01/13
2015
“便利さ”に誤魔化されるな!
「イオン、駅前丸飲み」
先日手にした「日経MJ」を眺めていると、
こんな見出しが目に入った。
今まで都心から数キロ離れた場所で展開していた
大型ショッピングセンター「イオンモール」が、
岡山駅前という都心部に12月5日にオープンしたというのだ。
また、別の誌面では
「セブンイレブン VS アマゾン」という見出しも。
ここでは、大手流通企業の
セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネル戦略
(販売経路を一元化して、商品を顧客に提供するサービス)
について書かれている。
これにより、セブン&アイ・ホールディングスが持つ
巨大ネットワークを駆使して、
ネット通販世界最大手のアマゾンに対抗することとなる。
ここで注目したいのは、流通企業の話ではなく、
そのサービスを受ける生活者について。
もっと言えば、大手流通企業が提供する
「流通の便利さ」を享受しすぎることで予想される、
2つの大きなリスクについてだ。
1つ目は、過剰流通によりリスクも伝播するということ。
最近のニュースに、大手飲食チェーンが
起こした異物混入事件があった。
このように、大量生産・大量販売は、
多くの人の手に物がいきわたる反面、
問題が起きた際、その危険は
多くの生活者にふりかかる。
また、生産元で病原菌などが発覚すれば、
大量の無駄な廃棄物も生み出してしまうだろう。
そして2つ目は、地域でのお金の循環を妨げてしまうこと。
私が提唱しているものの1つに“日本列島疲弊論”がある。
現在、大型ショッピングモールは、
テナントも全国展開しているものがほとんどだ。
そのため、たとえそこで購入したとしても、
そのお金は地域には回らず、
都市部にある本社に集まってしまうため、
地域産業の発展を妨げているのだ。
全国で増え続けるシャッター通りのように、
大型ショッピングモールによって地域文化は衰退し、
やがて日本は“疲弊”してしまうだろう。
このように、技術の進化とともに
流通が拡大している現代において、
便利さだけを重視していると、生活者だけでなく、
地域全体に大きな危険が及ぶ可能性が高い。
それは、未来の社会にも大きく影響するだろう。
だからこそ、私たちにいま求められているのが、
「どこで買うか、誰から買うか」という、
自ら取捨選択して行動することだ。
目先の便利さではなく、
未来を視野に入れた選択こそ必要なのだ。
そして、これは生活者だけでなく、
多くの企業にも同じことが言えるだろう。
つまり、
「どの会社と取引するか、
どんな人たちと仕事をするか」
の判断が求められているのだ。
日本はいま、5年後にオリンピック開催を控え、
産業の活性化に向けて湧いている。
国民であり一生活者として、
いまこそ目先の便利さや安易なおいしさを求めず、
地域の活性化に繋がる購入の仕方を
改めて考えるべきだろう。