仕事や家事の効率が落ちた。最近、こうした不調を訴える20~40代が増えている。原因のひとつとされているのが、スマートフォンの使いすぎによる“脳の疲れ”。脳には一度に処理できる情報量の限界があるが、スマホは絶えず刺激と選択肢を与え続け、短期記憶を司る前頭前野を酷使する。その結果、記憶がうまく引き出せなくなり、『スマホ認知症』と呼ばれる状態に。放置すれば判断力や学習効率の低下につながると、専門家は警鐘を鳴らしている。対策として効果的なのは、「デジタルとの距離をとる」こと。通知を必要最小限にし、移動中はスマホをしまう。寝る前の1時間は画面を見ない。そんな少しの“脳の余白”が、集中力や記憶力の回復につながるはずだ。
【参考URL】
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1897053?display=1