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2020
『ザッポス伝説2.0』ハピネスドリブンカンパニー トニー・シェイ著
“ザッポス”をご存知だろうか?
日本ではまだ販売されていないが、靴のオンライン販売の会社だ。
著者のトニー・シェイ氏はこの“ザッポス”のCEO。
今注目されている企業で2冊目の本だ。
この本を開くと1ページ目に
“ザッポスの目的”とあり、
「顧客と社員とコミュニティーと取引先と株主の
すべてに向けて、長期的かつ持続可能な方法で
ハピネスを提供できることを証明し、
世界をインスパイアすること」とある。
要するに、「WOW(ワオ)を体現して提供することだね」
とトニー・シェイ氏は口語調で書いている。
ザッポスの驚愕の企業文化は、その組織にも現れている。
通常のヒエラルキー的組織ではなく、
社員一人一人の自律的な振る舞いの結果として秩序を持つ
大きな組織を作ることを目指している。
小さな会社であれば、一人一人が何らかの責任をもって
対応することは可能だが、この会社は年商1000億円超企業。
大きな企業での“自己組織化”の実現は、
ティール型組織を大規模会社でもやっていけるという
ことを証明したということ。
そしてアマゾンがこのザッポスを800億円で
買収したことでも注目された。
アマゾンは、将来脅威となる可能性のある企業を
まだ企業規模が小さいうちにM&Aし、
グループに入れるという戦略をとる。
しかし、アマゾンはザッポスに対して、
傘下のeコマース企業でありながら
独立した経営をトニー・シェイ氏に約束している。
“ザッポス”の10のコア・バリューを紹介する。
1.サービスを通じてWOW(驚愕)を届ける
2.変化を受け入れ、その原動力となれ
3.楽しさと、ちょっと変わったことをクリエイトせよ
4.間違いを恐れず、創造的でオープンマインドであれ
5.成長と学びを追求せよ
6.コミュニケーションを通じて、オープンで正直な人間関係を構築せよ
7.チーム・家族精神を育てよ
8.限りあるところから、より大きな成果を生み出せ
9.情熱と強い意思を持て
10. 謙虚であれ
アマゾンは、IT技術を駆使することでCSを実現しようとしている。
一方、ザッポスは、ITを使用するが、従来から存在した
“人を思う気持ち”と、“人と人の繋がり”を大切にしてCSを
追求しようとしているのだ。
これぞまさに私が小阪祐司氏との対談の時に
つくった言葉、“ヒューマンドリブン”だ!
オンラインではあるが、実際にはオフラインに近い体験が出来る
のがザッポスの目指すところ。
もしかすると、アマゾンは“ザッポスの企業文化”に
興味を持って買収したと言ってもいいのかもしれない。
この本にはいかに一人一人の裁量が日々のビジネスに
活かされているか、
“WOWな対応”の事例がたくさん掲載されている。
新しい企業文化を創り、新たな“ヒューマンドリブン”を
実現する企業・・・やっぱり出てくるんですね!