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11/14
2016

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さいちの行列の理由(わけ)

また行列ができていた!
お店の前にも、中にも、駐車場にも…。
コンビニほどの小さなお店の「さいち」は連日大賑わいで、
年間7~8億円の売上があるそうだ。

さいちは仙台の秋保温泉にあるスーパーマーケットで、
私はもう15年(?)ほど前からしばしば通っている。
このときも4つある駐車場はほぼいっぱいで、
変わらない人気ぶりが伺えた。

早速店の中を覗こうと近づいたら、
なんと入り口で既に8人ほどのお客様が並んでいる!
祝日とはいえ、こんなのは初めて。

中へ入ると、店のメインであるお惣菜、お弁当、
おはぎが並ぶ通路はひときわ混雑していた。
店内でも順番を待たないと、
ここのおはぎを買うことができないのだ。
私はここを「さいちの銀座通り」と名付けている。

この「おはぎ」は1日平均5000個、
春と秋のお彼岸には、なんと1日で2万個売るそうだ。
小さなスーパーの「さいち」は、
なぜここまで繁盛店になったのだろうか。

その昔、さいちには250~300のお惣菜のマニュアルがあったそうだ。
ところがある日、マニュアルで作られた
きんぴらごぼうを食べたお客様が、「昨日のは塩辛かった」と
社長の奥様である専務に伝えたという。

専務が早速担当スタッフに確認したところ、
「マニュアル通りに作りました」という答え。 

この出来事を受けて、社長と専務は
朝の5時くらいまで話し合ったという。
そしてその結果、300種のお惣菜マニュアルを
すべて捨てるという決断となった。

つまりマニュアルがあることで、スタッフは
自分の作ったお惣菜の味に責任を持たないようになってしまった、
という結論に至ったのだ。

この決断により、当然手間はかかるようになったが、
お惣菜もおはぎもさらに美味しくなったという。
スタッフが味に責任を持ち、新人にもそのコツを
きちんと教えてくれるようになったからだ。

選ばれる理由には、目先のことに惑わされない
思い切った決断が大切だということ。

株式会社イエローハットの創業者である鍵山秀三郎氏は、
「価格だけが競争ではありません」と
ほかの要素の大切さを語ってくれている。

そして、吉田カバンの吉田吉蔵氏も、
人件費の安い外国に頼らず、
職人を育むために国内だけで製造を行うと決断した。
 
このように、目先の利益や効率、お金、
経済だけではない決断が、選ばれる理由になっているのだ。
そしてさいちの行列も、その当時の経営者の決断によるもの。
この美味しいおはぎの味も、その時の「英断」のお陰なのだ。

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仙台の秋保温泉にあるお店「さいち」

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こんなに行列が…

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お彼岸には1日2万個も売れるというおはぎ

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店内にも順路があるほどの人気ぶり

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経営者の「英断」が大繁盛店へと導いたのだ

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