01/25
2016
“遠慮” のワイン
「ワインは農作物である」と
改めて知ってもらうことは、
すごく大事なことです。
これは、上野にある国立科学博物館にて
開催されている「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」にて、
ソムリエの田崎信也氏が
「ワイン展のみどころ」としてコメントしたもの。
このイベントでは、ワインが出来る過程を
ぶどう畑の定点観測やぶどう踏み疑似体験などを通して
学ぶことが出来るのだ。
冒頭の“ワインは農作物”という点は
私も共感するところがある。
というのも、畑があり、農家があり、ぶどうの苗があり、
数十年もの時間や手間をかけて丁寧にぶどうを育てなければ、
美味しいワインはできない。
まさにワインは里山の産物だからだ。
そんなワインは世界中で作られているのだが、
実に7000~8000年の歴史があると言われている。(お~すごい!)
様々な地域で作られているワインは、
その土地の文化となり、
それぞれに深みのある味わいを作り出すことになるのだろう。
ワインによってその地域の文化が
作られていく様子を考えていると、
ふと思い浮かんだのが“ワインは遠慮”という言葉。
ビジ達でも紹介したが、「遠慮」とは「遠きを慮る」として
“遠い将来のことを考え、行動する”という意味がある。
ともすれば50年も長生きするぶどうの木を育て、
ワインを作ることは、良い畑や環境を維持することになり、
それは数十年後の畑にも大きく影響することになるからだ。
現在、進めている十勝でのワインヴァレー構想では、
この考えをベースに様々なチャレンジを行っている。
農業はどうしても単年度の農作物が多くなりがちだが、
ワインぶどうのように30年、
50年後を見据えた農業を行うことで、
将来に向けた農業について考えることが出来るのだ。
また、ぶどうをワインにして販売しようとすると、
当然その味が気になるようになり、
生産者自らいろいろと工夫することにもつながる。
すなわち、6次産業化はこれまでの農業を
いろいろな意味で改善しようというモチベーションにもなり、
里山を守りながらの地球全体の活性化にもなるということだ。
ワインに数千年の歴史があるように、
これから作り出されるワインが
未来にどのような影響をもたらし、
どんな文化作りに貢献するのか…。
こんなことを考えていると、
ワイン作りにはやはりロマンが
あると思うのは私だけだろうか。