これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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選ばれるビジネス

03/22
2016

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“複雑系ビジネス”が選ばれる!

だいぶ前からよく使われている言葉である「複雑系」。
その使用範囲は経済・社会、気象現象、神経系、細胞…
といったように多岐にわたる。

そしてついに今、ビジネス業界にもこの「複雑系」が
明確に現象としてあらわれてきているのではないだろうか。

中島流に言えば“複雑系ビジネス”といえる
今のビジネスモデル。(おっ、また新しい中島流ワード!
…と思って調べたら、もうどこかの本には載ってたりして)

その例のひとつに、ビジ達でも以前紹介した池袋の本屋
「天狼院書店」がある。狭い店舗にも関わらず多くの
お客様とメディアに注目されているこの書店には、訪れ
るその道のスペシャリストや趣味や興味といった、知識欲
のある人々を集めて、「部活」という枠で交流させるユニ
ークな企画が存在する。

この部活には「写真教室」をはじめ、「強制的英語圏」
「劇団で学ぶ」や「サメ好き集まれ!」なんていうのも
あるとか! ここには、従来の本屋を超えた新たなビジネ
スモデルがあると言えるだろう。

さらに先日、「株式会社 鎌倉新書」の清水社長とお会い
した時の話。実はこの会社、その名が示す通りに元々は出
版社であったという。(今も出版はやっているが…)

しかし今や、『いい葬儀』『いい仏壇』『いいお墓』とい
った見出しのついた日本最大級の供養をテーマとしたポー
タルサイトを運営し、昨年末についに上場を果たした。

「鎌倉新書」は月刊誌『月刊仏事』等を発行し、供養業界
全体に幅広く手掛けている存在であり、そこには常にお客
様目線の情報を掲載している。そんな出版社がポータルサ
イトを展開することで結果的に全国の業界、企業との良い
つながりを生み出し、上場まで果たせるようなビジネスモ
デルに成長したのだ。

さらに、不動産業を営む会社がつくったという、池袋の泊
まれる本屋「BOOK AND BED TOKYO」も“複雑系ビジネス”
の例と言えるだろう。よりセンスのよい物件を考えている
うちに、本屋のような設業となり、そのこともあり、多く
のメディアに取り上げられ、注目を集めている。

本屋とホテルが一緒になり、リーズナブルな値段で泊まれ
る点が注目を集め、沢山のメディアにとりあげられている。

いずれもこれまでのような「○○屋さん」というように、
ひとことで言い表せる業種や業態ではない。つまりこれ
こそが“複雑系ビジネス”なのだ。

書店や出版社や不動産業はただの入り口にすぎない。違
う業種からスタートしたビジネスが複雑化し、そこから
思いがけない協力関係が生まれ、違う業界と競合してい
くこともあるのだ。

つまり、「天狼院書店」に仏事のことを研究したい人が
現れたときに、「鎌倉新書」とのコラボレーションだって
考えられる時代になったということ。

そもそも人間社会が複雑系であり、近代化されて数百年も
経ったわけだから、単純なビジネスだけでやっていこう
なんてまず無理な時代となっているのかもしれない。色々
な要素の組み合わせを視野に入れた、“複雑系ビジネス”
の考え方には、選ばれるビジネスのためのヒントが隠され
ているのではないだろうか。

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池袋にある「天狼院書店」

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さまざまな人が集まる注目の本屋だ

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鎌倉新書の供養業界ポータルサイト

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選ばれるビジネス

02/22
2016

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石坂典子流 経営者の決断

“経営者の決断”というのは、
企業の命運を左右するものの一つだ。
私が以前からお付き合いさせていただいている
石坂産業株式会社の変革は、
その決断がいかに大切かを教えてくれる。

石坂産業といえば、
焼却炉を持たない産業廃棄物処理企業。
今でこそ多くのメディアに取り上げられ、
全国から見学者が訪れているが、
それまでの道のりはとにかく厳しかったという。

石坂典氏が社長に就任したとき、
代表権こそなかったものの、様々な改革に取り組んだ。
すると従業員たちはその改革についてこられず、
多くが退職していったという。

それでも石坂社長は己の決断を信じ、
社員の説得や環境改善を続けた。
代表的なものを挙げてみると…。

1、処理施設を建家で覆う
まずは地域への配慮から工場現場をすべて建家で覆い、
作業工程で発生する埃や騒音で
外へ迷惑をかけないようにしたのだ。

2、見学通路の設置
処理施設を覆ったことで「何をしているか分からない」
という地域からの声を反映し、
工場内に見学できる通路をつくった。
外部の人たちから見られることで、
働く者たちの意識が高まり、整理整頓も進む。
結果的に様々な相乗効果につながることに。

3、不法投棄を5年間かけて清掃
以前から工場周辺の森に広がっていた
不法投棄の対策として徹底した清掃を行い、
今では美しい里山に変貌を遂げた。

4、東京ドーム4個分の里山の管理
清掃した周辺の土地を不法投棄から守るため、
その地域の里山の管理を始めた。
自然豊かな土地は、今では
環境教育の場としても活用されている。

5、国際規格ISOを7つ取得
世界に通用するビジネスシステムを
社内で展開していることの証。
そのうちに世界に打って出るかもしれない。

いくつか挙げただけでも、
これだけの改革をしてきたのだ。
石坂社長の決断は大きく困難なもので、
その先を見据えて相当な覚悟を要したものだろう。

しかしそれを実践し、自社の在り方を追求した姿勢は、
中島流でいう“タテの経営”である。

これは他社や業界のならわしなど(ヨコ)を気にせず、
自社のことや業界の将来(タテ)を
見据えて行なう経営発想のこと。

自社の存在理由を見出し、
10年後30年後に向けて今何をすればいいのかを
追求、徹底していくことなのだ。
それこそが、これからのビジネスで必要な要素と言える。

さて、そんな石坂社長が書籍で
ある方と対談されたので、ご紹介したいと思う。
ある方とは、株式会社イエローハット創業者で、
日本を美しくする会の相談役である鍵山秀三郎氏。

大きな決断と“タテの経営”を行ってきたお二人のお話は、
きっと皆様にとって実りあるものだ。
本の詳細は以下のホームページへ!
ホームページはこちらから

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石坂典子社長

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対談書籍、ぜひお手元に!

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これがタテの経営

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02/01
2016

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自分が燃えていなければ…

「人よりも高いところに立たなければ、
人を引き上げることはできない。」
「自分が燃えていなければ、
人の心に火を灯すことはできない。」

これは、キリスト教の大管長であった
ハロルド・B・リー氏の言葉だ。

私の愛読誌でも、この「自分が燃えていなければ…」の
言葉が取り上げられていた。
とある小学校の教師がこの言葉に感銘を受け、
未だかつてないほど情熱を持って仕事に励んでいるという。

その教師の情熱は教え子にも伝わり、
変化が見られ始めたそうなのだ。

確かに、熱く燃えている人が
周りの人々にも影響を与えることはよく耳にする。
私も大勢の経営者とお会いしているが、
振り返れば素晴らしい経営者ほど燃えているのだ。
燃えている人の特徴としては、
まずそのことに自信を持っていること。

そして、社会性ある仕事をしていること。
社会性ある仕事というのは、
燃えやすい上に周囲の人々にも影響を与えやすいものだ。

ここで私が思い浮かべたのは、
株式会社ユーグレナの出雲充氏である。

バングラデシュで栄養失調の子どもたちを
目の当たりにした出雲氏は、
この人たちのために仕事をしようと決断し、
試行錯誤のうえ、栄養豊富なミドリムシの培養に着手。

その後大量培養に成功し、
現在は様々な食品に生かされることとなったのだ。

“世の中にムダなものなどないのだ”と
力強く誇る出雲氏が思い浮かぶ。
あの燃え続ける出雲氏の情熱が、
多くの企業を動かすことになるからだ。

また、株式会社ブレストの伊東昭典氏も燃えている。
小型の油化装置を開発し、人々の目前で
プラスチックごみから石油を作り出すことを実現した。

そうすることにより、大手が出来なかった
プラスチックのごみ問題を着々と前進させている。
社会性も事業に取り込み、
いまや日本だけでなく世界が注目する企業なのだ。

さらに、燃えている方といったら、
株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポンの
木村周一郎氏!
分かりやすく言えば、フランス発信の
“メゾンカイザー”という注目のベーカリーの職人であり、
その社長である。

天然酵母による、フランスの伝統的なパンの
美味しさを伝えたいという熱い想いから、
開店当初の不振にもめげずにパンを作り続けた。
そして現在の人気ぶりは、
皆さんもご存知の通りである。

このように「燃えている人」や
徹底的に追求し続けている人こそが、
多くの人たちの心に火を灯す。

「人よりも高いところに立たなければ、
 人を引き上げることはできない。」
「自分が燃えていなければ、
 人の心に火を灯すことはできない。」

この言葉を反芻してみると、
私もさらに燃えなければ! と熱くなってしまうのだ。

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ユーグレナの出雲充氏

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ブレストの伊東昭典氏

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メゾンカイザーの木村周一郎氏

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11/30
2015

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中小流マーケティングの極意

私が書店に行く時は、
仕事柄ビジネス書を買うことが多い。
マーケティングを解説した本や、
ビジネスの成功例を紹介した本などだ。

ところが、書店にあるようなビジネス書の多くは
大手企業向けの内容であり、
日本企業の99%ほど(?)を占める
中小企業には合わない内容なのだ。

つまり中小企業のマーケティングは別にある。
したがって、書店に並んでいるビジネス書を
中小企業の経営者や関係者が読み、
鵜呑みにすることは避けたほうがいいということだ。

先日のビジ達でご紹介した、
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社が
いい事例を投げかけてくれている。

その代表である中石真一路氏は、
耳の不自由な方(難聴者)のための
設置型スピーカーシステム“コミューン”を開発した。

会社自体は4年目に突入したばかりだが、
販売も順調に進んで収支は黒字となり、
コミューンは多くの人から求められる商品になっている。

中石氏曰く、中小企業の商品は必要な機能をしっかりつけて、
その効果を最大限に発揮するデザインに
仕上げることが大切だというのだ。

確かに、コミューンはグッドデザイン賞も獲得した
独特の形をしている。
流線型の美しいデザインを作るには
手間もコストもかかるのだが、
本来の機能を発揮するにはこの形がいいとして、
妥協しなかったという。

そして当然コストがかかるということは、
プライスもそれを受けた価格帯となってくる。
コミューンは20万円程度ということだが、
一見高い価格帯に思われるようだ。

しかし開発への投資とビジネスとしての今後を考えると、
必然性ある設定といえる。
ところが“買う側”の論理で語られるマーケティングでは、
この価格帯では売れないと位置づけられてしまうのだ。

他にも中小企業流のマーケティングで
成功したところと言えば、
少し前にビジ達でご紹介した株式会社ブレストだ。

ここはプラスチックごみの油化装置を製造しているのだが、
代表の伊東昭典氏流の考え方で
まずはコンパクトな装置に着目した。

大勢の人々にブレストの油化装置を知ってもらい、
理解してもらうところから
始めた方がいいのでは…と考えたからだ。
そこで、小型装置の開発となったわけなのだ。

それが成功して、世界規模での販売や
問い合わせに至ったという。
この発想も、業界の大手企業や
專門家の人たちにはなかったものだ。

どちらの会社も社員規模が10人程度であるが、
上手くいったそのポイントを5つ挙げてみよう。

1.大きな市場より狭い市場
2.一般的、平均的を考えない
3.消費者におもねらない、正統な価格設定
4.限られた流通でいい
5.本物にこだわる

こうして見てみると、
中小企業が成功するためのマーケティングは、
大企業をターゲットにしたものとはかなり違うことがわかる。

好きな人や理解してくれる人が買ってくれればいい、
くらいの考えでいることや、
徹底的に質や技術にこだわり抜くことが大切なのだ。

こうした発想こそが、「カンブリア宮殿」や
「ガイアの夜明け」などの
テレビ番組でも注目される中小企業に見られる共通点である。

さて、この中小企業のマーケティング論はいかがだろうか。
これからの時代は、
このマーケティング論が主流になるかも!?

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グッドデザイン賞を受賞したコミューン

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コミューンを作り上げた中石真一路氏

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株式会社ブレストの伊東昭典氏

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選ばれるビジネス

11/09
2015

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「天狼院書店」のポテンシャル

立地が悪いうえに、場所もわかりにくい。
そして、書店としては、
決して広くはない店舗スペースで展開されている。
それにもかかわらず、なぜこの書店は、
多くのメディアに取り上げられているのか。

池袋駅で電車を降りて、地図を頼りに進んでいくのだが…
なぜかその本屋にたどり着けない
(道を間違えたわけではなくて単に道のりが長かったため…)。
それほどの立地なのだ。目的の天狼院書店は、
なんと予想だにしない2階に入り口の扉があった。
広さ15坪程度!? のその店舗は、所狭しと本が並び、
カフェになっている趣のある内装。
この小さな書店が、どうしたらそんなに話題に? と言いたくなる。

実は、天狼院書店には、“天狼院秘本”や“天狼院BOX”と呼ばれるしかけがある。
天狼院秘本とは、店が選んだ1種類の本のタイトルを伏せて販売する方法。
テーマによって、店員が主観で選択した至極の一冊で、
お客さんにドキドキを提供するひと工夫が独特な演出だ。
最近だと、あの糸井重里氏が選んだ“糸井重里秘本”が
1,600冊を売り上げたという
(あの小さな店舗での販売で、
1タイトルだけでの売り上げだからさらにすごい! )。
彼の著名性や、影響力、天狼院書店の話題性が
ここまでの売り上げをたたき出したのだから
ビジネスとしては大成功だろう。

また、天狼院BOXとは、書店の一定利用額を購入したお客さまが
その人流のセレクションにより
オリジナルBOXづくりをして販売をする方法だ。
本好きのお客さまによる参加型の売場づくりと言えよう。

天狼院書店のおもしろいしかけは、
これだけに留まらない。
例えば、“部活”。実際にその道のプロを講師として招き、
技術などを直接レクチャーしてもらうことができる。
その種類は数多く、フォト部をはじめ、
雑誌編集部、英語部、落語部、デザイン部、映画部…など
数えるときりがない。
こうしたプロを招聘するイベントは他にも文化祭と銘打って開催されている。

これらのユニークな展開は、天狼院書店のコンセプトが、
「本を通した体験」を提供することだからなのだ。
このところ本屋産業は厳しい状況が続いているが、
天狼院書店のように、本屋という場をハブとして、
様々な人やスキルを発信していくことはできる。

天狼院書店がみせている展開は、ちょっとした一工夫で、
1冊の本の魅力をより深く、おもしろく伝えている。
それは、本来本を読む人の多くが、本を読むという行為ではなく、
本を通じて得られる知識やスキルの取得を目的としているからだ。
これこそ、本屋が生き残る核となるポイントということ。
だからこそ、開店から2年ほどしか経過していない天狼院書店が
今年9月に福岡と表参道に連続出店を果たすことができたのだろう。

こうしたビジネス展開、工夫の仕方は、
業績が振るわない他の業界においても応用が利く。
だからこそ、天狼院書店のポテンシャルは、
すべてのビジネスに対して、成功するヒントとなるのだろう。


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まさかの2階!? 天狼院書店の入り口

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趣あるカフェでもある店内

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これが天狼院BOX

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天狼院秘本の包装

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