これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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選ばれるビジネス

07/28
2014

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Dolce Vitaの妙

ワイン、オリーブオイル、バルサミコ酢、
パルマの生ハム、多種類のチーズ、
アーティチョークやパプリカの洋風漬物などなど…。
ずらりと並ぶイタリアから輸入された食材の数々。
なんと、これらはぜーんぶ試飲・試食可能なのだ
(…のはず。とにかくあれこれと食べさせてくれる)。

神楽坂駅前の坂を下りた先にリニューアルオープンした、
イタリアの輸入食品中心の販売店
il gusto Dolce Vita(イル・グスト・ドルチェ・ヴィータ)。
このお店は、店内商品すべてが試食できることが特長の人気店。
実はこのお店、リニューアル前は
神楽坂の路地にある小さなアンテナショップだったという。

当時は「うなぎの寝床」のような店構え…
ともいえる間口が小さく細長い店舗だったが、
その頃から多くの人で賑わう人気店だったという。
そして、幸運なことにビルのオーナーから声をかけてもらい、
メイン道路に面したところでの売り場拡大のリニューアルとなった。

イタリアの食材を売る店はこの付近にもあるし、
専門店も都会のあちこちにある。
それでも、個々に人が集まる理由はどこにあるのだろうか。
中島流の分析では以下の3つのポイントが挙げられる。

1. 豊富な品揃え
店内の食材は、本社の社長が出張の度に自らが選んだ、
生産者と味に裏付けのあるものばかり。
つまり、お客さまも納得する
「本当に美味しい商品」のみが並んでいるのだ
(他の店では手に入らないものもかなりあるはず)。

2. 試飲・試食
お店では、気軽に試食(試飲)ができる
ことをコンセプトにしている。
これにより、お客さまの商品への興味を喚起し、
味の良さを理解してもらうことで、
(すぐには買わずとも)リピーターとして
来店してくれるのだ。
この、「どんどん試食・じゃぶじゃぶ試飲」は、
お客さまの心をつかむと言ってもいいかもしれない。

3. 丁寧な説明
試食だけでなく、スタッフからの
詳しい説明を受けられるのも
大きな相乗効果を生んでいるだろう。
商品に対する丁寧かつ知識豊富な説明によって、
お店のファンやリピーターが生まれるのだ。

これら3つの要素がお互いに相乗効果を生み、
現在の繁盛店になったのだ
(本当の勝負はこれからだが…)。

「ユニークな品揃え」かつ
「どんどん試食・じゃぶじゃぶ試飲」ができるのは、
これからの食品販売店の繁盛の
必要条件とも言えるだろう
(少し前に紹介した、台湾から出店の
微熱山丘(サニーヒルズ)もDolce Vitaも
コンセプトは一緒だったような…)。

路面店のビルのオーナー曰く
「せっかくなら繁盛店に来てもらいたい」
と探していたところ、
路地の店舗ながらも常に人で賑わっていた
このお店を見つけて、声をかけたのだという。
このように、たとえ小さな店でも、
ファンを多く得るための努力を行うことで、
大きなチャンスを掴むことができるのだ。

日々の努力だけでなく、運も味方につける。
これが「Dolce Vitaの妙」と言える理由なのだ。

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ここで「どんどん・じゃぶじゃぶ」が…

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店内や店の前は人の活気で満ちている

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こだわりの商品がずらり!

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07/14
2014

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Mr.カルミネ流アグリツーリズム

1987年、日本でイタリア人オーナーシェフとして
レストラン「カルミネ」をオープンした
カルミネ・コッツォリーノ氏。

料理人として約30年日本で腰を据え、
いろいろなチャレンジをしてきた。
先日、そんなカルミネ氏とお話する機会があった。

カルミネ氏の次なる挑戦は「アグリツーリズム」だという。
これは、都会の人が農業体験をしながら
休暇を過ごす新しいライフスタイルなのだが、
近年、需要が増加しているそうだ。

カルミネ氏は「日本でのアグリツーリズムは
もっと盛んに行われるべきだ」と話す。

農業は高度成長期に、利益が少ないという理由で
軽視されがちだったため、
現在ではそれを生業とする人が少なくなり、
業界自体が衰退してしまっていると言っていいだろう。

そこで、カルミネ氏は、
あえて自分の出身地のイタリアで
そのアグリツーリズムを実行する準備をしている。

イタリアのフィレンツェ郊外に施設を持ち、
そこでぶどうや野菜などを育てると共に、
ワインの生産にも挑戦しているという。

実は私も2011年のイタリア研修ツアーのときに
その施設を見せてもらい、
ワインの試飲をさせていただいた記憶が…。

この時、施設はまだ試験段階だったそうだが、
最近は本格的な始動に向けて
整備されつつあるという(ぜひ見てみたい!)。

そして、今後はこれらを日本人に向けて
「カルミネ流アグリツーリズム」として
展開していく予定だそうだ。

最近では、野菜を選ぶ際に、
生産者や生産場所を
重要視する人が増えているように、
良質な野菜、良質な農業が
見直され始めているという。

このように、私たちの生活において
“農業”はその重要さを
取り戻してきているのは間違いないだろう。

かつて経済性ばかりを追って
軽視されていた農業が、
現代においてその重要性も再確認され、
ビジネス的進化が求められている。

農業を通じて、私たちの生活全体を振り返ることは、
今後の日本の食生活の再構築にもつながるのだ。

来年の海外研修ツアーはイタリアとし、
ぜひ、カルミネ流アグリツーリズムを体験してみたい。

InterFM『BUSINESS LAB.』では、
そんなカルミネさんのお話を伺います!
7月20日日曜日朝6:00から!ぜひお聴きあれ!
――――――――――――――――――――――
InterFM『BUSINESS LAB.』
東京76.1MHz・横浜76.5MHz
毎週日曜 朝 6時から好評放送中!
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日本でイタリアン30年!

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故郷イタリアでの挑戦!

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緑も空気もおいし~い!

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広大な大地のおいしいぶどうを求めて

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挑戦はまだまだこれから

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07/07
2014

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「微熱山丘」のビジネスデザイン

先日、社員研修旅行として台湾へ行ってきた。
今回の旅の目的の1つは
「微熱山丘(びねつさんきゅう)」。
ん? 聞いたことがない?

じつはこれ、台湾名物パイナップルケーキの有名店なのだ。
日本でも「サニーヒルズ」という名前で
南青山に出店している。
台湾旅行の前に、
下調べを兼ねて南青山店に行ってみたのだが…

まず驚くのは店舗のデザインが独創的なこと!
日本が誇る建築家、隈研吾氏の設計に
よるものだが、木片を組み合わせて作ったような、
大変目を引くデザインだ。

エントランスを兼ねた1階から
スタッフに案内されて2階へ上ると、
そこでは開放的な空間で
数人の女性がお茶をすすりながらくつろいでいた。

そう、ここでは買い物をしなくても
お茶とケーキの試食サービスが受けられる。
試食と言っても、小さなかけらが出てくるわけではない。
なんと丸々一個、一杯のお茶とともに
トレイに載って提供されるのだ。
試食というよりはゆったりとくつろいで
「お茶をする」といった雰囲気。
その後、5個入り1,500円(10個入り3,000円)の
お菓子を買ったりして出ていくという仕組みだ。

店内にはいわゆる「売り場」が存在せず、
お茶を出してくれる小さなカウンターでお菓子を購入する。
売っているものは
試食できるパイナップルケーキだけなので、
ショーケースなども要らないというわけだ。

南青山でお茶をすれば、
普通コーヒー1杯でも500円くらいはするだろう。
さらにケーキを食べれば
1000円近くかかっても不思議ではない。
サニーヒルズでは食べて飲み、
5個入りの土産付でも1,500円ということになる
(必ず買わなければいけないわけではないが…)。

お菓子を買うのは自由なので、
もしかしたら試食だけで帰っていく
お客様もいるかもしれない。
そうした人も「お客様」としてもてなすことで、
お菓子としてはかなり高価な
パイナップルケーキを皆が喜んで買っていくわけだ。

ここで、サニーヒルズのビジネスデザインに注目!
これまでもお茶を出して試食をしてもらい、
買って行ってもらうという
ビジネスモデルはあったが、
開放的な空間演出を含め、サニーヒルズでは
かなり違ったものになっている。

この、しっかりした投資
(いい空間でしっかり味わってもらう)
をしてお客様に喜んでもらってから
利益を得るというビジネスデザインは、
まさに「先用後利」!

以前ご紹介した富山の薬売りと同じだ
(ちょっと違うかな?)。

先日、台湾のお店でもまったく同じ仕組みで
20数人をもてなしてもらったのだ。
やはりモダンな店内で、
大勢で行ったにも関わらず
ゆったりとくつろぐことができた。
現在「微熱山丘」の年商はおよそ30億円だというが、
お菓子の味だけではなく、
この台湾発のビジネスデザインが
その結果に大きく貢献していることは間違いない。

目先にとらわれずに、
時代に合ったビジネスデザインをすること。
すなわち“先義後利”的ビジネスデザインが
これからの時代、選ばれるはずなのだ。

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こんなセットで試食が出てくる!

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台湾の店員さんとMr.セイージ

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説明をしてくれた彼女と一緒に!

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台湾のお店も広々としてモダンな雰囲気

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日本の南青山店はこんな感じ!

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06/09
2014

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スコットランド流6次産業

今回のイギリス視察ツアーのポイントは、
スコットランドのエジンバラ。
イギリスへ旅行に行っても、
エジンバラまで足をのばすことは
なかなか無いだろう。
それがどうしてわざわざ??

スコットランドと言えば、
もちろんスコッチウイスキー。
そのスコッチの本場でオーク樽の香りを…。
という発想はもちろんあったのだが、
目的はそれだけではない。農業だ。

これからの時代、
世界的に“農業”が重要視されるとみている。
そこで、エジンバラの農場
“クレイジンズファーム”を訪ねることになった。

ファーム自身が
そこで取れた農産物・畜産加工品を販売する他、
それらを使ったカフェも経営している。
いわば日本で注目されている
“6次産業”を体現した施設である。
そこで私は実に印象的な言葉を聞いた。

「人気のある商品を大手のチェーンストア、
テスコから卸して欲しいとも言われたんですが、
そんなに数多くはつくれません。
大手流通に卸すと、
いろいろな意味でこちらの方が
お金を出さなくてはならないことになりますから…」

うーむ、と唸ってしまった。
実はこのクレイジンズファーム、
160万ヘクタールの農地を持ち、年間30万人が訪れ、
日本円にすると3億円弱の売上がある。
つまり、経営的には十分成り立っているのだ。

地元の農家が
納屋で販売をするところから始まり、
現在では近隣の農家・畜産家とも協力。
野菜・果物といった農作物の他にも、
チーズやハム・アイスクリームなどの加工品も扱っているのだ。
今年72歳の女性(経営者の母)がつくる
マーマレードやラズベリーのジャムは、
このファームでは大人気商品だという。
広大な畑は、トラクターによるトレーラー
(この、トラクターというのがまたいいじゃないか!)
で見学することもできる。
私たちは、これで見学させていただいたのだ。

ここでは作物や家畜を育て
加工するのも地元農家、
買うのも地元のお客さんがほとんど。

こうしていい循環で作物とお金が回っている以上、
いくら大手スーパーからの誘いと言えど、
安易に「乗る」理由にはならないだろう。

自分たちで育てたものを、
自分たちで工夫して加工販売し、
レストラン経営までして地元の人たちに届ける。
何も大手流通に乗せなくても、
自分たちの存在理由が十分にあるのだ。
自立したこれからの農業の形がここにある。

それに比べて…と私は思ってしまった。
日本の農業は遅れている!と言わざるを得ない。

それはやっぱり、
JAをはじめ、政府の安易な対策のせいなのだろう。

余計な助成金のおかげで、
自分たちでビジネス化、
すなわち第6次産業化がなかなか実現できない。

「産直市場グリーンファーム」の事例のように、
地域の人は品ぞろえの多い地元産のいろいろ、
を欲しているのだ。
それに気づかず、誰かの言いなりになって、
農薬や化学肥料を使い漠然と作物を作り、
流通に流してしまっては…。

日本の農業も、もっともっと考え、そして実行しなくては!
改めて、そんなことを感じたツアーだった。


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イチゴを収穫する?Mr.セイージ!

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地元産のワインだ!

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ジャムの味は母の味!

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充実の収穫物と良い笑顔!

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卵に手を伸ばすMr.セイージ

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精肉コーナーも充実

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明るく開放的なカフェ

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農場にて!

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04/21
2014

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老舗野田岩の選ばルール7

「“土用の丑の日”にお店を閉める理由って何ですか?」
老舗うなぎ専門店、野田岩の5代目当主・金本兼次郎氏をお招きした、
先日のアルファクラブ定例セミナーで飛び出た参加者からの質問だ。

実際、野田岩麻布本店では、土用の丑の日はいつも
休業しているという(驚きだ!)。
それは、通常の3倍以上も注文が殺到することで、
提供するうなぎの質を落としかねないからだという。

もっとわかり易く言うと、野田岩の顧客に、
いつもの「野田岩のうなぎの味」を提供できない可能性が
出てくるから、なのである。

まさに、プロフェッショナルならではの発想と心遣いだ。
だからこそ、創業から200年以上経った現代でも店と味が
受け継がれ、選ばれ続けてきたのだろう。

ここでふと思い浮かんだのは、常に選ばれるためのルール
“選ばルール7(セブン)”!
これは、私が数十年前に提唱したもので、
多くの選ばれてきた食から学んだビジネスメゾットのこと。
野田岩が人々に選ばれる理由は、
まさにこのルールを以下のように守っていたためなのだろう。

<老舗野田岩の選ばルール7>
(1)天然うなぎを積極的に使用するなど「本物にこだわる」こと。

(2)うなぎにかける時間を惜しまず、次代の職人も自社で育成
するなどうなぎと人に「手間をかける」こと。

(3)野田岩ならではの美味しくて品のある味を、「とことん追求する」こと。

(4)厨房にこもらず、お客さまの元へ自ら足を運んで接客して
「必要以上のコミュニケーションを図る」こと
(あの建物や空間づくりもコミュニケーションなのかも)。

(5)とにかく、86歳の今も毎朝4時過ぎに起きてうなぎを捌いているように、
常に「積小為大の発想」をしていること。

(6)既存の枠にとらわれず、和食(うなぎ)と白ワインの組み合わせを提案するなど、
「大胆で潔い決断をする」こと。

(7)とにかく、5代目当主として70数年間仕事に立つという
「徹底した日々を送っている」ということ。

これらを徹底継続しているからこそ、
野田岩ではあのふっくらとした上質なうなぎを提供し続けることができるのだ。
さらには、土用の丑の日に店を閉めても、
人々に選ばれ続けているということだろう。

とにかく、誰をおつれしても、
みなさんに喜んでいただけるのは確かだ。


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野田岩さんの5代目当主・金本兼次郎氏

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今回のセミナーで振る舞われた野田岩さんのうな重

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講演中、一度も座ることなくお話されていた金本氏

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暖簾ひとつ見ても、老舗の奥深さが感じられる

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野田岩麻布飯倉本店の外観

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