「う…うま～～～～～～～～～～～い!!!!!!」
思わずそんな声が出てしまいそうになるのは、
うなぎの老舗店・野田岩のうな重。
程よく脂ののったうなぎはふっくらとやわらかく、
さらにタレが素材の持ち味を
一層引き立てる上品なおいしさだ。

今からおよそ200年前に創業した野田岩は、
徹底して素材にこだわり、
伝統の味を今も守り続ける名店だ。
東京タワーの近くにあるという立地もあり、
昔から武家や各界のお偉いさんが訪れていたという（？）。

脂ギトギトのうな重ではなく
少しさっぱりしている方が好まれるし、
繰り返し食べてもらえる。
創業当時から伝わるこだわりの
焼き加減と味つけが、愛され続ける秘訣だろう。

先日、野田岩五代目の金本兼次郎氏と、
お話をさせていただく機会があった。
12歳からうなぎの配達を始めたという金本氏は、
現在85歳。なんとうなぎ一筋73年！
つまり、世の中にいる多くの社会人の倍以上は働き続けている。

ちなみに金本氏がパワフルなのは仕事だけではない！
なんと80歳の時にヒマラヤの高峰に登ったことがあり、
今月また挑戦するというのだ。
その年齢を感じさせない体力と行動力には恐れ入る。

金本氏の最初の仕事はうなぎの配達だったというが、
現在は五代目であるのと同時に
オーナーシェフ（洋風に言うと…）でもある。
まさに現役バリバリというわけ。

毎朝4時に起きてうなぎの仕込みを始め、
焼き加減にも徹底的にこだわる。
すべてはお客さまに極上のうなぎを提供するため。
その仕事に対する徹底した姿勢はまさに“仕事道”と言える。

仕事だけに限ったことではないが、
何か1つの大きな目標を持つと、
その達成に向けて日々の生活の中で
心も体も鍛錬するという意識が芽生える。
つまり、何事も凡事徹底ということ。

徹底追求するから“道”に辿り着くのか、
継続の“道”を探すから“道”に出会うのか。
徹底して何かを追求してきた人は、皆“道”に辿り着いている。

それは仕事においても同じだ。
自分たちの築き上げた技術や
文化を次代へ繋げるためには、
継続が不可欠だ。

働いているからこそ鍛えられる。
“仕事道”は、人の“道”も教えてくれるのだろう。