これからの選ばれるビジネス!

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08/05
2013

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続 フランク・ロイド・ライトの仕事道

先日、ニューヨーク・シカゴ視察ツアーを共にした仲間で
自由学園明日(みょうにち)館を見学してきた。

池袋にある自由学園明日館は、
羽仁吉一、もと子夫妻が創立した学園だ。
その校舎は、なんと近代建築の巨匠である
フランク・ロイド・ライト(以下FLW)の設計によるもの。

ではなぜFLWは学校の校舎を建設したのだろうか。

当時、FLWは帝国ホテルの建設のため来日していた。
そこで彼の助手を務めていた建築家の
遠藤新(えんどう・あらた)が
夫妻へ紹介したことがきっかけという。
そして、羽仁夫妻の目指す教育理念に深く感銘したFLWは、
設計を快く引き受けたそうだ。

視察ツアーで我々は、ニューヨークのグッゲンハイム美術館や、
シカゴのオークパークの住宅群などのFLWの建築を見学してきた。
そのためか、明日館の外観を一目みただけでも、
FLWらしい仕事ぶりを感じ取ることができた
(私もつい建築を語れる気分に…)。

住宅地の中に突如現れるその建物は、
幾何学的な装飾モチーフを多用し、
高さを抑えて地を這うような構造の
プレーリースタイル(草原様式)が特徴だ。

建物と周囲の環境が一体化しているような
独創的な空間になっているのだ。

その建物の中にも、FLWによってデザインされたテーブルやイス、
照明などが並ぶ。
その洗礼された調度品は、この空間との一体感を演出している。

このFLWの、空間を含めたデザインへのこだわりや、
細部にまで徹底した作りこみは、
彼の仕事への追求心の賜物であろう。

視察で見た彼のどの作品からもその心意気であり、
こだわりを感じることが出来た。

飽くなき追求心で、デザインや細部へのこだわりを
徹底し続ける姿勢。
それがある種のエネルギーとなって作品に宿り、
訪れる人へ発信し続けているのだろう。

これこそが、FLWならではの“仕事道”であり、
彼のどの作品を見ても「これぞFLW!」と思わせる
魅力の源なのかもしれない。

徹底した仕事をすることが、エネルギーを発信し、
そこに関わった人へ伝えることができるということ!

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直線的なデザインが美しい!

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え!この椅子もデザインした!?

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洗練された美しい空間

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家具や窓が一体感を演出している

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この窓もオリジナル!

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FLWの想いが詰まった空間

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07/16
2013

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十勝スイートピアガーデンの集客力

ある日、新聞を読んでいた時のこと。
おっ! 私の出身地・十勝が取り上げられているじゃないの!

う~ん、この場所なんだか見たことがある…と思ったら、
人気お菓子メーカー・柳月が十勝に展開している
「スイートピアガーデン」ではないか!

柳月は北海道・十勝のお菓子メーカーとして、
六花亭と並ぶ地域の人気店だ。
確かなおいしさときめ細やかな接客サービスから、
観光客以上に地元住民に愛され続けている。私も何度も訪れた。

1階が店舗、2~3階が工場、4階が本社オフィスという
構成になっているスイートピアガーデンでは、
買い物だけでなくお菓子づくり体験や工場見学も楽しめる
(おまけにあずき茶が無料で飲み放題なのだ!)。

さらに、レア商品の購入もできる。
柳月の人気商品の1つに、白樺を割った薪のような
バームクーヘン「三方六(さんぽうろく)」がある。

工場ではそのバームクーヘンの切れ端を安く販売しているため、
開店1時間前から大勢の人が並び、
あっという間に売り切れてしまうという。

つまり、すでに相乗効果が発揮される
店舗づくりがされているということ。さすがだ!

スイートピアガーデンは、帯広の市街地を抜けて
車で20分ほど走った場所にあるため立地がいいとは言えないが、
連日大勢のお客さまで賑わっている。
その数なんと、年間60万人(!)だとか。

しかし、柳月のメインターゲットは観光客ではなく、地元住民なのだ。

柳月のお菓子に使われているあずきや小麦粉、
砂糖の原料となるビートに至るまで、
ほとんどが北海道産を生かしている。
まさに“地域に還す”という意識の表れだろう。

材料もさることながら、パティシエたちの
確かな腕前が物語る味も人気の理由だ。
柳月で技術を学び、世界的な賞を受賞した腕前の
パティシエたちも在籍している。

世界に通用する腕を持ちながら、
“地域の人においしいお菓子を食べてもらいたい”という
純粋な気持ちで、アイデアや技術力、
職人技を生かしたお菓子づくりをしている。

この地域と共に、地域のためにという意識が、
地元に多くのファンをつくることに繋がっているのだろう。
やっぱりこれからの時代、末永く選ばれるためには
地域の文化と産物を生かしていかなくては!

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柳月の魅力が存分に楽しめる施設だ

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これこれ! おいしいんだよね~三方六。

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07/08
2013

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あのホールフーズが“増収増益”

「ホールフーズが増収増益!」

先日、新聞でこんな記事を発見。
健康をテーマとしたグルメスーパー(?)である、
アメリカのホールフーズが、増収増益したというものだ。

四半期決算で、売り上げ13.3%増、利益20.3%増という数字は、
売り上げ1兆円規模の大手スーパーにおいて
異例の好業績を記録したことになる。

ホールフーズといえば、先のニューヨーク・シカゴツアーで訪問し、
インタビューさせていただいたお店。

ここでは、オーガニック食品を取り扱い、
“全米で最も健康的な食品スーパー”という言葉を掲げ、
300店舗以上も展開している。

先日紹介したトレーダージョーズにしろ、ホールフーズにしろ、
感じたのは他のスーパーマーケットとは
一味も二味も違うということ。

ここで鍵となるのは、
ホールフーズの創業者である現在59歳のジョン・マッキー氏。

思えば、ホールフーズは1980年創立という、
比較的若いスーパーマーケットだ。
それが300店舗を展開するに至るまで
急成長できたのはなぜだろうか。

まずホールフーズは、当時まだそれほど浸透されていなかった
オーガニック食品の専門店として登場する。

それは次第にアメリカで受け入れられ、
マクロビオティックという価値観を広めるのに一役買った。

これを受けて、事業を拡大するため大型の高級グルメスーパーを目指すのだが、
2008年のリーマン・ショックで事態は急変、
苦しい局面を迎えることとなった。

そこで、ジョン・マッキー氏は決断する。
ターゲットを富裕層ではなく、健康志向のより多くの人々とし、
彼らの需要に応えられる工夫をしよう、と。

そして、トレーダージョーズなどでも扱っているような、
1ドル99セントのワインなどの低価格商品も
しっかり扱うようにしたのだ
(これはトレーダージョーズをライバル視?)。

この結果、冒頭にあげたような、
1兆円規模のスーパーでは、いまやなかなか実現できない
大きな利益を上げることにつながったのだろう。

まさに、時代を先読みしたジョン・マッキー氏の
絶妙なタイミングで下した決断が功を奏したのだ。

そんな急成長を遂げたホールフーズは現在、
アメリカの「働きたい会社ベスト100」の上位に位置している。
現地で私がホールフーズのスタッフに
ジョン・マッキー氏について話を聞いたところ、こう答えた。

「私たちは、ジョン・マッキーを尊敬しています。
マッキーも私達を尊敬してくれています」

ジョン・マッキー氏の、時流をとらえ決断する力もすごいが、
経営者とスタッフとの信頼関係も
企業の成長に大きく影響していることが理解できる。

やはり、多くの人達から選ばれるのには、必ず理由があるということだ。

それにしても、こんなに注目される
ホールフーズやトレーダージョーズを
訪問先に選ぶセンスはさすが…と誰かが言ってくれている?


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多くの人に選ばれるヒントが詰まっていた!

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尊敬し合う関係は重要!

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健康も自然も大切にする姿勢が大切

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07/01
2013

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徹底した“おむすび”が選ばれる

手結びにとことんこだわる、おむすび専門店「おむすび権米衛」。
とあるイベントの際にその味を堪能させていただいた。
なんと参加者の中には、一気に7個(!)も食べた輩も。
しかし、その気持ちがわかってしまうくらい確かなおいしさなのだ。

おむすび権米衛を展開する株式会社イワイの
岩井健次社長が胸に抱く志は、
“日本の農業を生かしたおむすびづくり”。

化学肥料を使わずに無農薬でつくったオーガニックな米を、
店頭に並ぶタイミングも頭に入れたうえで精米する。

そして水や温度に至るまで
すべてこだわり抜いて炊いた米を、職人が丹精込めて手で結ぶ。

米の1粒1粒が生きたふんわりとやわらかい食感は、
手結びならではだろう。

首都圏を中心に40店舗を構えるおむすび権米衛だが、
今年ついにニューヨークへ出店した。

日本の文化と価値観を追求し、真剣にものづくりをしていれば、
たとえ場所が海外へ移ったとしてもきちんと通用するということ
(まだ5月に出店したばかりだけど…)。

手間暇を惜しまず、質にこだわった味を提供する。
う~ん、その姿勢どこかで…。

そう、坂本孝社長の「俺のフレンチ」だ!

坂本社長曰く、日本の料理人は繊細かつ確かな味覚、
(“ベロメーター”とおっしゃっていた)
巧みさと実直さを兼ね備えているという。

坂本社長の大志の1つは、日本の料理人を世界へ進出させること。

確かに、海外にも日本料理店はある。

しかし、先日の海外研修でマンハッタンの居酒屋へも行ってみたが、
おむすび権米衛ほど、味へのこだわりは感じられなかった
(おいしくないわけではないけど…)。

やはり日本人なればこその価値観を
打ち出していかなければ、志は伝わらない。

さて、おむすび権米衛と俺のフレンチにおける共通項は、
日本の価値観にこだわる点だけではない。

なんと、両者とも中島流・選ばれるためのルール“選ばルール7”
(久々に登場)に当てはまっているのだ!

1 本物にこだわる
2 手間をかける
3 とことん追求する
4 必要以上のコミュニケーションを図る
5 積小為大の発想
6 大胆で潔い
7 徹底の2乗

上質なものをお客さまに提供するために、
味や技を追求し、手間暇を惜しまない。

これらの一貫した姿勢がお客さまを惹きつけるからこそ、
海外でも選ばれるビジネスとして成り立つのだろう。

坂本社長曰く、日本の料理人は世界遺産!
(確かに日本の料理はズバ抜けている)

これからは、日本人なればこその細やかな技や感性、美意識をもって
日本の価値観を海外に輸出していくことが
求められているのかもしれない。


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おむすびは1つ1つが手結び。

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私もよくいただいている

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細部に至るまでこだわり抜いた味なのだ

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つくり手の顔が見えるおむすび屋

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さて、いっただっきま~す!

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06/17
2013

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トレーダー・ジョーズが選ばれる理由

安い、楽しい、そして納得の品揃え!

ファッションであれ、家電製品の販売であれ、百貨店であれ、
昔から生活者に選ばれている店は、こんなイメージだろう。

そして、食品スーパーでこの路線を行っているのが、
アメリカのトレーダー・ジョーズだ。

もちろん先日の海外研修では、
マネージャーにインタビューもしてしっかりと視察してきた。
現地に行くとやはり“トレジョ”の
選ばれる理由がどんどん見えてくる。

1966年創業のトレーダー・ジョーズは、
カリフォルニアを中心に全米に約300店舗を展開している、
超人気グルメスーパーマーケットだ。

店頭に並べられたこだわりのオーガニック商品やワインは、
世界各地から直取引で仕入れたもので、値段は格安。

店内の8割以上がPB(プライベートべランド)
というのも魅力のひとつだ。

しかも、そのPBは人気により入れ替えがあるので、
行けば必ず新たな面白いもの、珍しいものがあるという
期待感を抱かせてくれるのだ。

しかし、トレーダー・ジョーズの魅力は
単なる「商品力」に留まらない。

もうすぐストアマネージャーになるという
クルー(スタッフのことをこう呼ぶ)に話を伺ったところ、
ヘルプのスタッフ(コンシェルジュ?)が
店内いたるところにいるのは当たり前。

特にレイを首にかけているクルーには何を聞いてもOKで、
味見をしたければ袋を開けて試食させてくれるというのだ。

またトレーダー・ジョーズには常連客が多く、
クルーとお客さまとの距離が近いのも特長のひとつだとか。

「私たちにとってトレーダー・ジョーズに勤めていることは、
ステイタス性も高く、自慢なんです!」

バリュー価格にも関わらず、
徹底的に食品に対する生活者の不安を
取り去ろうとしている<バリュー&クオリティ>というところ。

そして、上の言葉にあるように
クルーたちが自慢できる徹底した店舗づくりも、
トレーダー・ジョーズ最大の強みなのだろう。

ここまで語れば、セルフサービスが主流のアメリカで
トレーダー・ジョーズが選ばれ続けている理由が見えてくるだろう。

他のスーパーとは異なる一歩進んだアピール、
いわば「感動」や「愛着」、「充実」が
トレーダー・ジョーズのブランドを差別化し
好影響を与えているのだ。

そこには常識を気にせず展開する、
まさにトレジョ流のビジネスモデルがあり、
他にはない価値観を生み出している。

これからの時代、多くの人から選ばれ、信頼され、
なくてはならない存在になるためには、
トレジョのような独自の“徹底”が重要なのだろう。


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人気のトレーダー・ジョーズに視察!

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47年選ばれ続けた理由とは…

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いつ来ても賑わう店内

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またおいしいPBを買いに来るよ~

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