
09/16
2025


映画『国宝』にみる“人間万事塞翁が馬”!
北米での公開が決定した映画『国宝』を観ただろうか?!
私はあの3時間の長編映画をなぜか2回観ることに…
実は初回鑑賞のときは、そのストーリーであり、
3時間を超える長編映画であることすら理解していなかった。
ということで、ここまで人間模様が次から次へと
展開することへの心の準備ができていなかったのだ。
すなわち、初回の鑑賞では、『国宝』の持つ醍醐味まで
たどり着くことができなかったということ。
【華やかな歌舞伎の裏舞台にある葛藤と情熱を描く?!】
6月に公開された吉沢亮(主演)、横浜流星、
渡辺謙らが登場する映画『国宝』(李相日監督)。
公開94日間で、観客動員数946万人、
興行収入は133億円を突破したという。
(パチパチパチパチ、素晴らしい!)
ちなみに、監督の李相日氏は、
あの『フラガール』というヒット作で注目を浴びた監督。
そして『国宝』は、人気作家・吉田修一氏の
最高傑作と呼び声の高い長編小説でもあるのだが、
吉田氏自身が3年間にわたり歌舞伎の黒衣(くろご)をまとい、
楽屋に入った経験を血肉にして書き上げた渾身の作品と聞く。
うんうん、2度観した私としては…
李監督は、その華やかな歌舞伎の表舞台の裏には
葛藤や情熱、そして家族や伝統への思いがあることを
伝えたかったのだろう。
その丁寧でリアリティある描き方が
評価されたということなのかもしれない。
【迫真のキャラクター描写と圧倒的な演技力】
映画『国宝』は、歌舞伎の華麗な世界と
任侠の厳しい現実を織り交ぜた人間ドラマで、
観客をその世界に引き込む力が感じられる。
吉沢亮が演じる主人公・喜久雄。
歌舞伎の名門に引き取られ、その特異な才能を開花させる。
この映画の見どころの一つは、
才能と努力の狭間で葛藤する喜久雄の人生。
その美貌と才能を体現する吉沢亮の演技は、
観る者に深い印象を残している。
また、横浜流星が演じる俊介とのラブ・ライバル関係が
物語に緊張感を与え、
二人の関係がドラマを一層ドラマチックにしている。
【芸に捧げた人生の代償を描いている?!】
主人公・喜久雄は、歌舞伎役者として成功するために
私生活を犠牲にし、一時は家族からも離れている。
彼の行動は、一見すると自己中心的にも見えるかもしれないが、
高みを目指す者の勢いであり抑揚なのかもしれない。
終盤の彼への取材インタビューでの
“景色が見たい”という言葉には、
自分自身の信念を貫くために選んだ人生の重みが表れている。
↓ ↓ ↓
この『国宝』は、歴史ある歌舞伎の世界を舞台に描いているから
物語として“表と裏”のメリハリを享受できるわけだが、
私たちの人生においても…
信念や思いを貫こうとすることで
多くの代償を払うことになったり、
思うように行ったり行かなかったり。
ちょっとした人生の綾で歩む先が大きく変わってくるのだ。
とはいえ、自分の“存在理由”であり“信念”を持って歩むことが、
“自分の人生”として責任を持てることになるのだろう。
この物語の主人公の喜久雄であり俊介はもちろんだが、
私の人生も含めて、改めて“人間万事塞翁が馬”を思う。
いつの間にか“古稀”となってしまったが、
果たしてこれからのビジネスであり人生において
どのくらいの禍福が待っているのだろう?!