これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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選ばれるビジネス

05/30
2016

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ボルドー・ワインが選ばれる理由

先日このビジ達でもご紹介したが、

「真実と本物は通常、シンプルを旨としている。
ボルドー・ワインがほかに抜きん出て優れているのは
格付けの持つエレガントなシンプルさに負うところが大きい」

このプロローグから始まる本、
『ボルドー格付けシャトー60』は、
メドック地区のシャトー格付け150周年を記念して
2005年に開催された祝典の参考資料として作られたのだが…。

実は約400年前からメドック地区のワインは
すでに一級品として評価されていたらしいのだ!
「上質なワインがほしければメドックのものを頼めばいい」
とさえ当時の愛好家には言われていたのだとか。

品質向上の努力を重ねることが
市場価値を高めることに気づいたボルドーのぶどう農家は、
品質管理のためやるべきあたりまえのことを徹底し、
評価の維持に努めるようになる。

17世紀半ばには、ボルドー産のワインは地区単位で等級化され、
とりわけ品質の高いオー=ブリオン、マルゴー、
ラトゥール、ラフィットのものは
特に桁外れの市場価値を持つようになったという。

こうしてブランド的価値を持った4つのシャトーがつくるワインは、
やがて“格付け一級”として知られるようになり、
ボルドー・ワインは確固たる地位を築いたのである。

さらに、売買をスムーズにするために、ワインのブローカーが
格付けされたボルドー・ワインを取引の目安にしたことで、
ボルドー・ワインは販路を広げ、
ますます人々に親しまれるようになっていった。

つまり、中島流の視点から見れば、
ワインの物差しとなったボルドー・ワインは、
まずはフランスワインの物差しに、
やがて世界のワインの物差しとなり
世界水準として選ばれるようになったのである。

私がワインに着目するのは、
その地の風土、農業従事者、醸造家の
3者の関係によってつくられるところに
興味をひかれるからだ。

ワインの味は自然に左右されることも大きく、
その年によって風味や深みに個性が出る。
これらの要因のバランスこそがワインの魅力であり、
ワインが世界に広まった理由なのだろう。

そんな世界に広まる魅力を持っていたワインの中でも、
格付けという、物差しの基準になるだけの
品質を備えていたからこそ、
ボルドー・ワインが世界で選ばれるようになったのだ。

ううむ、奥が深い。
400年を超す格付けの歴史のなせる技だ。
ということで、その歴史と風土を体験するべく、
この6月下旬に15人ほどでボルドーの視察研修に行ってくる予定。

レポートと、みやげ話に乞うご期待!

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ボルドー格付シャトー60

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05/02
2016

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「ばぁばのお昼ごはん」を選ぶ理由

にんじん、ごぼう、かぼちゃ、じゃがいも、
ピーマン、パプリカにキャベツ…
そして半熟ゆで卵が乗せられた、
具沢山のスープカレー。
さらに、大きな器に盛られた北海道産のおいしいお米。

この盛りだくさんなスープカレー定食で、お値段はなんと850円。
先日北海道の芽室町へ行った際に、
「ばぁばのお昼ごはん」という定食屋さんでいただいた。
素材本来の味が活かされた調理法で、
地元の食材がふんだんに使われており、とにかくおいしかった。

だが、しかし!
この定食屋、地元産の食材を使った
おいしい食事を提供するだけでない、
それ以上の意味がある定食屋なのだ!

じつはこの定食屋さんは、
食品加工会社である九神ファームと深い関係がある。

九神ファームは、障がいをもった人たちでも
「働いて生きていく」ことが可能になる環境づくりを目標に、
農業関連事業で継続的な就労支援を行っている事業所だ。
地元に住む障がいのある人を多く雇い、
地元産の野菜を地元の工場で加工し、流通させている。

「ばぁばのお昼ごはん」は、
この九神ファームが加工・生産した製品を活用し、
調理や接客といった職域を、新たに開拓するためにスタートしたのだ。

まさに、これらの取り組みは『里山資本主義』の
著者・藻谷浩介氏が提唱する“地消地産”
を実践しているといえるだろう。

“地消地産”とは、
“地元で消費するものは、地元で生産したものにしよう”という考え方。
生活者が地元で作られたものを選べば地元にお金が回り、
結果的に15~65歳の労働人口が維持されることになる。
さらに、場合によってはその労働人口を増やすことにもつながるのだ。

「ばぁばのお昼ごはん」は九神ファームと連携しながら、
この“地消地産”にプラスして、
地元の障がい者の雇用確保・自立支援という
大変価値のある一歩進んだ取り組みをしているのだ。

中国・春秋時代の宰相であった晏子(あんし)の言葉に
「益はなくとも意味はある」というものがあるが、
私が「ばぁばのお昼ごはん」を選び食事をすることは、
同額を払いチェーン店で食事をするのとは
その意味において大きな違いがあると言えるだろう。

チェーン店を選んでしまうと、地元にお金はほとんど回らない。
生活者自身が主体的に、地域を支えるという観点から
どの店で・誰が作った・どの商品を買うか、
という決断を下すことが、生活者としての権利であり、
意味のある働きかけだと思う。

生活者も地域の経済にみずから関われる手段があることを忘れず、
これからも価格以上の意味がある店を選んでいきたいものだ。


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入り口の様子

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いろんな人がみんなで楽しく働くお店

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大満足のスープカレー!

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地元の食材がふんだんに使われている

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客足の途絶えない店内

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03/22
2016

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“複雑系ビジネス”が選ばれる!

だいぶ前からよく使われている言葉である「複雑系」。
その使用範囲は経済・社会、気象現象、神経系、細胞…
といったように多岐にわたる。

そしてついに今、ビジネス業界にもこの「複雑系」が
明確に現象としてあらわれてきているのではないだろうか。

中島流に言えば“複雑系ビジネス”といえる
今のビジネスモデル。(おっ、また新しい中島流ワード!
…と思って調べたら、もうどこかの本には載ってたりして)

その例のひとつに、ビジ達でも以前紹介した池袋の本屋
「天狼院書店」がある。狭い店舗にも関わらず多くの
お客様とメディアに注目されているこの書店には、訪れ
るその道のスペシャリストや趣味や興味といった、知識欲
のある人々を集めて、「部活」という枠で交流させるユニ
ークな企画が存在する。

この部活には「写真教室」をはじめ、「強制的英語圏」
「劇団で学ぶ」や「サメ好き集まれ!」なんていうのも
あるとか! ここには、従来の本屋を超えた新たなビジネ
スモデルがあると言えるだろう。

さらに先日、「株式会社 鎌倉新書」の清水社長とお会い
した時の話。実はこの会社、その名が示す通りに元々は出
版社であったという。(今も出版はやっているが…)

しかし今や、『いい葬儀』『いい仏壇』『いいお墓』とい
った見出しのついた日本最大級の供養をテーマとしたポー
タルサイトを運営し、昨年末についに上場を果たした。

「鎌倉新書」は月刊誌『月刊仏事』等を発行し、供養業界
全体に幅広く手掛けている存在であり、そこには常にお客
様目線の情報を掲載している。そんな出版社がポータルサ
イトを展開することで結果的に全国の業界、企業との良い
つながりを生み出し、上場まで果たせるようなビジネスモ
デルに成長したのだ。

さらに、不動産業を営む会社がつくったという、池袋の泊
まれる本屋「BOOK AND BED TOKYO」も“複雑系ビジネス”
の例と言えるだろう。よりセンスのよい物件を考えている
うちに、本屋のような設業となり、そのこともあり、多く
のメディアに取り上げられ、注目を集めている。

本屋とホテルが一緒になり、リーズナブルな値段で泊まれ
る点が注目を集め、沢山のメディアにとりあげられている。

いずれもこれまでのような「○○屋さん」というように、
ひとことで言い表せる業種や業態ではない。つまりこれ
こそが“複雑系ビジネス”なのだ。

書店や出版社や不動産業はただの入り口にすぎない。違
う業種からスタートしたビジネスが複雑化し、そこから
思いがけない協力関係が生まれ、違う業界と競合してい
くこともあるのだ。

つまり、「天狼院書店」に仏事のことを研究したい人が
現れたときに、「鎌倉新書」とのコラボレーションだって
考えられる時代になったということ。

そもそも人間社会が複雑系であり、近代化されて数百年も
経ったわけだから、単純なビジネスだけでやっていこう
なんてまず無理な時代となっているのかもしれない。色々
な要素の組み合わせを視野に入れた、“複雑系ビジネス”
の考え方には、選ばれるビジネスのためのヒントが隠され
ているのではないだろうか。

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池袋にある「天狼院書店」

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さまざまな人が集まる注目の本屋だ

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鎌倉新書の供養業界ポータルサイト

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02/22
2016

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石坂典子流 経営者の決断

“経営者の決断”というのは、
企業の命運を左右するものの一つだ。
私が以前からお付き合いさせていただいている
石坂産業株式会社の変革は、
その決断がいかに大切かを教えてくれる。

石坂産業といえば、
焼却炉を持たない産業廃棄物処理企業。
今でこそ多くのメディアに取り上げられ、
全国から見学者が訪れているが、
それまでの道のりはとにかく厳しかったという。

石坂典氏が社長に就任したとき、
代表権こそなかったものの、様々な改革に取り組んだ。
すると従業員たちはその改革についてこられず、
多くが退職していったという。

それでも石坂社長は己の決断を信じ、
社員の説得や環境改善を続けた。
代表的なものを挙げてみると…。

1、処理施設を建家で覆う
まずは地域への配慮から工場現場をすべて建家で覆い、
作業工程で発生する埃や騒音で
外へ迷惑をかけないようにしたのだ。

2、見学通路の設置
処理施設を覆ったことで「何をしているか分からない」
という地域からの声を反映し、
工場内に見学できる通路をつくった。
外部の人たちから見られることで、
働く者たちの意識が高まり、整理整頓も進む。
結果的に様々な相乗効果につながることに。

3、不法投棄を5年間かけて清掃
以前から工場周辺の森に広がっていた
不法投棄の対策として徹底した清掃を行い、
今では美しい里山に変貌を遂げた。

4、東京ドーム4個分の里山の管理
清掃した周辺の土地を不法投棄から守るため、
その地域の里山の管理を始めた。
自然豊かな土地は、今では
環境教育の場としても活用されている。

5、国際規格ISOを7つ取得
世界に通用するビジネスシステムを
社内で展開していることの証。
そのうちに世界に打って出るかもしれない。

いくつか挙げただけでも、
これだけの改革をしてきたのだ。
石坂社長の決断は大きく困難なもので、
その先を見据えて相当な覚悟を要したものだろう。

しかしそれを実践し、自社の在り方を追求した姿勢は、
中島流でいう“タテの経営”である。

これは他社や業界のならわしなど(ヨコ)を気にせず、
自社のことや業界の将来(タテ)を
見据えて行なう経営発想のこと。

自社の存在理由を見出し、
10年後30年後に向けて今何をすればいいのかを
追求、徹底していくことなのだ。
それこそが、これからのビジネスで必要な要素と言える。

さて、そんな石坂社長が書籍で
ある方と対談されたので、ご紹介したいと思う。
ある方とは、株式会社イエローハット創業者で、
日本を美しくする会の相談役である鍵山秀三郎氏。

大きな決断と“タテの経営”を行ってきたお二人のお話は、
きっと皆様にとって実りあるものだ。
本の詳細は以下のホームページへ!
ホームページはこちらから

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石坂典子社長

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対談書籍、ぜひお手元に!

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これがタテの経営

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02/01
2016

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自分が燃えていなければ…

「人よりも高いところに立たなければ、
人を引き上げることはできない。」
「自分が燃えていなければ、
人の心に火を灯すことはできない。」

これは、キリスト教の大管長であった
ハロルド・B・リー氏の言葉だ。

私の愛読誌でも、この「自分が燃えていなければ…」の
言葉が取り上げられていた。
とある小学校の教師がこの言葉に感銘を受け、
未だかつてないほど情熱を持って仕事に励んでいるという。

その教師の情熱は教え子にも伝わり、
変化が見られ始めたそうなのだ。

確かに、熱く燃えている人が
周りの人々にも影響を与えることはよく耳にする。
私も大勢の経営者とお会いしているが、
振り返れば素晴らしい経営者ほど燃えているのだ。
燃えている人の特徴としては、
まずそのことに自信を持っていること。

そして、社会性ある仕事をしていること。
社会性ある仕事というのは、
燃えやすい上に周囲の人々にも影響を与えやすいものだ。

ここで私が思い浮かべたのは、
株式会社ユーグレナの出雲充氏である。

バングラデシュで栄養失調の子どもたちを
目の当たりにした出雲氏は、
この人たちのために仕事をしようと決断し、
試行錯誤のうえ、栄養豊富なミドリムシの培養に着手。

その後大量培養に成功し、
現在は様々な食品に生かされることとなったのだ。

“世の中にムダなものなどないのだ”と
力強く誇る出雲氏が思い浮かぶ。
あの燃え続ける出雲氏の情熱が、
多くの企業を動かすことになるからだ。

また、株式会社ブレストの伊東昭典氏も燃えている。
小型の油化装置を開発し、人々の目前で
プラスチックごみから石油を作り出すことを実現した。

そうすることにより、大手が出来なかった
プラスチックのごみ問題を着々と前進させている。
社会性も事業に取り込み、
いまや日本だけでなく世界が注目する企業なのだ。

さらに、燃えている方といったら、
株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポンの
木村周一郎氏!
分かりやすく言えば、フランス発信の
“メゾンカイザー”という注目のベーカリーの職人であり、
その社長である。

天然酵母による、フランスの伝統的なパンの
美味しさを伝えたいという熱い想いから、
開店当初の不振にもめげずにパンを作り続けた。
そして現在の人気ぶりは、
皆さんもご存知の通りである。

このように「燃えている人」や
徹底的に追求し続けている人こそが、
多くの人たちの心に火を灯す。

「人よりも高いところに立たなければ、
 人を引き上げることはできない。」
「自分が燃えていなければ、
 人の心に火を灯すことはできない。」

この言葉を反芻してみると、
私もさらに燃えなければ! と熱くなってしまうのだ。

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ユーグレナの出雲充氏

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ブレストの伊東昭典氏

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メゾンカイザーの木村周一郎氏

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