06/20
2016
遅ればせながら、農業新時代
ビジ達をお読みの皆さんはご存知かと思うが、
私の生まれは北海道十勝の芽室町だ。
農家で育ったこともあり、
私自身も幼い頃から手伝いとして農業を経験している。
私が小さい頃は雪も多かったので、
春の作業のために早く溶かそうと土をまいたりもした。
そして畑を耕し、種を植え、夏には草取り、
秋は収穫というサイクルを、毎年続けていた。
今思い返しても、あの頃の農業は
“辛かった”という思い出だ。
私自身がそう感じているせいか、
当時農業を好きな人は少なかったように思う。
ところが、現代の農業はまったく違うのだ。
最近、十勝の農家を何軒も訪ねて知った動向と、
メディアを通じて知った変化を紹介しよう。
まず1つめ。
とある酪農家が、畑の隅の方におしゃれなカフェをつくり、
産物を料理して販売しているのだ。
そしてその酪農家は、
全国のスーパーマーケットやデパートと
直接取引をしているという。
2つめは、農家が直接海外へ行って展示会に参加し、
取引のきっかけをつくっていること。
私が話を聴いた農家は、
シンガポールや台湾といった
アジアに取引先を広げているという。
3つめに、AIとドローンを使った農業が広がり始めた。
センサーが害虫を探知すると、
そこだけに農薬を散布するということらしい。
また、夜にはドローンが明かりをつけて飛行し、
害虫駆除をしてくれるという。
そして4つめは、様々なデータを使った農業である。
温度や日照時間などを分析・管理し、
最もおいしい野菜を常に作り続けられる環境にしているという。
このように、農業はいま、大きく変わろうとしているのだ。
ほかの業界はもっと早く
ロボットやAIなどを取り入れていたので、
タイトルの「遅ればせながら」というわけだが…。
ついに、農業新時代の幕開けがやってきたのである。
私が北海道でかわいく暮らしていた50年前は、
農業はまさに「3K」…きつい・汚い・危険だったと思う。
(いや、それほど危険ではなかったかもしれないが…。)
ところが現代の農業は、
「自然と共に、家族と楽しく、収益性も高く」
働くことができるのだ。
農業が活性化し、収益にもつながり、
楽しく継続できるのなら、
今までの農業を敬遠していた人たちも、
職業の選択肢の一つにするかもしれない。
そして、跡を継ぐ子どもたちが増えることで、
地方の第一次産業も久々に
活性化することになるのではないだろうか。
その結果、地方の人口流出を食い止められる可能性もあるのだ。
現代の技術に合わせた農業の変革は、
単に収穫量を増やすだけでなく、
地域に良い循環を生み出してくれる。
そんな輝かしい農業新時代が、
今まさに来ようとしているのだ。