これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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10/17
2016

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“奥田政行流”仕事道

このところ、地産地消のレストラン、アル・ケッチァーノの奥田シェフと
何度か一緒にイベントをさせていただいた。
イベントでは奥田氏に色々とお話していただいたのだが、
どのイベントでも参加者の皆さんは奥田氏の話に耳を傾け
熱心に聞いてくれて、大成功のイベントとなった。

何故、氏がこれほど人々の支持を集めるのか改めて考えてみたのだが…。
奥田氏の著作『地方再生のレシピ』の冒頭に書いてあったことばに
その秘密を見つけたのだ。

「自分の暮らすところを再生するには
自分の地域を世界から見て
なにがあってなにが無いか
なにが長所でなにが短所かを知ること
世界の中で日本の中で
なにがオンリーワンなのか
これがわかると
なぜ自分の地域にはこんな料理が残っているのか
なぜこんな味が好まれているのかがわかります
そしてこの先の未来に
どんな料理が生まれてくるのかも見えてきます」

この『地方再生のレシピ』という本では、
奥田氏の故郷、山形県の庄内地域が氏の活動で
活性化していったプロセスが書かれている。
すなわち、奥田氏はこの本で“料理”ではなく、
料理を通じた地域の活性化策を語っているのだ。

31歳でアル・ケッチァーノを始めた奥田氏。
彼はそこから、地域に本当に必要なものと
「食」が果たせる可能性を
地域の人とコミュニケーションしながら模索した結果、
庄内地域の活性化を果たしたのだ。

そこで思い出したのが、
拙著『儲けないがいい』のプロローグとして書いた
「3人の仕事」の物語。
ある小さな島に、狩り上手のA、
農業上手のB、料理上手のCという3人がいた。

3人はあるとき話し合い、Aは獲物を3人分とってきて、
Bは3人分の野菜をつくる。
Cは狩りも畑作もできないかわりに、
AとBの食材で3人分の食事をつくることに決めた…という話だ。

この話は料理の重要性を伝えるため書いたのではないが、
料理には、確かに関係する人たちをいきいきとさせ、
コミュニケーションを促す役割があるのではないか。

つまり、地域で食材をつくる生産者の人たちがいて、
その食材を使う料理人がいると、
その料理を地域の人が食べ、地域が活性化する。
そして料理の評判が広まると、
他の地域からも人が集まってくるのだ。

このように、活性化のエネルギーを点から線、
線から面に、面から地域全体にまでつなげたのが奥田氏だ。
氏は本の最後で、こう述べている。

「自分の地域を好きになると、地域の事を知りたくなる。
知り尽くすと、悪いところも見えてくる。
それも全てひっくるめて地域のことを考えると、好きが愛に変わる。
すると、覚悟ができて勇気が湧き、
自分がいなくなったとき、この地域に何が残せるか
考えられるようになり、
利他的な行動ができるようになる…」と。

私がすすめるワイナリー構想でも、
続けるうちに地域のいいところ、悪いところがわかってくる。
そして、どうすればいいのかを考えるようになり、
それがこの地域を活かすオリジナルな発想となって
多くの人を巻き込んで行くことになるのだろう。

最終的に、次世代に何が残せるのか…を考えるようになる、
これぞ“奥田政行流”仕事道。
奥田シェフもまた、自分の仕事道を見つけ、
実践し続けるビジネスの達人といえるのだろう。

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奥田政行シェフの著書『地方再生のレシピ』

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料理を通じての地域の活性化策をお話ししてくれた奥田シェフ

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イベントも大成功となった

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奥田シェフの素晴らしい料理に舌鼓をうつ

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中島セイジ拙著『儲けないがいい』

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