12/10
2018
郷に入っては郷に従いますが…
“郷に入っては郷に従え”
有名な日本の諺があるのはご存知だろう。
実はこの言葉は、海外にも同様のものがある。
“When in Rome do as the Romans do”
つまり、ローマにいるときはローマ人が
するようにせよ、ということだ。
つまり、日本だけではなく、
世界的な概念であるわけだ。
なぜこの言葉を持ち出したかというと、
先日、石垣島訪問をレポートしたと思うが、
そこでの体験が元となっている。
ある郷土料理屋さんで、
一緒に行ったメンバーたちと
石垣ならではの料理に舌鼓を打っていた。
すると、店内では三線(さんしん)の伴奏で
島の踊りを披露してくれ、
最終的にはお客様すべてを巻き込んで
(店を挙げて踊ったってこと)
楽しませてくれたのだ。
また、現地の方々がお勧めする
「ヤギ汁」という料理がある。
ヤギの肉と骨をじっくり煮込んだスープで、
その独特の香りがやみつきになってしまうという。
(らしいが、実は私は苦手で…)。
これを体験したメンバーたちは、
その女将と仲よくなり、赤い顔で
満足げに帰ってきたのだ。
感じたのは、石垣島独特の空気だ。
東京はもちろん、私の地元である北海道とも
まったく異なる。
ヤギ汁の味はもちろん、
「なぜ地元で愛されているか」ということは
郷に入ったからこそ気づくことが
できるのではないだろうか。
これは、度々お話するスペインの
サンセバスチャンでも同様だ。
現地には現地の流儀がある。
それは、本で読んだり、
人の話を聞いただけではわからないものだ。
自ら足を運んだからこそ気づく、
その土地の文化や価値観。
だからこそ私は、
“郷に入っては郷に従う”ということを
大切にしているのだ。
さて、今回語りたいのはここから…
ところがだ、今の時代、その“郷”の
文化や価値観が希薄になってきている。
それはなぜか。
今までは日本の中で完結してきたビジネスが、
地球規模になっていく段階なのである。
いわゆる私の提唱する、
「地球経済圏時代」である。
プラットフォーマーの台頭、
そしてIT・IoT化が進むにつれて、
地球全体が一定の価値観に
染まろうとしている。
無論、ビジネスにおいてその時流に
乗り遅れないことは重要だ。
だが一方で、“郷”の文化が
次第に薄れていってしまっては、
本末転倒なのではと思ってしまう。
さまざまな地域の気候や文化、価値観が
あるからこそ地球は面白いのだ。
だから郷に入っては郷には従うが、
個々の郷の文化も残していきたい。
それをこれからのビジネスにおいて、
私は心がけていきたい…
と思うのだが、果たして。