02/27
2017
地方発でもThink Global , Act Local
ある講演会で、こんな質問があったという。
「なぜ、成功する小売業の多くは地方出身なのか?」
確かに考えてみると、ダイソーは広島発、
ユニクロでありファーストリーディングは山口発、
ニトリは北海道、ファッションセンターしまむらも埼玉発…。
地方でそれなりに成功させるには、
ある程度の安さがあり、
ポピュラー性を兼ね備えてないと難しい。
そして、その為にはコストと
販管費の圧縮は必須課題だ。
さらに都会で売るためには、
それなりの質とデザインがよくなければ…ということは
皆さんも予想がつくだろう。
今から15年程前、ニトリの創業者である似鳥昭雄社長に
インタビューする機会があった。
当時は、44店舗(くらい)だったが、
今では国内外で400店舗以上を展開する
大手家具メーカー販売のニトリ。
この成長には企画・製造・物流・販売を
自社で担っていることが大きく貢献している。
その昔、似鳥社長がアジアのある国を
訪れたときのこと。
コスト削減に一番効果があるのは
現地で生産されたよいものを直買い付けすることである
と判断した社長は、
思わず買い付けし輸入を約束してきてしまった。
実は輸入にはいろいろと複雑なルールと手続きが必要で、
通常は専門的な知識を持つ商社を通すもの。
それを知らずに、約束してきたのだ。
さぁ、そこからが大変。船が日本の港に着いても
荷上げが出来ない状況に。
しかしそこで試行錯誤したことが、
結果として直輸入のノウハウを
自分たちのものにすることにつながったのだ。
(まさに「人間万事塞翁が馬」とはこのこと!)
またニトリといえば、
暮らしに必要な家具、インテリア小物、雑貨まで
トータルコーディネートが可能なことで
多くの人に選ばれている。
そこには、1980年代のアメリカの視察研修による
気づきが大きく影響している。
アメリカの雑貨流通業で有名な
「ベットバス&ビヨンド」をご存知だろうか。
似鳥社長は1980年代にこの店を視察したときに、
これからの日本のニーズが見えて来たという。
たとえ地方の企業であっても、
先んじて海外へ行くことで、
さまざまな刺激であり、気づきをもらえ、
それは、結果としてその後の事業に
大きく影響してくるということだろう。
まさにThink Global, Act Localの実践だ。
あの「ファッションセンターしまむら」も
伊勢丹に負けず劣らず、
年に数回パリ・ロンドンへ出向き、
ファッショントレンドを研究しているという、
つまり、もとより徹底したコスト削減、
販管費の圧縮が強いられていたところをベースに、
地方であっても、世界で学び、
ワールドワイドなセンスを磨いていったこと。
これこそが、多くの地方出身の小売り業が
いま成功している理由なのだろう。
その情報を、どう活かすかはそれぞれだが、
事業の立地に関係なく
地球規模でビジネスを考えることが、
“あたりまえ”の時代になったことは
間違いないようだ。
私たちも業界や立地に関係なく
“Think Global, Act Local”を
改めて考えてみよう!