03/27
2017
料理人とさくらんぼとフンの関係
「あなたは、さくらんぼの気持ちがわかってないなぁ~」
と言って席を立ち帰ってしまったお客様がいたという。
奥田シェフはそこからさくらんぼの気持ちをわかろうとして、
さくらんぼ畑を訪れ、あれこれ考え…、そして行き着いた料理は…
奥田シェフとはもう10年来の付き合い。
そして度々、声をかけ、イベントや取材で協力してもらっている。
なのに会う度に、次なるユニークな発想であり、行動に驚かされる。
「さくらんぼの木の側に立ったんですよ。
するとやっと、さくらんぼが赤く目につくカタチでぶらぶらしてるのは、
鳥や動物たちに食べてもらいたいからということに気づいたんです。
そう、美味しく食べてもらい、フンをして、
種をあちこちに拡散してもらいたいわけで…」
だから火を入れて、タルトにしてしまっては、種は死んでしまうし、
本来の美味しさも失ってしまう。
そして、デザートでも、
さくらんぼより甘い生クリームをつけてはダメで…という料理にたどり着いたという。
ほ~さすが!
料理人 奥田政行氏は、そこまで考えるんだ。
いま読んでいる生産性を上げるための、
MBA取得のコンサルタントの話と大きく違う。
この本はこれで目先のビジネスを考える上では
ついつい納得してしまうわけだが…、
ここには社会性であり、地球規模のヒューマンな考え方が欠落しているのだ。
(ワ―ルドワイドだけど、地球規模ではない)
それはともかく…、奥田シェフはこんな話もしてくれている。
若い人たちが入社してくるにあたって、“プロの料理人になってもらいます”と。
料理人の役割は何なのか、この職業の宿命とは…を語り、
“人間”よりも“プロ”を優先してもらう覚悟を持って
入社してもらおうとしているのだ。
(だから、今の政府の動きに対して、
日本ならではの職人がいなくなり、国力を失うとまで言っている)
この話によって半分くらいの若者が入社をあきらめるという。
(お~そんなに!)
それでも語る理由は、この仕事はそのくらい歴史を見ても、
社会的にも重要な役割を担っていることを解って、
追求して欲しいと思うからなのだろう。
そのくらい自分の仕事に対する理解と誇りがない限り、
続かないし、ついつい経済性に走ってしまうからねぇ~。
その仕事の役割であり “宿命”。
やっぱり、そこがわからず仕事についてしまうと、
追求できずに ラクな方へ流れてしまうことになるということ。
おっと、私たちの業界の役割であり
存在理由をしっかり追求しておかなくては…
そして働く人たちに 共有しておかないと、会社はブレることになる。
そうそう、里山を活かした料理人 奥田シェフには
“里山と生きる協会”をしっかりと応援してもらわなくては…。