これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

HOME

ビジネスの達人

シナジースペシャル

02/25
2025

syn_0225_1

不合理の先にある“合理”。未来を見据えた“バックキャスティング思考”!

先の“ビジ達”で
「不合理に見える挑戦がもたらす“長期の合理”!!」
というタイトルで、私の不合理な日々をもあれこれ紹介し、
短期の合理より“長期の合理”の重要性について語ったわけだが…

その後、定例のあちこちのセミナーで
このテーマで“参加者ディスカッション”を展開していると
いろいろな事例が紹介され、思い当たりもしたのだ。

改めてそのポイントを言うと、
優れた戦略とは、しばしば“短期的に見ると
不合理に見えるのに、長期的に見ると合理的”であり、
“部分で見ると不合理に見えるのに、
全体で見ると合理的”。
すなわち、リーダーは常に短期ではなく
“長期の合理”を意識して決断しなければならないわけだ。

【事例1、プラスチック加工業の“サカエ工業”】

まずは栃木県栃木市の創業52年目の
プラスチック加工の“サカエ工業”。

私が定期的にセミナーを開催するクライアント。
その売り上げのほとんどは大手メーカーの下請けとしての
プラスチック加工事業なのだが、
約10年ほど前から、そのプラスチック加工の技術を活かして
自社製品を開発販売している。

その製品点数も多くなり、ここ数年はギフトショーなど
展示会にも能動的に出展して、そのメーカーとしての可能性を
さまざまな角度から発信している。
もちろん開発にかかる人材や新たなルートづくりには
かなりの対価がかかるわけだが、
その先を見据えて敢えてチャレンジしているという。

すなわち“短期的にみると不合理なチャレンジ”となる。
とはいえ、このところは“プラスチック加工メーカー”として
あちこちから声がかかるようになったという。
もちろん、まだまだこれからに期待しての展開だというわけだが…

【事例2、“ZERO WASTE DESIGN”を提唱する“石坂産業”】

“ビジ達”にも度々登場する産業廃棄物処理の石坂産業。
すぐアタマに浮かんだところから紹介すると…
大金をかけた焼却炉中心の廃棄物処理プラントを敢えて廃棄し、
周りの農家や事業者であり、環境にも配慮した
“焼却炉のない産業廃棄物処理プラント”へと再構築。
当然、もっと大金をかけての再構築となった。

さらに、2億円?を投じて廃棄物処理のプロセスを見学できる
通路を設け、顧客や地域社会に対して透明性を提供。
この見学通路が、日本はもとより世界からも
多くの見学者が来訪する理由となっているという。

また、石坂産業周辺の緑地を整備し、
公園として一般に開放することで、地域社会との連携を強化し、
企業の持続可能な発展を支えている。
このように、一見すると裏付けのないように見える
投資であり戦略を決断して、
今や業界に限らず日本を代表する企業として事業展開している。
ちなみに、このところの“QB総研”主催の
リーダーズセミナー最終プレゼンコンペでは、
石坂産業からの参加者が2年続けて最優秀賞を獲得している。
→優秀な人材が多く入社しているということ。

↓ ↓ ↓

昭和・平成時代には当たり前だった各業界ビジネスが、
いまや地球規模の捉え方を求められ
さまざまな変化を余儀なくされる令和のビジネス。
今後は特に、短期的には不合理に見えても、
長期的な視点で合理的な選択を行う重要性を
教えてくれている。
だから“バックキャスティング思考”!

“バックキャスティング思考”は、
長期的視点での合理性を追求する手法として注目されている。
事例のごとく、大胆な方向転換や
先を見据えた気長な投資が、
長期的には私たちを次なるステージへと導いてくれる。
この令和ビジネスこそ、短期的な収益に囚われず、
持続可能な未来を目指しての
“バックキャスティング思考”をおすすめしたい。

syn_0225_2

プラスチック加工業の“サカエ工業”

syn_0225_3

“ZERO WASTE DESIGN”を提唱する“石坂産業”

ページTOPへ
先取りビジネストレンド

02/17
2025

tre_0217_1

“クリスピー・クリーム・ドーナツ”から令和の“異業種競争”を知る!

ある朝、京葉線特急に乗るために
東京駅周辺でコーヒー店を探してのこと。
すなわち有楽町寄りの東京駅周辺で
程よいお店を物色していたわけだ。

すると国際フォーラムの敷地内の
クリスピー・クリーム・ドーナツに行き着いた。
(私の通常のカフェ選択には出てこないお店)

オシャレで広い空間を見ながらコーヒーを頼むと、
思わぬサービスが…
それは、無料で提供されるドーナツ。
そして“温めましょうか”とまでスタッフが投げかけてくれる。

嬉しさの中で、このようなサービスが今のカフェ業界の
新たな戦略の一環であることに気づかされる。
単なる客寄せだけでなく、
業界の競争構造をも反映してのことなのだろう。


【そこには業界を超えた競合が迫る】

過去10年間、ドーナツ業界は新規参入者で沸き立ってきた。
クリスピー・クリームの人気は並外れ、
参入したセブンイレブンのドーナツも定番かと思われたが、
実際には撤退を余儀なくされた。
(またセブンは試し復活もしていると聞くが…)

その中で、ミスタードーナツが地位を維持し続けたのは、
直接の競争相手だけではない競合に対しても
備えをしていたからだという。

特に昨今の消費者のライフスタイルの変化が
業界全体に影響を与え、
業種の壁を越えた競争が日常化している。

コーヒーチェーンやコンビニが提供するカフェメニューが、
広義の競争相手と化している。
顧客は、コーヒーとドーナツの組み合わせを求めるが、
それをドーナツ専門店以外でも十分に楽しめるわけだ。

この“異業種の競争”に対処することの重要性が増している。


【業界を超えた競合に私たちはどう対処していくのか?!】

ミスタードーナツが一定の成功を収め続ける背景には、
消費者に対する柔軟なアプローチと
ドーナツ本来の魅力に立ち返ったことがある。

百円キャンペーンなどの戦略が功を奏し、
信頼を築き上げている。
(実は私もときどき、ミスタードーナツに並んでしまうことも)

時代がデフレに傾いていたこともあり、
消費者はお得感と価値を求めるようになり、
それが古典的なドーナツ店の強みとなっている。

今後、ドーナツ業界の企業たちは、異業種間での競争を
どう乗り切るか、どのように新しい顧客体験を
提供し続けるかが重要な課題となっている。

さて、ここまではドーナツでありカフェ業界の話だが、
実は私たちのビジネスにおいても、
異業種間での競争がすでにあちこちで起こっているのだ。

例えば、派遣やアルバイト市場では、
タイミーのようなスポットワーク企業が登場し、
即時働きたい人と人手を求める企業を繋ぐ
新たなモデルを提供している。

また、中古品市場にはメルカリのような企業が参入し、
個人間取引を一気に活性化させた。
今や、高価な中古品市場を含むさまざまな領域で
競合はますます激しくなっているようだ。


このように、多様なニーズに対応する革新的なサービスが
次々と現れる中、業界を越えた視点で顧客価値を再考し、
市場の変化に柔軟に対応することが求められているのだ。

私たちのビジネスにおいても、その競合は
すでに違う畑でメキメキと育っているのかもしれない。

tre_0217_2

ドーナツからビジネスを捉えてみる

ページTOPへ
選ばれるビジネス

02/17
2025

biji_0217_1

蔦屋重三郎による“吉原”からの革新!

先日お邪魔した“べらぼう江戸たいとう大河ドラマ館”。
番組『べらぼう』の見どころを写真や映像により
かなり充実した内容であれこれ紹介されていたのだ。

マイクロバスによる“吉原”含め
ドラマに関係する現地訪問も企画されていたほど。
(もちろん、時間さえ許せば行ったのだが…)

私がそのドラマ館で興味を持ったのは…
「吉原の貸本屋から“江戸のメディア王”となった蔦屋重三郎。
“蔦重”はなぜ、時代の寵児となりえたのか?
“蔦重”は、何が凄かったのか?」
と投げかけ、いろいな角度から発信されていた。

実は、“株式会社クオーターバック”は、
さまざまな大手企業が発信する定期情報誌を
あれこれ多く企画・編集制作していたのだ。

まさに、それらのターゲットを意識して
興味を持って読んでもらえる情報誌を創らないことには、
継続してお手伝いさせてもらえなかった。
だから常に“蔦重”的発想力が求められていたということ。


【“蔦重”の革新と吉原の影響】

蔦屋重三郎が他の本屋と一線を画した理由は、
彼の“戦略”にあった。
それは“広告”という当時の新しい概念を駆使した
ビジネスの革新。

彼は単なる本の販売に留まらず、本自体を広告媒体とし、
販売行為そのものが広告であるという
独自の視点を持っていたという。

たとえば、『吉原細見鳴呼御江戸』の出版では
文化人・平賀源内に序文を書かせ、
吉原という地域のブランドを際立たせることで成功を収めた。
こうして“蔦重”は、自分たちが最先端であるという
イメージを確立していった。

また、“蔦重”の革新の背景にあるのは、
彼が育った“吉原”の環境。

吉原は“通”という美的感覚を競う場であり、
文化度の高い人々が集う場所。
“蔦重”はここでの交流から洗練された美意識や
人との付き合い方を学び、
これを生かして彼独自の出版戦略を構築したという。

吉原という文化のサロンで
多くの知識人とのネットワークを持ったことが、
“蔦重”の発想を豊かにし、
新しいものを生み出す力となったのだ。


【“蔦重”のプロデュース力】

蔦屋重三郎がプロデュースした作品には、
“喜多川歌麿”や“東洲斎写楽”といった、
後に非常に有名になる浮世絵師が含まれている。
でも“蔦重”は浮世絵を多く出版したわけではないようだが…

彼はまず浮世絵出版の権利を得て、
それから斬新なコンテンツを展開していくという手法で
他の出版者とは違った道を歩んだ。

誰も知らない絵師を起用して新しい作品を生み出すなど、
常に新しいことに挑戦していった。
(やっぱり、新しいことにチャレンジしないとねえ~)

彼のこうした挑戦は、
江戸の文化を牽引する存在へと“蔦重”を押し上げた。
厳しい出版統制により逆境に見舞われても、
“喜多川歌麿”の美人大首絵で成功を収め、
“写楽”を見出して大衆文化に影響を与え続けたという。

“蔦重”の成功の裏には、多様な人間との信頼関係と
機敏な市場感覚があり、その発想力は
現代のビジネスにも通じるものがあることは間違いない。

そして、彼が時代を先取りするための確かな基盤は
“吉原”という文化遺産にあったことも間違いないだろう。

biji_0217_2

『べらぼう』の見どころが満載の大河ドラマ館

ページTOPへ
ファインスピリッツキーワード

02/10
2025

key_0210_1

不合理に見える挑戦がもたらす“長期の合理”!!

先日、手にした山口周著の『人生の経営戦略』。
その中でも注目したのは「“長期の合理”が大事」のところ。

【短期の合理より、長期の合理が大事と!】

人生の戦略において“短期の合理より長期の合理が大事”
という考え方は、多くの成功者の経験に
裏付けられているという。

「優れた戦略とは、しばしば“短期的に見ると
不合理に見えるのに、長期的に見ると合理的”であり、
“部分で見ると不合理に見えるのに、全体で見ると
合理的”なわけですが、これは人生の経営戦略
=ライフ・マネジメント・ストラテジーについても
同様に言えることなのです。
たとえば、20代以前の「人生の春」において、
“ああでもない、こうでもない”と腰が座らずに
いろんなことを試しては止めるという人を見ていれば、
誰だって“この子は大丈夫かな?”と思うはずです。
なぜなら、短期的に考えてみれば、
とにかく何かの仕事に打ち込むことが、本人の成長や、
信用の形成という点では合理的だからです」と。

うんうん、学生の頃には新聞配達もし、デパートの掃除も、
上野のネクタイ製造の現場でも働き、居酒屋でのバイト、
ホステス60人もいるクラブでも働いた記憶が。
(身近でリアルな夜のお姉さんたちをウォッチできたのだ)
その後、就職してからも転々とするわけだが…
まさに短期的にみると不合理な日々を過ごしていたわけだ。
これは私の経験だが、優先順位は目先の勉強より
バイトで生活費を稼ぎ、社会を知ることだったかも?!

【高校卒業後、ドイツのデュッセルドルフで“そば打ち”?!】

そんなタイミングで、あるテレビ番組が
北海道の幌加内(ほろかない)高校のこの春卒業の
男子生徒を取材し紹介していた。
この高校では、“そば打ち”が必須科目になっていて
その男子生徒は“そば打ち”の腕前もよく、
卒業後は、ドイツのデュッセルドルフで
“そば打ち”を目的に就職するという。

これまでの常識では、少し学んだ“そば打ち”をテーマに
18歳で海外で働く道を選ぶことは、
周囲からは“不合理”な選択と見なされるに違いない。
しかし、長い視野で考えてみると、
この不合理に見える選択は、
彼にとって、実は“合理”となる可能性が高いということ。
先週このビジ達で紹介した“移動する人はうまくいく”
という考えにも合致している。
“そば打ち”という特技を活かし、
国際的な舞台で認知度を高めることは、
個人のキャリア形成や、独自の社会資本の獲得に繋がる。

そういえば、スティーブ・ジョブズの
“connecting the dots”の話も、このことを発信していた。
ジョブズが大学でのカリグラフィーの学びや
インドでのスピリチュアルな旅を通じて、
自分の経営に活かしたことと同様に、
この高校生の選択も長期的視野で見れば
豊かな人生を切り開く鍵となるはず。

↓ ↓ ↓
私たちの仕事においても、
短期的には非合理に思える選択や挑戦があるかもしれない。
しかし、令和の時代においては変化が激しく、
常に柔軟性が求められている。
会社として新たなチャレンジにより経験やスキルを積むことは
長期的には新たなドメイン開拓であり、
ネットワークの拡大にもつながり、
社員の成長やキャリア形成にもなるのだ。

失敗や試行錯誤を恐れず、どんどんチャレンジしていくことが
予期せぬ成功やチャンスをつかむことにつながるということ。
未来に向けて、自信を持って一歩を踏み出そう。

“短期の合理より長期の合理”を求めよう!

key_0210_1

山口周著の『人生の経営戦略』

ページTOPへ
目からウロコのおすすめ本

02/10
2025

book_0210_1

『べらぼう』が描く“吉原”を通じて知る 多様性社会とこれからの“Japan”

今回は、おすすめ本でなく、おすすめ番組について。
奥浅草界隈にある我が社から、あの“吉原大門”までは
徒歩で15分というところ。
私の年代の人たちは、“吉原”という単語が口から発せられると
すぐにその人の顔をみて、笑顔になって
その話の続きを聴こうとするわけだが…
残念ながらいまどきの人たちは、
“吉原”がどのようなところなのかも知らない人が多いようだ。

そんな“吉原”がついにNHK大河ドラマに登場することに。
その“吉原”の存在さえ知らない多くの人たちは、
果たしてこの大河ドラマ『べらぼう』を通じて、
今後はどう解釈するのだろうか⁈

そして注目したいのは、東京都台東区として
この大河ドラマをどう活用してPRするかだが…
なんと「台東区大河ドラマ“べらぼう”活用推進協議会」
なるものもすでに設置されていた。

当時、蔦屋重三郎が生まれ育ち、
その才能を開花させたゆかりの地、台東区。
そこには、ドラマの概要紹介や、登場人物紹介も兼ねた
“べらぼう江戸たいとう大河ドラマ館”まで
設置されていたのだ。

【『べらぼう』に観る、江戸時代における日本の経済と文化】

江戸時代の社会構造は、幕藩体制という特徴的な形態をとり、 
その経済と文化は多様性に満ちていた。
武士階級だけでなく、町人や農民の生活も豊かで、
商業の発展や文化交流も盛んだったという。
この時代の背景には、町の成長や交易の拡大があり、
人々の生活は様々な側面から影響を受けていた。

このドラマでは、特に“吉原”という遊郭の存在が
大きな役割を果たしていて、その存在が
当時の社会についての理解を深める鍵となっている。
“吉原”はただの遊郭ではなく、
当時の文化や人々の価値観を反映した重要な空間。
ドラマにおいては“吉原”を舞台にしたストーリーが展開され、
そこには商人や武士、町人たちの交錯する
人間模様が巧みに描かれている。

【“吉原”の多様性とその存在価値】

“吉原”の描写は、単に娯楽の場としての側面だけでなく、
社会の縮図として機能している点が注目されている。
ここでは、様々な階層の人々が集い、
そこでの交流を通じて江戸の文化が形成されていく。
また、“吉原の花魁(おいらん)”たちが持つ魅力や、
彼女たちの社会的地位も掘り下げられ、
女性の視点から見た江戸時代の複雑さも見えてくるという。

大河ドラマ『べらぼう』は、蔦屋重三郎を通して、
単に歴史的事実を描くだけでなく、
江戸時代の文化や経済の背景を現代に活かす
重要な機会を提供してくれている。
この作品を通じて、視聴者は当時の人々の生活や価値観を
知ることができ、過去と現在のつながりを
感じとることができるだろう。

例えば、商業と文化の交流が活発だった江戸時代は、
現代の日本においてもその影響を色濃く残している。
そして“吉原”が象徴する多様性や人間関係の複雑さは、
今も私たちの社会にも反映しながら
新たな価値観の形成に寄与しているはず。

このように、『べらぼう』を通じて学ぶことのできる
江戸時代の知恵や教訓は、
現代の日本の文化と経済を築くためのベースともなり、
私たちはその流れを汲み、
次世代へとつなげていくことが求められているのだ。

もしかしたら、この『べらぼう』から気づかされるあれこれは、
これからの魅力ある“Japan”づくりに
参考になるところがたくさんあるのかもしれない。
そんな視点で『べらぼう』を観ると、
もっとワクワクしながら楽しく観られるかもしれない?!

book_0210_2

“べらぼう江戸たいとう大河ドラマ館”を訪問

ページTOPへ

BACKNUMBER

ページTOPへ