これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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選ばれるビジネス

09/04
2017

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“筒井花火”のビジネス革新とブランディング

日本の夏の風物詩といえば
花火を思い浮かべる人が多いだろう。
儚く煌めく線香花火は特に風情があるが、
今では国産のものは希少な存在になってしまったという。

先日、福岡県みやま市で線香花火を中心に製造している
筒井さんご夫妻が、私のもとを訪ねてきた。
ご夫妻が経営する筒井時正玩具花火製造所は、
約90年もの歴史がある伝統的な花火メーカーだ。
(90年というと、国内の線香花火メーカーでは
No.1の歴史を持っているのではないだろうか!?)
さらに、ここで製造されている線香花火・筒井時正は、
ワラスギの先に火薬をつけたスボ手牡丹と呼ばれる
線香花火では国内唯一の製造所である。

しかし、実のところ筒井時正玩具花火製造所は、
一時期廃業に向かおうとしていた。
そこで現在の3代目が、これまでの歴史と技術を
残していくために尽力したのだ。

3代目とお話をした際、
「昔は駄菓子屋さんで花火を買うことができましたが、
今はどこで花火を買えると思いますか?」
という質問をされた
(セブンイレブンで購入できることは分かっているが…)。

確かに、コンビニで花火は販売されているが、
並んでいるのは海外製の情緒のない安い花火ばかりだ。
そのため価格競争が激しく、コンビニには
参入しにくいというのが日本の花火メーカーの実情なのだ。

それでは筒井時正玩具花火製造所の花火は一体どこで
販売されているのか?
なんと、あのセレクトショップBEAMSだという!

BEAMSで線香花火を売るようになったのは、
東京で行われたギフトショーに出展したことがきっかけ。
そこで次なる新しい商品を探すBEAMSの関係者に声をかけられたそうだ。

ここで私はあることに気がついた。
これまで、WEBからのアプローチを中心に
様々な企業によって流通に大きな変化が起こっていた。
その状況に手を打てない斜陽産業の地方メーカーたちは、
当然のように廃業に追い込まれていたのだ。

そう、地方メーカーたちは、会社の未来のために
ここで次なる一手を打たない限り、
この窮地を脱出することはできないということ。

すなわち、企業はこれまであたりまえだった
流通を当てにせず、新たな流通を開拓して
いかなければならない時を迎えていたのだ。
これこそ、筒井時正玩具花火製造所の行きついた
答えなのではないだろうか。

地方の小さな企業や、その地ならではのこだわりのものを
つくっているメーカーにとって、流通改革は必須である!
小さな企業であってもブランディングを意識し、
ビジネス革新を起こさずして、
次のステージに上がることはできないのだ。

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パンフレットも洗練されていてカッコいい!

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線香花火・筒井時正とMr.セイージ

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06/19
2017

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“シェパニーズ”のこだわりと徹底

わらじのようにかたい噛み切れない牛肉。
ゾウが踏んだようなガーリックトースト。
水っぽい大きなボイルポテト。

ううっ…聞いただけでも気が滅入る食事!
だが、アメリカナイズされたレストランは
量の多さが優先され、味へのこだわりが少ない店がほとんど。

そんな中、今回のアメリカ・サンフランシスコツアーで、
私たちが楽しみにしていたのが
「Chez Panisse(シェパニーズ)」での昼食だった。

地元のオーガニック食材を用い、
その日に仕入れた素材の美味しさを活かして
メニューを決める「シェパニーズ」。
1971年の開店から今年で46年の歴史を誇り、
いまや全米の料理に影響を与えたお店と讃えられている。
(世界のトップレストラン50にも
何年もの間ランクインしていたという)

私たちは当日、(もちろん予約して)開店時間には
席に着いたのだが、それから15分もしないうちに
店内は満席となる繁盛ぶりだった。

そしてお待ちかねの料理の味は…やっぱり美味しい!
量がウリのアメリカレストランとはワケが違う。
味だけでなく、オーガニック野菜の活かし方、店の雰囲気、
スタッフの対応のよさ、その全てが徹底して素晴らしい店だった。

10年ほど前に初めて訪店したとき、
オーナーであるアリス・ウォーターズ氏とお話をする機会があった。そのときは、いいお店だった記憶はあるものの、
それほどインパクトは感じられなかったのだが…、
今回の食事では、改めてシェパニーズという店の
“存在感”を強く感じられたのだ。

そういえば…、「地元産の食材にこだわって、
その日に一番美味しく食べられるもので料理を提供する」。
これってまさに奥田シェフの考え方に似ているねぇ~。
さらには、アリス・ウォーターズ氏も奥田シェフも、
多くの人たちに地域の魅力を伝え、
地元の農業の発展にも貢献し、
次世代へつなげる活動をしているのだ。

これは、もしかしたら“100匹の猿現象”となるかも。
この料理人としての価値観は、
地球規模で一気に拡がる可能性があるということ。

舌が肥えていると言われる日本人も
大満足の「シェパニーズ」。
そこには奥田シェフとも共通する、きれいで整備された厨房や
信頼のできるスタッフに囲まれた環境。
そして地域や里山を活かした活動のこだわりと徹底がある。
それこそが長い間、世界中のひとに選ばれ続ける理由となるのだ。


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楽しみにしていたシェパニーズでの食事!

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開店時刻。この後、15分もしないうちに店内は満席に

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きれいに整備された厨房の様子

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スタッフの対応も素晴らしかった

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出て来る料理は絶品ばかり

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その日に仕入れた素材の美味しさを活かしてメニューを決めるという

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シェパニーズは全てのこだわりが徹底されたお店だった

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05/29
2017

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歴史、文化を活かしたストーリー性

夕焼け小焼けの赤とんぼ
負(お)われて見たのはいつの日か

誰もが一度は聴いたことがある『赤とんぼ』。
作詞が三木露風、作曲は山田耕筰による日本の代表的な童謡だ。

実は三木露風は兵庫県たつの市出身。
先日「日本を美しくする会」の企業見学会で、
たつの市を訪れたときにこの『赤とんぼ』の歌詞を見かけた。
一緒にいた人は、それを見て初めて
「おわれて」という歌詞が「追いかけられて」ではなく
「背負われて」という意味だと気付いたという。

私も仕事柄、いろんな地方にいくことがあるのだが…、
やはり日本はどこに行っても、
その土地ならではの歴史であり文化を知ることができる。

他にもたつの市といえば、
そうめんブランドの「揖保乃糸(いぼのいと)」が有名だ。
なんと手延そうめん全国シェア40%を誇っているのだとか。
市の歴史をみると、1418年に書かれた寺院日記の中に
すでに「サウメン」という記述があるという。
(つまり600年も歴史があるってこと!)

やっぱりストーリーを知って食べると、
よりその美味しさを感じるよねぇ~。

そして、私が見学先の手土産に持参した新正堂の「切腹最中」。
新橋のもともとのお店の場所が、
忠臣蔵で有名な浅野内匠頭が切腹をした場所とのことから
現店主(渡辺仁久氏)が発案した商品なのだが…。
実はたつの市は播磨赤穂藩があった場所。
つまり赤穂浪士の地元だったのだ!
いまや1日に4000個を売り上げる人気商品との予期せぬ
つながりには驚いた。

さらに隣市にある、1346年に建立された世界文化遺産で
国宝の姫路城も見学した。白鷺城とも称される美しいこの城は、
いまや年間280万人を超える日本一の入城者数を誇っている。

さて、ここで私が語りたいのは、
たつの市周辺には観光名所がたくさんあるということではない。
「日本を美しくする会」の企業見学会でたまたま訪れた
兵庫県たつの市だけでもこんなに歴史や文化を知り、
ストーリー性を感じることが出来たってこと。

だから、先ほど紹介した「揖保乃糸」にも「切腹最中」にも
姫路城(白鷺城)にも、固有のストーリー性があり、
多くの人たちから選ばれるものとなっている。

そこにスト-リー性があるからこそ足を運ぶ。
そのストーリーがクチコミで広がる。
そしてブランディングが確立する。
やはり、これを活かさずして、
ビジネスは活性していかないのではないか。

すなわち、ストーリー性を持たせることこそ、
多くの人たちが耳を傾け、興味を持ち、
結果として選ばれる理由になるということなのだ!

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今回の企業見学会では兵庫県たつの市に訪れた

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「赤とんぼ」の作詞者 三木露風はたつの市出身

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姫路城は2015年に修理工事を終えたばかり

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280万人という日本一の入城者数を記録した

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有名なそうめんブランドの「揖保乃糸」

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手延そうめん全国シェア40%を誇っている

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新正堂の看板商品「切腹最中」

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03/27
2017

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“農家の直売所”というプラットフォームビジネス

北海道でワイナリー構想をスタートして2年。

次なる展開のために日々チャレンジし続け、
地元の農業との結び付きもだいぶ深くなったわけだが…。
まさに、このタイミングでいいお話を
うかがう機会があったのだ。

私も所属する東京NBC主催のイベントに登壇してくださった、
株式会社農業総合研究所のCEO及川智正氏。
及川氏の会社では「農家の直売所」という事業を行っているという。
これは、東京・大阪を中心としたスーパーマーケット900店舗以上の中に、
インショップ形式で全国の契約農家からの農作物を
委託販売するというシステムだ。
(野菜から果物までさまざまな種類を取り扱っている)

このシステムにより、まず生産者は、形が多少曲がっていようが
規格にとらわれず自由に出荷できる。
そして、自身で値段設定をして、納得のプライスで販売できる。
さらに、売るお店も選べることから、
売れ行きやお客さまの反応などのレスポンスも受け取れるという。

しかも消費者にとっても、新鮮なものが格安で手に入ることに。
すなわち農家にとっても消費者にとっても、
いい結果になるってこと。
これこそまさに、今さまざまな業界で革命を起こしている
ビジネスモデル“プラットフォームビジネス”なのだ。

このプラットフォームビジネスは、
楽天市場やApple StoreなどのITを駆使した市場では、
すでに大きな成果をあげている。

(ビジ達でも何度かご紹介した)日本最大級の葬儀・お墓・仏壇の
ポータルサイト運営を行う「鎌倉新書」や、
宅配ポータルサイトの「出前館」がその成功例に挙げられるだろう。

しかし、ここで私が注目したいのは、
このプラットフォームビジネスが
第一次産業である農業という分野にやってきたことなのだ。

実は、日本にとって第一次産業は、
食糧確保のためにも、里山保全であり地方のまちづくりのためにも、
しっかり守り、活性化させていかなければならないもの。
だから農家が農家として、その気で継続して行ける環境を
つくり出す必要があるのだ。
そう考えると“農家の直売所”は
まさに私が求めていたものだったということ。

このプラットフォームビジネスは、
これからもいろいろな業界で流通革命を起こし、
その業界を活性化させてくれる可能性を
持っているのは間違いないだろう。

さて、Memuroワインヴァレー構想と
この“農家の直売所”ビジネス、どう結びつけられるだろう。
いろいろ、その可能性はありそうだ…。

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株式会社農業総合研究所のCEO及川智正氏

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及川氏の会社では「農家の直売所」という事業を行っている

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スーパーマーケットにインショップ形式で直売所が

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生産者にとっても消費者にとってもいい結果となるシステムなのだ

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03/21
2017

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食の里山ヴィレッジ「銀の森」

講演会があり、岐阜県恵那市を訪れた時のこと。
私を呼んでくれた社長が是非にとコーディネートしてくれたのが、
地元の注目企業である「株式会社銀の森コーポレーション」だった。
そして渡邉大作会長にお会いし、
「銀の森」を見学させていただいたのだが…。

どんなものかある程度は想像していたのだが、
実際に目の当たりにして、ちょっと驚いた。
私が北海道の十勝芽室町でやろうとしていることが、
既に繰り広げられていたのである。

「銀の森」には、恵那市の食材を活かした手作りスイーツや
栗の和菓子、和惣菜・佃煮などを扱う、多種多様な店舗が並んでいる。
昔ながらのかまどがしっかり活用されていて、
和を追求した空間が食事処となっていたり、
しっかりこだわった演出が伝わってくるのだ。

ほかにも今時のイタリア風なカフェレストランや、
オリジナルの商品が並ぶ「銀の森ショップ」という物販がある。
しっかりと六次化された現地の特産物を数多く扱っているのだ。

「銀の森」には工場なども含めると全部で8つの施設があり、
これらで1つのヴィレッジを構成しているという。
製造から販売までの多様さを見ると、
さまざまなノウハウが活かされていると感じる。

実は「銀の森コーポレーション」は元々食品加工の下請けだったのだ。
しかし下請けのままでは今後を見据えたスキルも身につかないし
お客様の反応も届かないと考え、おせち料理の生産を始めたという。
やがて年間18万食ものおせちを生産する規模になり、
「銀の森ヴィレッジ」の開発に進んだそうだ。

多くの食材を活かし、
いろいろな技術が求められるおせちづくりだからこそ
さまざまなノウハウとスキルが会社に集約することになり、
最終的にお客様の顔の見える「銀の森」構想となったのだろう。
いまや「銀の森」は名古屋方面から多くのお客様を迎え入れ、
繁盛スポットとして注目されているという。

…そういえば、似たような話をどこかで聞いたことがある。
あのアウトドアブランドの「モンベル」も、
元はメーカーであり問屋だった。
ところが、辰野勇会長の大きな決断で直売店を展開することになり、
今のモンベルとなったわけ。

この覚悟しての業態転換が、
次なるステージへの大きな一歩となるということ。
「ジャパネットたかた」の高田明元社長も、
業態転換と自前主義が現在の規模にまで会社を成長させた。

経営者たちはビジネスを進めながらもノウハウや知識を集約し、
決断とともにブレイクスルーを行ったということ。
たとえ壁があったとしても、
次なるステージに上がるタイミングは必ずあるのだ。

私たちのビジネスにも、必ずや
ブレイクスルーのタイミングがやってくる。
次のステージに上がれるかどうかは、
その時に向けて知識や技術、ネットワークをしっかりと作り上げ、
覚悟してチャレンジしているかということだろう。

「銀の森」の場合は、10数年後にリニア中央新幹線が
開通すると決定したタイミングだったという。
2027年に東京~名古屋間をつなぐ線路は、
日本中のお客様を恵那市に運んでくれるに違いない。

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岐阜県恵那市にある「銀の森」

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「銀の森」は8つの施設で1つのヴィレッジを構成している

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「株式会社銀の森コーポレーション」の渡邉大作会長

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こだわりある食事処での和食もとても美味しかった

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ここでは私が北海道でやろうとしていることが既に…

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恵那の特産品でもある栗の和菓子の店

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