06/27
2016
紫ソース少年の三ツ子の魂は!?
「うわ~ん、うわ~ん。ム・ラ・サ・キは、
食べる色じゃなあい!」
えっ!? 子供が言う!
振り返ってこの言葉を発したテーブルを見れば、
まだ小学校に上がるかどうかの足が床につかない子供。
先程から親の“きちんと食べなさい”の言葉に抵抗し、
泣いてあれこれ応戦していたのだ。
そして、先にキレた親の脅し言葉に対抗して出た言葉が、
この“ムラサキは食べる色じゃなあい”だったのだ。
すばらしい感性、すばらしい説得力あるフレーズ。
誰が教えたのだろうか!?
いや、子供にとっても、紫は口に入れる色でないことは
本能的にわかるということか。
私たちのテーブルでも、この子供の発した
クリエイティブなフレーズが話題となり、
目の前の大皿の紫色のソースは、シェフの思いをよそに、
その美味しさを失っていた程。
たぶん他のテーブルのお客様も、
この子供の大きな声でのフレーズに、
ナイフとフォークを止めたことだろう。
う~ん、
やっぱり紫は食欲をそそる色ではないのだ…と
言いたい訳ではなく、
子供の既に持ち合わせている感性の
すごさを改めて感じたのだ。
この頃までは本能のままというか、感性のままに動き、
言葉を発しているだろう。
しかし、次第に大人の顔色をうかがい、
自分が一番したいことのために、
あれこれ妥協しているうちに、
本来の本能であり、感性を失っていく
ということなのか…うんうん。
それはともかく、この紫ソース少年は、たぶん今後も
“紫色の食”に対しては、抵抗を持つことだろう。
その時の親のイヤな記憶まで残るかもしれない…。
“三ツ子の魂百まで”という慣用句をご存知だろう。
とにかく小さい頃に体験したことによる好き嫌いは、
その後の人生にず~っと引きずるというから…。
この紫ソース少年の話はこのくらいにして、
私が15年以上前に発信した
“三ツ子の魂、百までライフスタイル”。
私が子供の頃に流行り、
体験し、感じたこと思ったことは、
いまだに自分の価値観に大きく影響している。
すなわち、価値観のものさしは子供のときに
既に出来ているということだ。
だから、ビジネスにおいても、ターゲットがどの時代に
多感な時期を過ごしたのかで、その結果は大きく違って
くる。
私はいま還暦を回ったばかりだが、少し先の団塊の世代
(60代終盤)とは異なり、その価値観は違うのだ。
もしかしたら6~7年の世代ごとに違って来ているのかもしれない。
こんな世代ごとの価値観の違いを、
その時代に行っていたモノ・コトと比較したのが
“三ツ子の魂、百までライフスタイル”だったのだ。
いま、この概念を活用しても、十分にマーケティングには
活かすことができると思う。
せっかく、この概念を思い出したことだし、
改めてその後の人たちの世代ごとの価値観の違いを
比較し表にしてみようかな?
“新・三ツ子の魂、百までスタイル”となるわけだ。
けっこう大変な作業になるなぁ~。
まぁ~人生はちょっとしたことで
その道が決まる訳だから…、
あの紫ソース少年は、
カラーコーディネーターとなり、
色の持つ可能性について語る人になるかもしれない。
いやあえて食の仕事につき、
ムラサキのフレンチディナーに
チャレンジするシェフになっているかもしれないのだ。
そう、“タイムトンネル”に入り、
この少年の将来を見たいものだ。
“タイムトンネル”をわかる人は、
1960年より前に生まれた人だし…。