04/22
2013
自分の手をいいことに使う “良知の発現”
「人には本来、善を理解する力が備わっており、
仕事や日常生活での実践をきっかけに、良知を知ることができる」
陽明学を広めた儒学者、王陽明氏の“良知の発現”という考え方だ。
この“良知の発現”の例を身近なところからあげるなら、
やはり“日本を美しくする会”が実践している「徹底した掃除」だろう。
(私も、関わらせていただいてもう8~9年になるが、未だに気づかされることがたくさんある)
そんな“日本を美しくする会”で相談役を務める鍵山秀三郎氏は、
小学生を対象とした講演会で、子供たちにこんな2つの“お願い”をしているという。
1. 「頭のいい人になってください」
私の言う頭のいい人とは、計算がよくできるとか、
漢字をよく知っているという人のことではありません。
いつも“いいことを考える人”のことです。
そして、“いいことを考える人”になるためには、
自分の手を「いいこと」に使うことです。
いいことに手を使う人は、頭でもいいことを考えるようになります。
いいことに手を使いながら、悪いことを考える人はいません。
人間の手と心は連動しているからです。
2. 「小さな勇気を持つ人になってください」
大きな勇気を持てと言われても、
そんなに簡単に持つことはできません。
しかし、小さな勇気なら、その気になりさえすれば
いつでも誰でも持つことができます。
例えば、「約束の時間を守る」とか
「お母さんの手伝いをする」とか
「信号を守る」というようなことです。
こうした小さな勇気をいっぱい
積み重ねていくと、やがて大きな勇気になります。
(『鍵山秀三郎の美学』より抜粋)
このように、いいことに手を使い、小さな勇気を積み重ねていくことで、
いいことを考える頭が育つ、という鍵山氏の教え。
この教えこそが、王陽明氏の言う
“良知の発現”の本質なのではないだろうか。
そして、これからの時代を担う子供たちは勿論、
今、ビジネスに生きる大人たちにも浸透させていくべき考え方だ。
即物的なお金やモノばかりを優先する現代のビジネスの中で、
大人たちがいつのまにか忘れてしまった
“いいことに手をつかう”という精神。
これからのビジネスは、人のためになる発想をし、
社会にとっていかにいい仕事をできるかがポイントである。
そのための行動や時間の使い方こそが“良知の発現”になり、
結果として、社会性のある“Good Job”につながっていくのだ。
やっぱり、毎朝の道路掃除はやめられないか…。