これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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目からウロコのおすすめ本

04/18
2022

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1973年公開の映画『ソイレント・グリーン』は2022年の物語だった!

先日、とあるバーで、若い人と未来の可能性の話になり、
『ソイレント・グリーン』という映画の話題になった。
その場でググってみると、この映画は、1973年に公開された
アメリカ映画で、その設定は2022年!
ちょうど今年だと気がついたワケ。

私的には『ソイレント・グリーン』と手塚治虫氏の『火の鳥』が
未来をシミュレーションする上で
参考とする物語で、度々話題にするタイトル。
とにかくインパクトが強く記憶に深く刻まれている。

ストーリーは、2022年、環境破壊と人口増により
一部の特権階級と多くの貧民とに二分された世界
になっている。
そして多くの貧民は、ソイレント社が作る
“海のプランクトンが原料とうたっている合成食品”の
配給を受けて細々と生き延びていた。

ある日、この映画の主人公のニューヨークに住む
ソーンは、同居人の老人が
「ホーム(=公営安楽死施設)」へ行ったことを知る。
(安楽死施設があるという設定には驚いた!)
ソーンは同居人の遺言にしたがい、亡骸を追跡すると、
多数の死体がトラックでソイレント社の工場に運び込まれ、
人間の死体から“ソイレント・グリーン”が生産されている
事実を突き止める。
(この設定にも驚いた!)

そして、エンディングは「海もプランクトンも絶滅だ。
ソイレント・グリーンの原料は人肉だ!」とソーンが
叫びかつての地球の自然の映像と
ベートーヴェンの交響曲第6番“田園”が流れている・・・。

約50年前に創られた、“2022年の悍ましい世界”の物語だ。
この映画のテーマは環境問題と格差社会で、
これらの問題は現実に進み続け、
今やその止め方はわかっていない。
50年後の今、物語の背景は違っているが、
SDGsの取組みにあるように環境問題と格差社会が
社会課題であることは同じである。

映画の設定では2022年の人口は
70億人だが、実際に現在は80億人。
今後120億人まで増えるというがその後は減少に転じる
と専門家は言っている。
環境問題は産業革命以来、経済優先でCO2を排出し続けた結果、
気候変動を起こし、さまざまな次なる社会課題へと派生している。

先にも紹介した手塚治虫氏の『火の鳥』だが・・・
その結末に近いところでは、
それぞれの地域を治める国(都市国家)では、
その最終の判断は人間ではなくAI(人工知能)に
委ねられていたのだ。
ということで、各都市国家のAIのちょっとした
ミスジャッジから互いに水素爆弾(原子爆弾)
のボタンを押してしまうことに・・・。

そう“シンギュラリティ”なる言葉を度々
耳にしていると思うが、
“人工知能”が人類の知能を超える転換点のこと。
それほど遠くない将来にやってくると言われている。
そう考えると、手塚先生の50年以上前のこの発想も、
将来十分起こり得るということ。
やっぱりこの2つのフィクションは十分これからを
暗示しているのだ。

そんな背景の中で、この期に及んで、戦争をしかけるとは・・・
こまったものだ!?

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環境問題と格差社会がテーマの映画

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目からウロコのおすすめ本

02/28
2022

book

『人新世の「資本論」』 斎藤幸平著

『人新世(ひと・しんせい)の「資本論」』は2020年9月発行の本で、
新書としては異例で、既に40万部突破している。
私は発刊されてから数ヶ月のうちに買い、
持ち歩いていたが・・・なかなか読み進まない本だ。
(難しいがわかりやすい本なのだが・・・)

ビジ達でもたびたび紹介している大里綜合管理では、
100冊購入し、社員はもとより関係者にも配布したという。
この3月には斎藤幸平氏を大網白里市にお呼びして
講演会をするという。(私も楽しみにしている)

中島流に書いてあることを勝手に解釈すると・・・、
この本のテーマは温暖化対策と
地球規模の社会課題に対してどう対処していくのか?だ。

250年くらい前の産業革命以降から始まった
先進国中心の経済活動は地球に大きな影響を及ぼしてきた。
それが気候変動や環境問題へと発展していったと言い切る。
資本主義社会が到来して以降、資本が資本を呼ぶ構造は
人の資本増加への欲望を肥大化させ、地球環境や社会問題を
ないがしろにさせてきた。
だから今、ここで、資本主義の見直しが必要だと書いている。

今、環境負荷軽減目的で推進されようとしているのが
経済成長と気候変動を切り離す“デカップリング”という考え方。
具体例で言えば、電気自動車の普及や、プラスチックを使わず
自然に戻れる素材に置き換える発想のこと。
しかし、斎藤氏はこれだけでは温暖化は止められないと述べている。
なぜなら、経済成長が順調に伸びていくと結果的に
資源の消費量は増大する。結果として二酸化炭素排出は
抑えることは可能だが、削減までは困難だと。

ここで斎藤氏が“新しい資本主義”として提案しているのが、
“脱成長コミュニズム”の提唱。
中島の解釈では、資本であり事業展開を
マクロ的に管理していくやり方で、
共産主義に近い発想。(私もこの案に賛成だが・・・)

そこで私からのかなり身勝手な提案。
このままの資本主義で“SDGs”を掲げ進んで行くか?
(温暖化は止められないと思うが・・・)
斎藤氏の言う“脱成長コミュニズム”で行くか?
地球の総人口78億人のうち12歳から70歳までの約50億人と
未来のまだこの世に生まれていない50億人の合計100億人で
多数決をとろうではないか!
(未来の人にどう参加してもらうかは問題だが・・?)

現実に困難な提案であることは承知しているが、
私が言いたいのは、この判断を現在、存在している人たちだけで
してしまっていいのだろうか!? ということ。
当然、未来の人たちのほとんどは地球環境が破壊され、格差拡大する
資本主義はすぐにやめてくれという方を選ぶだろう。
ということで、“脱成長コミュニズム”が選択されるという推測だ。

今、真剣に未来に向き合い考えないと、
このツケは必ず未来にまわされる。
肝心なのは、孫子とその先の代のことまで考えて、
“今をどう選択するか”ということ。
とにかく・・・いろいろな発想や考え方をシミュレーションできる
『人新世の「資本論」』だった。

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本書では“新しい資本主義”が提案されている

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目からウロコのおすすめ本

12/24
2021

book

『そしてバトンは渡された』瀬尾まいこ著  “私には5人の父と母がいる”

この本は2019年、本屋大賞受賞の本で、
私も2年半以上前に読んだ。
今回、「目からうろこのおすすめ本」としての紹介だが、
“目から涙のおすすめ映画”と言った方がいいかもしれない。

先日、この本を題材にした映画を観てきたということ。
本も本屋大賞受賞で話題になったのだが、
映画になっても注目されていると知る。
既に興行収入は公開7週目で15億円を突破し、
映画賞も受賞しはじめている。
これから発表される様々な映画賞でも
期待されている話題の映画だ。

本当に映画の後半では、涙が出て・・・
というより何度もティッシュで鼻をかんだ。

この映画は、
永野芽郁さんが主人公。
田中圭さん、石原さとみさん、と3人が主役と言っていいと思う。
他に「私の家政夫ナギサさん」の大森南朋さん、
そして市村正親さんも出演した豪華なキャスト。
副題の“私には5人の父と母がいる”意味は、
一人の母役が石原さとみさん(産みの母ではない)
もう一人の母は写真だけの登場
一人の父は大森南朋さん(本当の父)
市村正親が途中で父親になり、
ずっと主人公役の永野芽郁さんと関わって
いたのが田中圭さんで、この3人が父親として存在。

映画はただ感動するというだけではなく、
“家族の有り難さや大切さ”がわかる映画だった。

実は、私も片親で育った。
母親が実家に戻り、祖母、おじさんおばさん、
従兄弟と生活。
7人家族で、いろんな人に育ててもらった記憶が。
実の親だけではなく、いろいろな立場の家族と、
コミュニュケーションを取り、成長させてもらった。
そういうこともあり、この映画がよくわかるのだ。

2016年の本屋大賞第二位の、『君の膵臓を食べたい』も
しばらく前に映画化もされ、これも涙をたくさん流した記憶が。
本屋大賞は書店の店員さんが読んでもらいたい本を
投票するので、直木賞や芥川賞よりも、ポピュラー性があり、
身近で楽しめる本が多い。
私自身、小説はあまり読まないが、ときどき手にする小説は
本屋大賞受賞作のものが多い。
受賞作が映画化されることも多く、
原作をどう表現するのかという楽しみ方もある。

『そしてバトンは渡された』の映画は
本の良さをうまく再現し、より盛り上がるように演出されていた。
(最後の方でたたみかけるどんでん返しが・・・)
たくさんの試行錯誤を重ね、名優が出演したことも
多くの人への感動につながったのだろう。
たくさんの涙を流したけど、気分はよくなる映画だった。
“目から涙のおすすめ映画”のお話でした。


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本も映画も話題の作品

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目からウロコのおすすめ本

12/06
2021

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『なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか? 』森田健司著 (“消費”は不易流行でもない? )

以前にも“目からウロコのおすすめ本”で紹介したかもしれないが、
今回再度おすすめする。
毎月開催している“石門心学・実践講座”では、
この本をテキストにして学んでいる。
講座は、既に9年目を迎え、103回目のテーマが、
“消費と倹約、どちらが正しい? ”だった。

今回のテーマに対して、こんな話が載っていた。
「不動産を、自動車を買いましょう。そしてたまには贅沢な
外食をして、休日にはリゾート地にお金を落としましょう。
そうすれば、少しは景気がよくなる可能性が高いはずです。
しかし、自分が幼かった時、周りの大人達は
無駄遣いをしてはいけませんと口をすっぱくして言ったはずです。
それは誤りだったのでしょうか?
それとも可能な限り、散在するのが大人にとっての
社会的責任なのでしょうか。
この消費と倹約の話はいつも多くの人の頭を混乱させます。
そしてさらには、海外から観光客を呼び込み、
たくさんお金を使ってもらい日本の景気を上昇させましょう。
という意見が各種メディアを通して流されて・・・」

皆さんはどう思われるだろうか?
“消費推奨”は道徳のカテゴリーに入ったことは一度もない。
果たして、愛する子に「経済活性化のために、どんどん消費しなさい」
と教えるのだろうか・・・。

コロナ禍でマイナス成長となった今
メディアは“消費喚起”にいそしんでいる。
消費をすれば資源や食料は当然減っていく。
多くのCO2が排出され、温暖化の原因になる。
新しいモノへの買い換えにより、
石油化学で作られたプラスティックなどたくさんのモノが廃棄される。
それがやがてマイクロプラスティクとなり、環境汚染になる。

もちろん石田梅岩も消費をしましょうとは言っていない。
“消費”は道徳的行為ではなく、“倹約”は道徳的行為である。
すなわち、倹約こそ、本来私たちがすすめなくてはいけないこと。
消費は私達が応援したい会社を応援すればいい。
森田氏も、「自身の社会的立場にかかわらず、
消費は道徳的な行為ではなく、
倹約は道徳的行為である。
少なくとも日本に住んでいる多くの人々は、
無意識に認めているのです」と著し、
「倹約」「勤勉」「正直」この3つを繰り返し書いている。
さぁ、もう答えはおわかりだろう。

コロナ禍を体験した今だからこそ、冷静になって何を
優先順位の上位にあげるかを理解し、
自分の行動に反映させなければいけない時。

今こそ私が言いたいのは、
“Think Global, Act Local”
“Think Long range, Act Tomorrow”
発展途上国の人たちのことも考えて、
明日からの自分の行動に反映させて行きましょう。
そしてLong-rangeで将来のこと、孫子の代のことも考え、
明日からの行動をしていきましょう!

こう考えると森田氏の言うように、
“消費のすすめ”はズレてますよね!?


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石田梅岩の思想に学ぶ

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目からウロコのおすすめ本

08/16
2021

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『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』山口周著

2020年12月に発刊され、この本を即刻手にした私は、
この7~8ヵ月の間、度々手にして確認している。
山口周氏は文学部哲学科卒業ということもあり、
哲学的なものの見方がベースにある。

この本もビジネスがテーマではあるが哲学的要素が多く、
私たちのビジネスがどこに向かっているのか?を
考えたときに、参考にしてきた。
もちろん、山口氏の考え方に共鳴してのことなのだが・・・。

山口氏の著書『世界のエリートはなぜ“美意識”を鍛えるのか』
『NEWTYPEニュータイプの時代』については
このビジ達でも紹介している。
今回紹介のこの本は、
2020年のコロナ禍も踏えて書かれている。

私はよく思考するのが、“今私たちは、人類の歴史の中で、
どこにいるのかを確認しない限り、
私たちがどちらに向かう方がいいのかわからないと“ということ。
VUCAの時代と呼ばれ、混沌とし予測が困難な今の時代に、
方向性や裏付けとなる流れや見えるものがほしい。
そこで山口氏はこの本のなかで
ベースとなる価値感を話してくれている。

第1章 私たちはどこにいるのか
第2章 私たちはどこへ向かうのか
第3章 私たちは何をするのか
最終的に、私たちは何を求めているのか!?
何を求めるべきなのか!?ということなのだ。

そして私も賛同しているのだが、
「ビジネスは歴史的使命を既に終えているのではないか?
ビジネスが永遠に必要なわけではない。
ビジネスを何のためにしているのか?」と。

今までは、経済的な価値や物質的充足を求めて存在していたのが、
“ビジネス”。
今や、ある程度の生活はできるようになった。
“マズローの欲求5段階説”のうち、
“生理的欲求・安全欲求・社会的欲求”はある程度
満足できるようになってきている。
産業革命以降250年経過し、この間連綿としてビジネスも加速した。
ある程度モノが豊富になり、便利にもなり
生産性向上も実現するに至った。
すると、地球の78億人が皆働かなくても
いい時代になってきたのではないか・・・。
すなわちその成熟化により、経済的低成長、停滞、衰退とも
あちこちで言われるようになったわけだ。

これからはマズローの“承認欲求・自己実現欲求(自己超越)”
の世界にステージを上げる時代が来ているのだろう。
私が以前提案した“新パラレルワーク”。
ビジネスによって自社の利益ばかりを求めない展開。
すなわち、“お金になる仕事”と
社会課題解決のための“お金にならない仕事”
の両立が求められるのではないだろうか。

これからのビジネスのあり方が変わってくる。
私自身も今後はビジネスの形態が変わっていくと思っている。
その考えの参考となるのが今回のおすすめの
『ビジネスの未来』という本なのだ。

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コロナ禍も踏まえたビジネス本

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