これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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選ばれるビジネス

07/07
2014

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「微熱山丘」のビジネスデザイン

先日、社員研修旅行として台湾へ行ってきた。
今回の旅の目的の1つは
「微熱山丘(びねつさんきゅう)」。
ん? 聞いたことがない?

じつはこれ、台湾名物パイナップルケーキの有名店なのだ。
日本でも「サニーヒルズ」という名前で
南青山に出店している。
台湾旅行の前に、
下調べを兼ねて南青山店に行ってみたのだが…

まず驚くのは店舗のデザインが独創的なこと!
日本が誇る建築家、隈研吾氏の設計に
よるものだが、木片を組み合わせて作ったような、
大変目を引くデザインだ。

エントランスを兼ねた1階から
スタッフに案内されて2階へ上ると、
そこでは開放的な空間で
数人の女性がお茶をすすりながらくつろいでいた。

そう、ここでは買い物をしなくても
お茶とケーキの試食サービスが受けられる。
試食と言っても、小さなかけらが出てくるわけではない。
なんと丸々一個、一杯のお茶とともに
トレイに載って提供されるのだ。
試食というよりはゆったりとくつろいで
「お茶をする」といった雰囲気。
その後、5個入り1,500円(10個入り3,000円)の
お菓子を買ったりして出ていくという仕組みだ。

店内にはいわゆる「売り場」が存在せず、
お茶を出してくれる小さなカウンターでお菓子を購入する。
売っているものは
試食できるパイナップルケーキだけなので、
ショーケースなども要らないというわけだ。

南青山でお茶をすれば、
普通コーヒー1杯でも500円くらいはするだろう。
さらにケーキを食べれば
1000円近くかかっても不思議ではない。
サニーヒルズでは食べて飲み、
5個入りの土産付でも1,500円ということになる
(必ず買わなければいけないわけではないが…)。

お菓子を買うのは自由なので、
もしかしたら試食だけで帰っていく
お客様もいるかもしれない。
そうした人も「お客様」としてもてなすことで、
お菓子としてはかなり高価な
パイナップルケーキを皆が喜んで買っていくわけだ。

ここで、サニーヒルズのビジネスデザインに注目!
これまでもお茶を出して試食をしてもらい、
買って行ってもらうという
ビジネスモデルはあったが、
開放的な空間演出を含め、サニーヒルズでは
かなり違ったものになっている。

この、しっかりした投資
(いい空間でしっかり味わってもらう)
をしてお客様に喜んでもらってから
利益を得るというビジネスデザインは、
まさに「先用後利」!

以前ご紹介した富山の薬売りと同じだ
(ちょっと違うかな?)。

先日、台湾のお店でもまったく同じ仕組みで
20数人をもてなしてもらったのだ。
やはりモダンな店内で、
大勢で行ったにも関わらず
ゆったりとくつろぐことができた。
現在「微熱山丘」の年商はおよそ30億円だというが、
お菓子の味だけではなく、
この台湾発のビジネスデザインが
その結果に大きく貢献していることは間違いない。

目先にとらわれずに、
時代に合ったビジネスデザインをすること。
すなわち“先義後利”的ビジネスデザインが
これからの時代、選ばれるはずなのだ。

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こんなセットで試食が出てくる!

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台湾の店員さんとMr.セイージ

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説明をしてくれた彼女と一緒に!

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台湾のお店も広々としてモダンな雰囲気

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日本の南青山店はこんな感じ!

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06/09
2014

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スコットランド流6次産業

今回のイギリス視察ツアーのポイントは、
スコットランドのエジンバラ。
イギリスへ旅行に行っても、
エジンバラまで足をのばすことは
なかなか無いだろう。
それがどうしてわざわざ??

スコットランドと言えば、
もちろんスコッチウイスキー。
そのスコッチの本場でオーク樽の香りを…。
という発想はもちろんあったのだが、
目的はそれだけではない。農業だ。

これからの時代、
世界的に“農業”が重要視されるとみている。
そこで、エジンバラの農場
“クレイジンズファーム”を訪ねることになった。

ファーム自身が
そこで取れた農産物・畜産加工品を販売する他、
それらを使ったカフェも経営している。
いわば日本で注目されている
“6次産業”を体現した施設である。
そこで私は実に印象的な言葉を聞いた。

「人気のある商品を大手のチェーンストア、
テスコから卸して欲しいとも言われたんですが、
そんなに数多くはつくれません。
大手流通に卸すと、
いろいろな意味でこちらの方が
お金を出さなくてはならないことになりますから…」

うーむ、と唸ってしまった。
実はこのクレイジンズファーム、
160万ヘクタールの農地を持ち、年間30万人が訪れ、
日本円にすると3億円弱の売上がある。
つまり、経営的には十分成り立っているのだ。

地元の農家が
納屋で販売をするところから始まり、
現在では近隣の農家・畜産家とも協力。
野菜・果物といった農作物の他にも、
チーズやハム・アイスクリームなどの加工品も扱っているのだ。
今年72歳の女性(経営者の母)がつくる
マーマレードやラズベリーのジャムは、
このファームでは大人気商品だという。
広大な畑は、トラクターによるトレーラー
(この、トラクターというのがまたいいじゃないか!)
で見学することもできる。
私たちは、これで見学させていただいたのだ。

ここでは作物や家畜を育て
加工するのも地元農家、
買うのも地元のお客さんがほとんど。

こうしていい循環で作物とお金が回っている以上、
いくら大手スーパーからの誘いと言えど、
安易に「乗る」理由にはならないだろう。

自分たちで育てたものを、
自分たちで工夫して加工販売し、
レストラン経営までして地元の人たちに届ける。
何も大手流通に乗せなくても、
自分たちの存在理由が十分にあるのだ。
自立したこれからの農業の形がここにある。

それに比べて…と私は思ってしまった。
日本の農業は遅れている!と言わざるを得ない。

それはやっぱり、
JAをはじめ、政府の安易な対策のせいなのだろう。

余計な助成金のおかげで、
自分たちでビジネス化、
すなわち第6次産業化がなかなか実現できない。

「産直市場グリーンファーム」の事例のように、
地域の人は品ぞろえの多い地元産のいろいろ、
を欲しているのだ。
それに気づかず、誰かの言いなりになって、
農薬や化学肥料を使い漠然と作物を作り、
流通に流してしまっては…。

日本の農業も、もっともっと考え、そして実行しなくては!
改めて、そんなことを感じたツアーだった。


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イチゴを収穫する?Mr.セイージ!

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地元産のワインだ!

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ジャムの味は母の味!

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充実の収穫物と良い笑顔!

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卵に手を伸ばすMr.セイージ

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精肉コーナーも充実

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明るく開放的なカフェ

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農場にて!

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04/21
2014

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老舗野田岩の選ばルール7

「“土用の丑の日”にお店を閉める理由って何ですか?」
老舗うなぎ専門店、野田岩の5代目当主・金本兼次郎氏をお招きした、
先日のアルファクラブ定例セミナーで飛び出た参加者からの質問だ。

実際、野田岩麻布本店では、土用の丑の日はいつも
休業しているという(驚きだ!)。
それは、通常の3倍以上も注文が殺到することで、
提供するうなぎの質を落としかねないからだという。

もっとわかり易く言うと、野田岩の顧客に、
いつもの「野田岩のうなぎの味」を提供できない可能性が
出てくるから、なのである。

まさに、プロフェッショナルならではの発想と心遣いだ。
だからこそ、創業から200年以上経った現代でも店と味が
受け継がれ、選ばれ続けてきたのだろう。

ここでふと思い浮かんだのは、常に選ばれるためのルール
“選ばルール7(セブン)”!
これは、私が数十年前に提唱したもので、
多くの選ばれてきた食から学んだビジネスメゾットのこと。
野田岩が人々に選ばれる理由は、
まさにこのルールを以下のように守っていたためなのだろう。

<老舗野田岩の選ばルール7>
(1)天然うなぎを積極的に使用するなど「本物にこだわる」こと。

(2)うなぎにかける時間を惜しまず、次代の職人も自社で育成
するなどうなぎと人に「手間をかける」こと。

(3)野田岩ならではの美味しくて品のある味を、「とことん追求する」こと。

(4)厨房にこもらず、お客さまの元へ自ら足を運んで接客して
「必要以上のコミュニケーションを図る」こと
(あの建物や空間づくりもコミュニケーションなのかも)。

(5)とにかく、86歳の今も毎朝4時過ぎに起きてうなぎを捌いているように、
常に「積小為大の発想」をしていること。

(6)既存の枠にとらわれず、和食(うなぎ)と白ワインの組み合わせを提案するなど、
「大胆で潔い決断をする」こと。

(7)とにかく、5代目当主として70数年間仕事に立つという
「徹底した日々を送っている」ということ。

これらを徹底継続しているからこそ、
野田岩ではあのふっくらとした上質なうなぎを提供し続けることができるのだ。
さらには、土用の丑の日に店を閉めても、
人々に選ばれ続けているということだろう。

とにかく、誰をおつれしても、
みなさんに喜んでいただけるのは確かだ。


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野田岩さんの5代目当主・金本兼次郎氏

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今回のセミナーで振る舞われた野田岩さんのうな重

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講演中、一度も座ることなくお話されていた金本氏

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暖簾ひとつ見ても、老舗の奥深さが感じられる

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野田岩麻布飯倉本店の外観

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03/31
2014

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「パン・アキモト」が支持される理由

ビジ達でもたびたび紹介している、「パンの缶詰」
でおなじみの株式会社パン・アキモト。

先日放送されたカンブリア宮殿では
番組の最高視聴率を記録し、生産が追い付かないほど
までに問い合わせが殺到しているという。
まさに今大注目の企業だ。

そもそも「パンの缶詰」誕生のきっかけは1995年。
阪神淡路大震災直後、
被災地に届けたパンの何割かが賞味期限切れのため、
廃棄処分になってしまった。
そんな状況で、「日持ちしておいしいパンは作れないのですか」
という被災者の声が「パンの缶詰」の開発につながったのだという。

そうして誕生した「パンの缶詰」が注目されるのは当然として、
パン・アキモトが現在、ここまで勢いをつけている
理由は何なのだろうか。

理由の1つは、「社会背景と時代背景」だ。
パン・アキモトではこれまで、
新潟県中越地震や東日本大震災などはもちろんのこと、
ハイチ地震やフィリピンの洪水など、
国内外の被災地支援を数多く行ってきた。
そうした姿はメディアでも多く取り上げられ、
注目されるきっかけとなっている。

さらに経済優先型のビジネスではなく、
社会性のあるビジネスが重視されるようになったという、
時代の流れ
(今はまさに中島流の“パラダイムシフト75”でいう過渡期だからね~)
も追い風になっているのだろう。

そしてもう1つの理由は、
パン・アキモトの会社の体制が整ってきたということ。
もともとは小さなパン屋から始まったパン・アキモトには、
大量生産の受注に対応するだけのキャパシティがなかった。
しかしパンの缶詰の認知度が上がり、
注文数が増えたことに対応するために、
生産体制も強化し始めたのである。
秋元社長は現在60歳。
息子たちが営業部長、生産部長に就任し、
未来を見据えた体制作りを進めている。

会社には必ず変化するタイミングがやってくる。
このタイミングを逃さず、パン・アキモトは変化しようとしているのだ。

社会情勢の変化、それに伴う需要の増大に
ついて行けるだけの会社のキャパシティ。
支持される理由が整い、一つ先のステージへ歩を進めた
といえるのではないだろうか。


4/6と4/13のBUSINESS LAB.には大注目の秋元社長が登場。
今後さらなる活躍が期待される秋元社長の話は、必聴です!

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InterFM『BUSINESS LAB.』
東京76.1MHz・横浜76.5MHz
毎週日曜 朝 6時から好評放送中!
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いま、世界が注目する!? 秋元親子!

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『BUSINESS LAB.』オリジナルのパン缶だ!

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03/10
2014

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“先用後利”の富山の売薬ビジネス

私がいま注目している県がある。
それは「富山県」だ。

というのも、2014年は
何かと富山に縁があり、
1月に富山で自動車関連業界の方々を
対象に講演を行ったのだが、
その反応も含め、私と近い価値観を
富山の経営者の方々に感じたのだ。

そしてその講演後、
とんぼ返りをしなければ
ならないこともあり、
お金を先に渡し、
人気の季節のカニを
送ってもらえるように頼んだ。

しばらくしてそれが届いたのだが、
金額以上であろうたくさんのカニが!
(富山県は素晴らしい人が多いね~!)

さらに、私の祖先は富山県出身なのだ。
そんなことや、最近友人に勧められた本が
『富の山の人』(森田裕一・著)
だったということもあり、
“富山”という県を深堀りしてみることに。

そこでその本にも紹介されている
300年以上続く富山を代表するビジネス、
“売薬ビジネス(置き薬ビジネス)”に着目してみた。

講演会でも共感していただく
きっかけとなった言葉“先義後利”。
富山では“先用後利”になるのだが…。
“先用後利”とは、“売薬ビジネス”の
「先に薬を使ってもらい、
 次に訪れた時に代金を受け取る」
というところから生まれたという。

そんな信用をベースにした売薬ビジネスは、
なんと300数十年以上も続く、
長い間選ばれ続けているビジネス。

これまで多くの老舗ビジネスの
研究を行ってきた私からみると、
売薬ビジネスが実に理に適っていて、
多くの人たちに認められる
ポイントがあるということがわかる。

実はこの売薬ビジネスが生まれたのは、
当時の富山藩の財政状況が
貧しかったことが理由だという。
その財政再建策として、
このビジネスが生まれたそうだ。

売薬ビジネスが生まれてから、
全国に広がるにつれて
求められ身についたのが、
コンプライアンス意識と帰属意識。

そして全国の人に商品を伝えるために必要な知識
(富山では寺子屋の普及が早かったそうだ)や
コミュニケーション能力も長けていったという。
また、全国各地を巡ることで得た情報が
富山に集まったということだ。

こうしたことが、
現在の富山の方たちが働き者で
教育熱心であること、
つまり“勤勉・倹約”という
気質につながっているのだろう。

弊社で定期的に開催している、
石田梅岩の石門心学からビジネスを学ぶ、
「石門心学・実践講座」。
富山のビジネスの核になる考えは、
ここで学ぶことと非常に近い。

そして、石田梅岩が塾を開講した頃から
この富山の売薬ビジネスも始まっているという。
ふむふむ、ここに何か関係が…?

ということで、4月の石門心学実践講座には、
特別ゲストとして『富の山の人』の著者である、
森田裕一氏をお迎えする。
ぜひ、富山の“先用後利”のビジネスについて
一緒に考えましょう!

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  次代の経営を「梅岩」に学ぶ。
  石田梅岩の思想に学び、現代のビジネスに活かす
  
  ■□ 石門心学・実践講座 □■
  
  ゲスト講師:森田裕一氏
  講師:一般社団法人「石門心学会」監事 後藤三愚氏
  
  日時      2014年4月21日(月)
  セミナー開始  18:00
  閉会      20:00
  
  ▼詳細およびお申し込みはこちら▼
  http://www.q-b.co.jp/img/common/sekimon.pdf
  お電話でもOK! Tel:03-5225-6601 (担当/飯野)
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富山に注目!

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富山の素晴らしい景色!

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見事なカニ!

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