06/10
2024
ユーグレナ出雲社長は、“陽のベクトル”ビジネスで企業文化を創る!?
日経MJの恒例の“2024年上期ヒット商品番付”を眺めていると
その脇にユーグレナの出雲社長が登場する写真があったのだ。
なぜ、出雲社長が?!
その写真の見出しには「バングラデシュで“クッキー給食”10年」と。
出雲社長は学生時代に、グラミン銀行のインターンとして
バングラデシュを訪れ、子どもたちの貧困や飢餓を目の当たりにした。
帰国後、子どもたちが栄養を手軽に取れる食べ物はないかと
あれこれ考え続けた。
仲間とともに描いたイメージは、
あのドラゴンボールに出てくる“仙豆(せんず)。
(一粒食べれば10日間は何も食べなくても平気)
その“仙豆”に値する栄養価の高いものとして
行き着いたのがミドリムシだった。
ところがこの栄養価の高いミドリムシは、
なかなか大量につくれないことが判明。
出雲氏は大手銀行に一度は就職したが、退職して
ミドリムシの大量生産をテーマに大学時代の仲間とともに会社を設立。
社名はミドリムシの学名から“ユーグレナ”とした。
そして試行錯誤の末、ついに世界で初めて
食用の野外大量培養に成功したのだ。
【“人と地球を健康にする”をテーマにマザーズに上場!】
ユーグレナは、ミドリムシ入りの健康食品や化粧品の開発販売、
バイオ燃料の研究・製造等をビジネスとし、
東証プライム市場への上場も果たしている。
そして2014年より、バングラデシュでの食料支援などを行う
ソーシャルビジネスを展開し、
社会課題の解決やSDGs達成への貢献を目指している。
バングラデシュにおいては、ユーグレナをどういうカタチで
提供するかで試行錯誤したが、
イスラム教徒の多いバングラデシュに適応できるよう
ハラル認証も取得し、ユーグレナ入りのクッキーとして配布している。
クッキーならユーグレナ粉末も混ぜやすく保存がきき
子どもたちも食べやすいとしている。
→私が小学生の頃、毎日配られていた“肝油ドロップ”を思い出すが…
【地球規模の課題解決には、“陽のベクトル”が働く】
出雲社長は20数年前の“学生時代の思い”を追求し、
そして今も実践し続けているということ。
おそらく、ユーグレナのスタッフも関係会社も、
そして多くの株主たちも、この出雲社長の思いに共鳴感を抱いて
関わり協力することになったのだろう。
(私も何人かの関係者を知っているが、その思いは同じベクトルだった)
なかなか自分では行動や実践が難しい“社会的課題解決”に対して、
強い思いのあるリーダーがいるところには、
多くの人たちが参加支援したくなるということ。
このような応援したくなる前向きビジネスを
私は“陽のベクトル”ビジネスと呼んでいる。
という私も、あるとき出雲社長の“ミドリムシの量産”に至る話を聴き、
そのブレイクスルーまでのストーリーに感動し、
オフィスが近くだったこともあり取材をさせてもらったのだ。
石垣島にある生産技術研究所には、経営者仲間とお邪魔し、
生産プールも含め視察させていただいた。
そして、あのパンの缶詰“救缶鳥”の“パン・アキモト”との提携も
お手伝いをさせてもらい、「みどりの救缶鳥」を生み出すことができた。
上場していることもあり、バングラデシュの子どもたち支援については、
“業績に悪影響を及ぼすのでやめて欲しい”
という意見も寄せられるという。
それに対して出雲社長は…
「これをやめてしまっては、何の会社なのかわからなくなってしまう」
と言い、創業の意志を貫くことを当たり前としている。
この出雲社長の“陽のベクトル”をなくしてしまっては、
ユーグレナは羅針盤を失った船になってしまうと思うのだが…