これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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選ばれるビジネス

12/17
2012

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虎屋の応対

サービスが高く評価されている店はたくさんあるが、
時には過剰なまでのサービスが目立つところもある。

接客(応対)において最も大切なのは、
相手に気持ちよく
帰ってもらうために“礼を尽くす”
ことではないだろうか。

室町時代から続く老舗和菓子メーカー・虎屋。
経営理念は「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」。

ワンフレーズのシンプルな理念を
徹底しているからこそ、
お客さまにもその心が自然に伝わり、日本を代表する
一流のメーカーとして500年も愛され続けているのだ。

そのおもてなし精神はお客さま相手だけではない。
先日、ある打合せのために17代当主(黒川光博社長)の秘書室を訪ねた時のこと。

秘書と思わしき女性の案内で応接室に通される最中、
ある部屋でたくさんの絵を動かしているのを
たまたま目にした。
興味を持った私が尋ねると…。

「昨日まで展示をやっておりまして、
今朝から搬出作業をしているんです。
すみませんねぇ、お見苦しいところを
お見せしまして…」
と気遣ってくださった(私としては全然見苦しくなんてなかったのだが…)。

その後応接室で待っていると、
お茶請けとして出されたのは
可愛らしいゆずの生菓子。
さすが、日本を代表する虎屋の和菓子は雅やかで目を喜ばせてくれる。

さらに、帰りには打合せ相手の方々が
エレベーターで一緒に下まで降り、
私たちが出ていくまで見送って
くださったのだ(さすが!)。

案内されてからお見送りを受けるまで
非常に丁寧な応対をしていただき、
お陰で私は気持ちよく虎屋を後にすることができた。

サービスへの評価が高いホテル、ザ・リッツ・カールトンの
接客対応はすばらしいが、日本人の私としては、
日本の“礼を尽くす”応対が
やっぱり1番と思えたのだ。

きめ細かく“礼を尽くす”応対(おもてなし)の精神は
日本ならではの文化であり、
まさに一流と言えるだろう。
味や形こそ変われど、いつの時代も虎屋の心は変わらないということ。

ここ数十年のうちに日本はずいぶんアメリカナイズされ経済優先型の発想が定着してしまったが、
古くからこの国に受け継がれている価値観を
見直すタイミングが来ているのないだろうか。

新しいステージに立つためには、
日本に伝わる本当に大事な価値観を見直すことも必要なのだ!

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ゆずの生菓子

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日本を代表するメーカーだ。

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老舗の味を守り続ける

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偶然見つけた対談記事!

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12/10
2012

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パン・アキモト65周年イベントの意義

「片目で物事を見るのはいいが、両目で見ちゃいけない。」
パン・アキモト創業者であり、
私がいつもお世話になっている秋元義彦社長の父親(先代)のこの言葉。

「自分たちができることの可能性を見極めろ」という意味のこの言葉は、
65年たった今でも、パン・アキモトの「思い(文化)」として、
しっかり受け継がれていた…。

先日、那須塩原で開催されたパン・アキモトの65周年イベント。
もともとは司会役として出席させてもらう予定だった。

しかし普段から秋元社長には大変お世話になっているので、
少しでも感謝の気持ちを伝えられればと思い、
オープニングムービーの制作も引き受けることにした。

当日、会場には150名を超す知人やお客さまの姿。
イベントが開会するやいなや、早速そのムービーがスタート!

まず、最初に出てくるのは、昔懐かしいオート3輪に乗った
創業当時の先代。そして、恐らく真面目にパン作りの修行を
していただろう? ロン毛の秋元社長。
(かつてはそんな時代もあったのか…)

その後、震災を受けてのパン缶開発から始まり、
理不尽なクレーム、そしてNASAやアメリカへの進出。
まさに波乱万丈。

改めてパン・アキモトが歩んできた軌跡をたどると、
やはり65年という歴史は伊達じゃないと感じさせられた。

同時に、これからまた成長し続けるであろう“NEWパン・アキモト”に
期待を寄せてしまう。きっとこの
イベントに集まった人たちも、
同じ気持ちになっていただろう。

そして、パン・アキモトが次なるステージに行くために、
つい手を貸したくなるのだ。

また、働いている人たちにとっても、
このイベントの開催は
大きな意味を持つことになっただろう。
これだけ多くの方に支えられ、
愛されている企業はそうはない。
そのことは、社員のモチベーションを上げるきっかけとなるのだ。

今年で65歳になった「パン・アキモト」。
この継続の裏には、次なるステージを目指す
経営者の向上心と、企業ブランディング。
またそれを支える多くのお客さんと社員の力がある。

このイベントには、そんな、
企業には欠くことのできない
「ブランディング」と「社員の意識改革
(モチベーション)」
という大切な要素が入っている。

そしてその「思い(文化)」は
ずっと受け継がれるだろう。
イベントを開催する意義はそこにある。

これから70年、そして100年と受け継がれていく。
パン・アキモトの「思い(文化)」は、
きっと多くの相乗効果をこれからも生むに違いない。
いやー楽しみ、楽しみ。
(うちも5年後に○○周年を…なんて思ってないが…)

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笑顔の秋元夫妻

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クラウンもお祝いに

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山あり谷ありの65年

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“NEWパン・アキモト”に期待

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12/03
2012

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吉田カバンの“できるけど、しない”

何度かビジ達に登場している吉田カバン(吉は「土」の下に「口」)。
1935年、吉田吉蔵(よしだきちぞう)氏により創業された。

「一針入魂(いっしんにゅうこん)」という信念を掲げ、
確かな職人の技術で一つひとつの鞄を丹精込めてつくっている鞄メーカーだ。
(ちなみに、私のビジネスバッグも吉田カバン製!)

実は、吉田カバンもしっかり
「できるけど、しない」という勇気ある決断をしていた!

安価な中国製品が増え、多くの企業が中国に生産工場を移した頃でも、
吉田カバンは決して海外生産に手を出さなかった。

確かに、生産工場を海外に置けばコスト削減や大量生産は可能だが、
一度手を出してしまえば今度はベトナムやミャンマーで…と続いていくだろう。
結果的に、一針に魂を込めて鞄をつくっている職人の技術を失ってしまう。

だから、日本に伝わる職人の技術を守るために吉蔵氏は「職人さんを絶やすことは決してしない。
だから“メイドインジャパン”を貫くんだ。海外生産には手を出すな」
と言い続けたのだ。

もう1つ、吉田カバンのその昔の大ヒット商品として知られる「エレガントバッグ」。
ファスナーの開閉によってマチ部分を調整できる革新的な鞄だ。

当然海外からもライセンスの話がたくさん来たが、
吉蔵氏は「会社の顔が見えなくなる」と徹底して受けなかったという。

ライセンス契約をすれば、鞄はさらに売れ
会社の規模も大きくなったかもしれない。
しかし、吉田カバンならではのクリエイティブや存在意義を守るために、
吉蔵氏は利益を優先せずに「できるけど、しない」決断をしたのだ。

できることをすべてやっていけば、
一時のお金や規模は手に入るかもしれないが、長期的に見れば
それは必ずしも会社やステークホルダーにとっていい影響を及ぼすとは言えない。

吉田カバンの「できるけど、しない」のように、どれほど商品が売れていても、
目先の儲けや自分たちの都合を優先せずに本質を見極めることこそが、
今の日本に必要な価値観ではないだろうか!?

さすが、私が15年以上も愛用している吉田カバンの価値観だ!
これからも、こだわりのものづくりを続けてほしいなぁ~。

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今も愛され続ける吉田カバン

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私も15年以上お世話になっている!

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吉蔵氏と妻・千香氏の名前を繋いで   誕生した「KURA CHIKA」

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有名な「PORTER」

dekiru コピー

吉田カバンでも 「できるけど、しない」!

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11/26
2012

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小阪裕司博士が語る“心の豊かさ”

先日開催したαクラブ定例セミナーのゲストに、
情報学博士であり、ワクワク系マーケティング実践会を主宰する、
小阪裕司氏をお迎えした。

今回のセミナーテーマは
『KAIZENビジネスカンファレンス』。
小阪氏には、人の価値観や買い方・選び方の
変化に合わせて、
企業もビジネスを変える必要性があることについて、
3つの事例を交えながら語っていただいた。

事例の1つがが、アメリカやメキシコで売られている
P&Gの衣類用柔軟剤「ダウニー」が
なぜか売れていること。
(P&Gジャパンから発売されている「レノア」があるのに!)

当然、輸入商品となるため、価格は割高。
しかし、その香りを好む人が多く、売り上げは実に好調なのだ。

2つ目は主婦層向けの雑誌『Mart』で取り上げられ、
瞬く間に人気に火がついた「ル・クルーゼ」というフランス製の鍋。

実物は重いので女性にとって使い勝手が
よいとは言えない。
が、オープン棚に飾ってあると
気分が高揚するとして、
主に台所を彩るインテリアの役割を
果たしているそうだ。

3つ目は木の床材の「ライブナチュラル」。
発売から10年も経っているのだが、
月に1万坪程度売れればよいところを、
なんと10万坪も売れているのだそうだ。

それほど売れている理由は「心の豊かさになる床材」という
テーマを基にした、豊かさを感じさせる商品作りと、
そのための付加価値のコミュニケーションだろう。

HPには「自然が創りだしたみずみずしい
木肌や鮮やかな木目、
熟練工の手を加えることで、
美しい意匠を愉しんでいただけます。」と
書かれている。

これらの事例から、いま、人は心の豊かさと充足感を
求めているのだということが分かるだろう。

今回セミナーで小阪氏が語っていたように、
これからはものをつくるだけではなく、
「自ら需要を創造し、お客さまをつくっていく」ことが必要なのだ。

つまり、商品の“ココが好き!”
と言ってくれるファンをつくっていくことが、
選ばれるビジネスにつながっていくということ。

しかし、忘れてはいけない。
そうしたものづくりは、会社の風土や文化、
人づくりまでしていかなくては、
決して実現できないだろう。

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情報学博士の小阪氏

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KAIZENについて話し合った!

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今回は会場を変えて開催!

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2012

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人づくりはいい職人づくりに通ず

いい人材を育てることが、会社を育てる。
だからこそ、人を大切にしよう…これは、ビジ達で
過去に何度も語ってきた考え方だ。

なんと、ある企業では、“育てる”ことが本来の目的と言い切っている。
それが神奈川県で家具工芸を手掛ける秋山木工だ。

この会社が取り入れている丁稚制度は、
丁稚として4年間、職人として4年間働いたあとは、
強制的に秋山木工から出ていって
もらうというルール。

8年間も修行したとなれば、
会社にとって大切な人材なのに、
なぜ外部に放出してしまうのか?

実はこの制度ができた背景には、
16歳で丁稚になった、秋山利輝社長の経歴が関係している。

秋山社長は丁稚として現場に入り、
技術を身につけたら
他の現場に丁稚として入る、ということを3~4社で繰り返してきた。

当然、技術も身につき、ある程度給料がもらえる頃に
また丁稚状態で次に移るわけだから、
それなりの覚悟が必要。
そのお陰で多くの職人の技に触れることができ、
様々な技術を身に付けることが出来たという。

そんな彼が得た結論、それは
「丁稚制度は、良い技術のためではなく、
まず人づくり」。

これは、出会ってきた職人たちが、彼に技術ではなく
“職人の心得”を学ばせてくれたからだろう。
だからこそ、27歳で秋山木工を創業し、
試行錯誤の末に
「良い仕事のために、まずは人間性」という考え方に行き着いたのだ。

すると次第に「この会社の使命は、
良い家具づくりではない。
いい人づくりであり、いい職人作り」という
意識になってくる。

自分たちの商売の目標は良い家具をつくることだが、
その出来は人間性に左右される。
つまり、家具づくりよりも、まずは人づくりということ。

なんという偶然か、それは私の“仕事道”による育み力に当てはまる!

仕事道とは、仕事を通して人間性磨き、
プロの技術とノウハウの向上を目指す。
そして組織の成長と社会貢献を実践していくこと。
これらの礎は“人”であるため、良い人材を育む力が大切になる。

人づくりに必要な資金を得るために稼ぐ必要はあるが、ビジネスの目的は決して儲けることではない。
いい人を育てることが、いい職人を育て、
良い家具をつくることにつながっていく。

秋山木工は、この“育み力”をビジネスに
したような会社なのだ。

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孫ではなく、秋山社長のお子さんたち!

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若いうちから人としての自覚を育てる

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リーダーズセミナーでお邪魔しました。

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育み力を身につけよう

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