02/09
2015
ピケティ『21世紀の資本』
日本語版で700ページ以上、価格は6,000円近く!
(ヒエー!…いやいや、価格のことじゃないよ!)
そんな経済書が、いま世界的ベストセラーになっていることは、
きっとビジネスに関わる皆さんならご存知のはず。
そう、トマ・ピケティという
フランスの経済学者が書いた『21世紀の資本』のことだ。
先週のモバイルショットでも少し触れたが、
いま本屋に行くと経済書のコーナーに
この本がずらりと並んでいる。
現在の資本経済がもたらす
格差について書かれたこの本では…
というといかにも読んだみたいだけれど、
実はまだ読んでいない!(エッ??)
ただし、本を解説した書籍や雑誌、番組は
しっかりチェックしたからご安心を。
この本で取り上げる最も大きなトピックは、
「現在の資本主義は格差を拡大し、固定してしまっている」
ということだ。
ここで言う資本主義というのは、
不労所得による資本が幅を利かせている状態のこと。
たとえば、米国で上位10%の富裕層が総所得に占める割合は、
1980年に34%程度だったのに対し、
現在は50%近い水準にまで急上昇している。
戦争などの不幸な出来事は
経済的な格差を縮小する方向に傾くが、
この資本主義はその縮小分をあっという間に
取り戻してしまう勢いなのだ。
ここで不等式「r>g」が登場する。
つまり、株や不動産・債権などの投資による資本収益率=rは、
平均的労働者の所得に大きく関わる経済成長率=gを
上回り続けているというのだ。
つまり、ピケティ氏が言いたいのは、
現在の資本主義では格差の是正が望めないということ。
これまで、米国の経済学者の多くは、
「自由市場においては、
誰もが格差をなくすチャンスを持っている」と考えていた。
そこにピケティ氏の
「資本主義である限り、格差は無くならない」という本が
現れたものだからビックリ!!
たちまち大ベストセラーになったのだ。
このままでは、世界全体の格差はどんどん拡大し、
固定されていってしまう。
ピケティ氏は、それでいいのだろうか?という
警鐘を鳴らしている。
そして、その警鐘に共鳴する人が多いからこそ、
この分厚い本が世界的ベストセラーになっているのだ。
何より、この格差社会の問題は、
ビジ達で何度も語ってきたこと。
ピケティ氏のように経済学的視点から
論理的に語ることはもちろんできないが、
今の日本でも、富裕層とそうでない人たちの格差だけではなく、
都市部と地方との地域格差、業種による格差が明確に表れている。
これこそ、まさにピケティ氏が語っている
今の資本主義の構造的問題の表れに違いないのだ。
多くの人が危機感を持てば、
かならず現在の経済至上主義はひっくり返る時が来る。
そして、次なる新しい社会的システムがやってくるはず。
そう、“パラダイムシフト75”で私が言っているとおり、
今こそ価値観の大きな転換期!
…アレ? 本の話がいつのまにか持論に?
いやいや、それだけ価値観の転換が
差し迫っているということ。
ピケティ氏の指摘により、
多くの人が現在の歪みに気づいたことだろう。
転換期は、もうすぐそこなのだ。