01/19
2015
たまTSUKIの仕事道
池袋駅から徒歩10分。
路地にひっそりと佇むオーガニックバー
「たまにはTSUKIでも眺めましょ(通称たまTSUKI)」は、
こんなところに?と思うような静かな場所にある。
このビジ達でも何度かご紹介したのだが、
オーナーの高坂 勝(こうさか・まさる)氏は
『減速して自由に生きる(著作のタイトルでもある!)』という
独特のスタイル“ダウンシフターズ”を発信している方だ。
ということから、お店は土・日・月の週休3日!
年中無休を掲げるチェーン店が多い
現代では驚きのスタイルだ。
私が先日、高坂氏が企画する年一度の
酒蔵「寺田本家」見学バスツアーに参加したところ、
参加人数はなんとバスいっぱいの60名!
補助席まですべて出す人気ぶりだった。
実はこのバスツアー、参加にあたっては
「たまTSUKIに来たことがある」
「一度もこのバスツアーに参加した経験がない」
という条件が付いている。
つまり、誰もが最初で最後のバスツアー参加ということ。
う~ん、とはいえこの大盛況ぶりはスゴい。
参加している方のお話を伺うと、
退職したばかりの方、退職を考えている方、
NPO法人を立ち上げている方、など様々。
お店のファンであることはもちろんだが、
皆、高坂氏の想いに共感されての参加だ。
独自の経営方針で
ファンを掴んでいる「たまTSUKI」だが、
高坂氏も初めからこうした生き方を
選んでいたわけではない。
元は大手流通企業で、バリバリの企業戦士として
働いていたとのこと。
しかし、その生き方にふと疑問を覚えて2000年に退職し、
2004年に「たまTSUKI」をオープンした。
それも最初のうちは週休1日だったのだが、
あっという間に繁盛店になったこともあり、
「これではダウンシフトしていない!」
と感じて2009年には週休2日に。
さらに、2012年には週休3日にしてしまった。
週休3日とは言っても、
その間遊んでいるわけではない。
ご自分で農業を行ったり、
“ダウンシフターズ”に関する講演・執筆活動を
行ったりして、自営と自給を勧める(?)
活動に勤しんでいるのだ。
「たまTSUKI」の役割は、
ただ美味しい料理とお酒で
お客様をもてなすことだけではない。
健康で仕事を楽しみ、多くの人と触れ合うこと。
それによって人生を腐敗ではなく
“発酵”させていこう!という考え方を、
広めることにもあるのだ。
これこそがまさに「たまTSUKI」の“仕事道”。
利益のみを追求しなくても、
存在意義のある店・人は必ず継続できるという
お手本のようなものだろう。