これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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11/02
2015

1102十勝バス、野村文吾社長

子孫のためにも“恩送り”の実践!

「“恩送り(おんおくり)”という言葉があります。
日本に古くからある言葉で
“おんくり”と読まれたりする言葉なんですが…。
受けた恩をその人に返すのではなく、
他の人に返す(送る)ことを言うようです。
だから私は当社の取り組みを、
今後の全国の地方都市のためにであり、
取り戻した“誇り”を未来の人材である
子どもたちのために発信していきたいと思います…」

これは、先日の北海道十勝を訪れての研修ツアーで、
十勝バスの野村社長が語った話。
野村社長は、この十勝で生まれ、
父が十勝バスを経営していたことで、
十勝の多くの人たちにお世話になって
東京の大学も行かせてもらったようなものだという。

だからこそ、試行錯誤の末厳しい経営状況から脱した今、
“恩送り”を実践していきたいというのだ。

この“恩送り”という言葉、
かすかに耳にした記憶はあるが、
ほとんど使うこともなく頭の隅からも
抜け落ちようとしていた。
だが、このところ“タテの発想”の重要性をテーマに
あちこちで語り歩いている私としては、
かなり注目に値する言葉としてとらえている。

この言葉にあるように、確かに、
お世話になった人、与えてくれた人へ
返そうとするだけで終わってしまうと、
そこ止まりになってしまう。
次の世代や違う場所でその“恩送り”をすれば、
様々なところであり、
未来社会での正の連鎖が起きることになるだろう。

…なんて考えながら“恩送り”を調べていたら
トルコの軍艦「エルトゥールル号」の話が紹介されていた。
そう、このビジ達でも何度かご紹介した125年前(1890年)に
紀伊大島沖で座礁大破して約600名のトルコ人が犠牲となった事件だ。

台風で大荒れだったことで起きた大事故だったが、
大島の島民はその大荒れの海に飛び込んで69名のトルコ人を救出した。
さらに、貧しい村であるにもかかわらず、
かけがえのない備蓄の食糧をも提供し助けたという。

その恩返しが1985年イラン・イラク戦争の時の
在留邦人への救助飛行機の提供というカタチとなった。
まさに95年後に“恩送り”が実行されたということだ。

もちろんこれ以外でも身近なところでは、
親に受けた恩を自分の子に返すというのも同じだろう。
また、仕事において先達から学んだスキルやノウハウを、
次の世代に伝授することも“恩送り”に入るだろう。

私の論である“パラダイムシフト75”により、
この75年は残念ながら“恩送り”からは遠ざかった価値観で
社会が形成され様々なビジネスが展開されてきたと言っていい。
まさに、目先であり、自分たちだけを優先した
価値観だったのだ(今も続いている…!?)。

パラダイムの過渡期である今、ぜひ“恩送り”を心がけ、
その先の私達の子孫にその善循環が
巡ってくるようにしたいものだ。
私達が生きているうちは難しいかもしれないが、
そうしない限り、いい社会、いい未来はやってこない。

とにかく“恩送り”を代表とするタテの発想、
タテに重きを置いた行動や
ビジネスを実践するときがきているのだ。

いま取り組んでいる北海道十勝でのワイナリー構想も、
実は“恩送り”の実践であり、タテの発想と言えるはず。
だが私の場合は、これまで学んだ知識やノウハウ、
人的ネットワークが本当に成果の出せるものかどうか、
クライアントのいないところでチャレンジして見たかったということ。

こんな私でも、たくさんの人たちから
多くの恩をもらっているからねぇ~。
いや、まだ未熟の私は恩を送るより、
恩をもらうほうが多いのかもしれない。

もしかしたら“恩送り”って、まるで先義後利!

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いまこそ恩送りの実践!

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まだまだ学ぶべき点は多そうだ

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バス事業で“恩送り”

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善循環でよい社会づくりを!

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シナジースペシャル

11/02
2015

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ブレスト流 シナジーの連鎖

プラスチックの原料をご存知だろうか?
燃えないゴミのイメージが強いが、
その正体は石油。
実はメラメラとよく燃えるものも多い。
ということは、燃料に成りうるものなのだ。

そんなプラスチックを実際に
燃料に戻してしまう装置をつくり、
各所から注目を浴びているのが、
株式会社ブレストという企業。

プラスチックを油化させる技術は
以前から存在したのだが、
現実的に活用するのはなかなか難しかったそうだ。

すべてのプラスチックを
油化できるわけではないそうで、
分類するのに時間もかかる。

このような理由もあり、
今までは実際に使用できる装置の完成に
至らなかったそうなのだ。

ところが、いまや世界中から
問い合わせが殺到しているブレスト社。
ほかの企業も油化装置に取り組んでいたのに、
なぜブレスト社だけが注文に値する
装置開発に至ったのだろうか?

その秘密は社長である伊東昭典氏が、
自称「化学の素人」だったことかもしれない。

伊東氏には、効率や実用化の壁にとらわれる前に、
プラスチック油化装置の存在を
多くの人に知ってもらいたいという思いがあった。

そこで、大型装置の開発を目指す大手企業とは違い、
まず展示会用に“小さい”油化装置を開発したそうなのだ。

その後は卓上型の油化装置を小学校へ持っていき、
子どもへの啓発活動として体験会を開いた。
面白い催しがあるとなれば当然教師や
保護者の方々の耳にも入り、多くの人に伝わっていく。

そして学生が集めたプラスチックを入れるボックスには、
“スクール油田”の名前が…。
学校で出るプラスチックゴミは、
燃料を生み出す油田とも言えるということ!

その後色々なメディアに取り上げられると、
2009年には国際連合大学の取材までやって来た。
それが動画サイトにアップされると、
アメリカの国防総省から話を持ちかけられるという
奇跡のような展開が起こったそうだ。
まさにこれは“シナジーの連鎖”である。

国防総省からの助言で油化装置に発電機を取り付け、
同時にポップコーンをつくる機械を連動させると、
これがまた分かりやすいと大人気に。

当初は投資の方が圧倒的に多かった油化装置も、
十分利益が生み出せる事業展開になってきたという。
シナジーの連鎖が起こったことによって、
社会から、企業から、世界から注目されることになったのだ。

ブレスト社のシナジー連鎖は、
鍵山相談役の言葉を借りれば、
「0から1への距離は、1から1000への距離より遠い」
ということなのだろう。

大手他社のように様々なケースを考慮した
ゴミ処理施設用の巨大なものではなく、
卓上の小さな油化装置をつくったことが、
0から1へと踏み出すきっかけとなったのだ。

そしてそれは次なる連鎖をも生み出す。
度々私が「相乗効果は行動の二乗に比例する」と言うように、
少しでも行動すれば何かが前進し、
さらなる相乗効果に繋がるということだ。

ビジネスにおいても同じで、何か行動を起こせば
“シナジーの連鎖”が発生する。
これこそが私たちのこれからのビジネスに
必要な要素なのではないだろうか?

さて、そんな伊東氏にもご出演いただいた
ラジオ『BUSINESS LAB.』は
11/15&11/22日曜日の朝、6:00~7:00
Inter FMにてオンエアだ!

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BUSINESS LAB.で伊東氏と

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先取りビジネストレンド

11/02
2015

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ネイチャーガイド体験というワークショップ

「さあ皆さん、風を感じてください」
奥多摩の川沿にあるの森の中の景色が広がる中、
こんな言葉を発したのは、
東京最後の野生児と呼ばれるツッチーだ。

ツッチーこと土屋一昭さんは、自然を深く知って
体感するためのレクチャーをしてくれる「ネイチャーガイド」だ。
ん? ネイチャーって? と思った方もいるだろう。
つい先日、自然の演出家とも言われているこのツッチーから、
自然に関するさまざまなことを教えていただく機会があったのだ。

実は御岳山でマネージャー(会社の役員も含め)の
合宿をすることになったのだが、
ここではツッチーの案内のもと、
五感を使って自然を楽しむ体験をさせてもらえた。
都心にいると、なかなかそんな体験はできないよねぇ。

心身をリフレッシュするだけではなく、
ツッチーが用意してくれた体験の中で、
私が特に着目したのがネイチャーガイド体験。
これは、ガイドされる側ではなく、
ガイドする側になるという内容だ。

ガイドする側ということは、
話を聞く参加者という立場とはかなり違ってくる。
どうすれば参加者にその価値を伝えられるのか。
どんな体験が、意味のあるものとなるのか。
教える側としてコミュニケーションの方法を考えると、
自然の捉え方、解釈は大きく変わってくる。

マクロ的視点で自然を捉え、
体験者のことを考えてコミュニケーションしない限り、
いいガイダンスにはならないのだ。

これは以前からビジ達でもたびたびご紹介している、
“三角コーン力学”にあてはまる。
円錐が逆向きになっている図を思い浮かべてもらいたい。
広い範囲で空から降る雨を受けいれ、その雨は先端へと下っていく。
より大きく広がったアプローチをしたときに、
その効果はそれより下部にある円錐の先端に現れてくるということ。

ということは、
ガイドされる側ではなく、ガイドする側となったことにより、
ネイチャーガイドのようにより自然の持つ可能性を私たちに教えてくれるのだ。

一段階上に位置してガイドするという経験を経たからこそ、
私たちはより自然のよさに気付くことができた。
ワークショップという、
お互いがプレゼンテーションしあう場というのは相乗効果を高められる。

私もいろいろセミナーをやらせてもらう立場として、
勉強になることが多いネイチャーガイド体験だった!

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すごい立派な木々が生い茂っていた

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実際に触れて体感する

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改めて風を感じてみるといいよね

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ツッチーのガイドを真剣に聞く

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ひとりひとりがネイチャーガイド体験!

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10/26
2015

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長いも掘りも“遠慮”の視点

うわ~~大きい! 太~~い! スゴ~~い!
(女性からの感嘆の声)

なぜか、この声を聞くと男どもは照れくさくなってしまう。
場所が変われば、男としては、
とってもうれしく自信のみなぎる言葉なのだが…
(若い頃に耳にしたかった…)。

ここは北海道十勝の大平原。
男たちはタオルを首に巻き、スコップを握り締め、
大地と格闘しながら汗だくでチャレンジしている。
その掘りの深さは80センチほどだろうか。

このくらい深く掘らない限り、
長いもの先端は顔を出してくれないのだ。
ほどほどで抜こうとすると、
“パキッ”という音と共に真っ白な折れ目がむき出しに。

この時は、さすがに徒労感が漂い、ガックリとなる。
だからこそ次は確実にものにしようと、
手を抜かないし、気も抜けないのだ。
この緊張感が男たちをより駆り立てているのかもしれない。

とにかく、手作業による長いも掘りは手間がかかるし
エネルギーも使い、きれいに掘り出すのは至難の業。

この時も男衆(経営者たち)は、ブツブツ言っていて
なかなかヤル気を出してくれなかったのだが、
掘り始めて15分ほどすると
なぜか口数は減り黙々と掘り始めるのだ。
経営者というより、1人の農夫として長いもと対峙している状態。

なぜここまで、長いも掘りは人を夢中にさせるのか。

“この長く太い長いもを美しいまま掘り出したい!”
こんな目的意識が芽生えた途端に、
人は時間を忘れ真剣に取り組むことになる。

もしかしたら、ビジネスも一緒かもしれない。
人に言われたからではなく、
自分自身の中でしっかりした目的意識が芽生えたとき、
人はいろいろと試行錯誤を繰り返し、
自分のやり方で進んでいくということ。
長いも掘りのように、時間を忘れて一生懸命に取り組むのだ。

ふむ、ふむ。ということは…
早くに長いもが折れてしまうような失敗体験こそが、
必要条件と言えるのかもしれないね。
すなわち、スタッフのビジネスにおける
ちょっとした失敗を勇気を持って見過ごせるかが、
まずはリーダーに必要なポイントとなるのだ。

あ~、そう考えるとその昔はついついスタッフが失敗しないように、
最初からあれこれ細かく言ってしまっていたなぁ~。
あれじゃ、人は成長しないんだよなぁ~(反省しきり)。

とにかく、人の育て方も長いも掘りも上辺だけではダメで、
それなりに深い考察が必要ってこと。
あ~またあの言葉が頭に浮かぶ。
“遠慮(遠きを慮る)”だ。

この二文字がいろいろな場面で活躍する。
見えない土の中を慮ってこそ、いい結果に出会える。
この発想こそが、今の時代のキーワードと言っていいのかもしれない。

そういえば、今回ゴボウ抜きも体験したなぁ~。
長いもに比べれば、結構あっさり抜けたっけ。
でも、ビジネスは“ゴボウ抜き”のようにはいかないのだ。 ask synonym

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長いも掘りに挑戦!

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予想以上に骨の折れる作業だ

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先取りビジネストレンド

10/26
2015

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スパイバー流ソリューションビジネス

スパイバー(Spiber)?
スパイダー(Spider)の綴りを
間違えたのだろうか?

そう思ってしまうようなこの言葉は、
スパイダーとファイバー(fiber)を
掛け合わせた企業名。

その名の通り、世界で初めて
人工の蜘蛛の糸の量産化技術を確立した、
いま大注目の企業である。

一体なぜ、“蜘蛛の糸”の製造で
注目されているのだろうか?

一般的には、蜘蛛の糸というと
人の手でプチンと切れてしまう
イメージがあるかもしれない。

しかし、実はとてつもなく丈夫で強固な糸なのだ。
それが一体どれほどのものかと言うと…。
・鋼鉄の4倍の強度
・ナイロンを上回る伸縮性
・既存の繊維のなかで最も丈夫
・300℃以上の熱に耐える
ざっと挙げただけでも驚きの性能ではないか!

しかもシルクと同じように
タンパク質でできているのだが、
自然界に存在する物質“糖”が原料なのだという。

つまり特別な材料は不要で、
害もなく地球にやさしい製造が可能なのだ。

すなわち人工の蜘蛛の糸は、
再生可能な生物由来の資源=バイオマス。
まさに “スーパー繊維”!

しかし、これまでは量産するのが難しかったそうなのだ。
そんな中でスパイバーはとある大手の
自動車部品メーカーと提携し、
ベンチャーキャピタルなどから
50億円もの出資を募って開発を進めてきたという。

スパイバーの代表執行役である関山和秀氏は、
元々慶應義塾大学の研究室で蜘蛛の糸に携わってきた方で、
在学中に会社を起ち上げたのだという。

いかにも研究者らしい真面目な印象を受けるが、
関山氏は元々「地球規模の課題を解決できる
ビジネスを展開したい」という志を持っていたそうなのだ。

世の中に役立つ仕事でないと長続きしない、
という信念を持ってのチャレンジである。

これはまさに “ソリューションビジネス”であり、
私が言うところの“タテの発想”!
そんな素晴らしい想いがあったからこそ、
創業から現在までの短期間に
ここまでの援助や協力を引き寄せられたのだろう。

資源をむやみに消費せず、
自然に存在する物質を原料とする技法や、
課題解決のために“蜘蛛の糸”の量産体制を実現させたことは、
今までのものづくりの常識を変えてしまうような出来事だ。

目先の利益にばかりとらわれていると、
関山氏のようなアイディアは出ないし長続きもしない。
私が思うに、ソリューションビジネスは
“タテの発想”をしている方々が生み出すものではないだろうか。

地球規模で見た課題を解決しようとする姿勢があるからこそ、
“タテの発想”、“タテの経営”を行う人には
大勢の協力者が傍にいてくれるし、
長期的に続く事業となり得るのだ。

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スパイバーの関山和秀氏

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