これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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目からウロコのおすすめ本

02/02
2015

book1

『スマート・テロワール 農村消滅論からの大転換』 松尾雅彦著

ここ何年か、「農村消滅論」というものが
一部で唱えられているが、これにはっきりと
NO!を唱えるのがこの本。

ポテトチップスなどのお菓子で有名な会社、
カルビーの元社長である松尾雅彦氏が書いた
『スマート・テロワール 農村消滅論からの大転換』だ。

“スマート・テロワール”とは、
「美しく強靭な農村自給圏」のこと。
里山を中心とした農村で、小さな自給圏を作り、
地域ごとに自立した経済を作っていくというものだ。

じつは松尾氏は、私が理事を務めるNBC
(東京ニュービジネス協議会)の先輩にあたる。
先日、NBCで私が担当する昼餉フォーラムに
ゲストとして来ていただいたとき、
この本の内容を中心にお話していただいたのだ。
さらに、参加者全員に本のプレゼントまでしていただいた!

この本によれば、
現代の日本における何よりの成長産業は「農業」。
今、日本で手入れされていないままになっている
耕作放棄地や水田約100万ヘクタールを畑に転換すれば、
農業は15兆円産業を創造できるというのだ。

これは根拠のない話ではなく、
美味しいポテトチップスを安定供給するため、
全国の農家とじゃがいも生産の契約を結んできた
カルビーの元社長だからこそ言えること。
日本の農業に昔から深い関わりを
持ってきた方だからこそ、説得力も増すというものだ。

また、松尾氏は、
NPO法人「日本で最も美しい村」連合のリーダーでもある。
世界に誇れる日本の美しい里山の風景・文化を守りつつ、
その農村が地産地消の経済を発展させ、
自立できるようなビジネスモデルを目指すのが、
この連合の目的だ。

今こそ、産業としての農業を見直すとき!
熱く語る松尾氏のお話に、
昼餉フォーラムの参加者は興味津津。
定員30名の集まりが満席になるほどの盛況ぶりだった。

思えば、昨年私が見学した
エジンバラのクレイジンズファームで
見てきた6次産業化も、「スマート・テロワール」
実現のひとつのカタチと言えるのではないか。

何かと“里山”づくこの頃、
偶然であるように見えて、すべては必然なのかも?
いやいや、それだけ世の中で
“里山“の需要が増してきているということ!
あらためてそう感じた出会いだった。

book

農業を15兆円産業にするとは!?

book2

熱く語る松尾氏!

book3

参加者も興味津津

book4

昼餉フォーラム記念の一枚!

book5

日本経済活性化のヒント!

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目からウロコのおすすめ本

01/19
2015

hakkou

『発酵道』寺田啓佐(けいすけ)・著

私がこの本と出会ったのは、
2011年頃だっただろうか。

沖縄で開催された講演会
(もちろん私がゲストスピーカー)の際、
関係者の方から“今年1番の本”として
プレゼントしてもらったのだ。
この方はきっと私の話を聞いて、
価値観が似ていると感じておすすめしてくれたのだろう。
その頃の私の話のテーマは“仕事道”だった
(思わず夢中で読んでしまった)。

先日、池袋にあるバー
「たまにはTSUKIでも眺めましょ(通称・たまTSUKI)」が
主催するバスツアーで、酒蔵・寺田本家を訪れる機会があった。

寺田本家では徹底した自然酒づくりをされていて、
まさに『発酵道』を読んだイメージそのまま!

23代目当主であった著者・寺田啓佐氏は、
ある病気を患ってしまう。
そこで、これまでお金を追い求めて競争を続け、
自分の快楽だけをむさぼって生きてきたことに気付く。
これを正さない限り、
自分が病気に負けてしまうかもしれない。

寺田氏はこの病気を機に、自分の生き方、
そして酒蔵自体の在り方も見つめなおすことになる。

私がこの本を読んで、
一番印象に残っている言葉は“腐敗”と“発酵”だ。

本来酒づくりはあえて菌を投入し、
自分たちの都合を優先させた流れによって同じ味の酒をつくる。
都合を合わせ、利益を追い求めて酒づくりをすることは、
“腐敗”の道を歩んでいるのではないかと思った寺田氏は、
酒づくりを変えていったのだ。

そこで本来の“発酵”に注目し、
無農薬米を使用した酒づくりを始める。
人間の都合によって菌を投入するのではなく、
タイミングをすべて自然にまかせる。

その“自然にこだわった”行程によって
つくられたものは、「自然酒」として販売されている。

今の時代、効率ばかりを求めて
人間の都合に合わせてしまいがちだ。
そんな効率の追求ばかりしていては
「自分だけ、今だけ、お金だけ」
といった価値観になってしまう。

経済効率ばかり追い求めなくとも、
本来の在り方でいれば、
人間に合う自然な歩みになるはず。
それこそが“発酵”ではないだろうか。

理念を通して、自分たちの生活に落とし込む
徹底ぶりを寺田本家では体感することができた。

その結果、いい酒づくりを通して
多くの人々に喜ばれることが、
世の中の“発酵”へとつながっているのだろう。

余談だが、『発酵道』の“道”っていいよねぇ。
日本人らしくって(もちろん、“仕事道”に通じるところがたくさんある!)。


book1

ついに寺田本家を訪問!

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酒蔵の中も見学させていただいた

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徹底した自然酒づくりを拝見!

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目からウロコのおすすめ本

01/05
2015

s1

『里山ビジネス』 玉村豊男著

北海道の芽室の大自然の中で育った私には、
昔から里山が馴染み深いものだった。
今でこそ新宿区に会社を構えているが、
私の原点はあの里山にある風景だ。

そして2014年の海外研修ツアーで訪れた、
エジンバラのクレイジンズファームでは、
理想的な“6次産業”を目の当たりにした。

大手流通に頼らず、その地域や人のための
農業を確立している。
そうだ! 地域とともに生きることこそ、
これからの日本が目指すべきものだ!

…と思った私は、さっそくこれを
中島流『里山ビジネス』と命名。
ふと思いついて検索をかけてみたら、
エエーーッ? 全く同じタイトルの本がある!!

それが、今回ご紹介する「里山ビジネス」なのだ。

著者の玉村豊男氏は、
カラダを壊したことを機に長野の里山に引っ越した。
畑をやりながら、静かに暮らしたい。
そう思ったのがきっかけなので、
始めは隠遁的な生活が目的だったという。

しかし、今ではワイナリーとレストランを経営し、
年間4万人もの人たちが訪れるところになっている。
玉村氏は一体どのようにして、
多くの人から選ばれるビジネスを実現できたのだろうか?

実は、玉村氏は儲けようとしてワイナリーを始めたわけではないのだ。

里山の環境を生かしたうえで、
夫婦二人が食べていける手段として考えたものだという。
奥さんと二人で生活できれば良いのだから、
当然儲けは度外視してのスタート。

しかし、地域に根付いた「里山ビジネス」によって
じわじわとお客様を増やしていったのだ。

日本本来の、自然の恵みを活かした農業。
そして、その収穫物を地元で味わえるレストラン。
玉村氏の作るワインや、レストランの料理が美味しいことはもちろんだが、
こうしたスタイル自体が支持されたとも言えるだろう。

一方で、都会で売られている野菜の多くは
農薬をばらまき、大量に生産して大手流通に乗せたものだ。

現代日本の病理の一端は、
こうした農業の構造が担っているのでは?

それに対する有効な処方箋が、この「里山ビジネス」!
地域社会に根付いた農業と、それを活かしたビジネスだ。

私の考えていたことを改めて裏付けてくれたこの本は、
これからの日本社会にとっても意味のある新たな風となるだろう。

いや~とにかく“里山”はこれからの社会の
重要なキーワードになることは間違いない!

book

ズバリこれだ!

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目からウロコのおすすめ本

10/27
2014

book

『アドラー 一歩踏み出す勇気』中野 明・著

『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』、
『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』と、
アドラー心理学に触れ…この度ついに3冊目を読破!

今回手に取ったのは、『アドラー 一歩踏み出す勇気』という本だ。
ほかの2冊との違いは、小説仕立てになっている。
そして、物語の中にアドラー心理学のエッセンスが盛り込んであるのだ。
非常に読みやすく、私は3時間かけずに夢中で読んでしまった!

主人公の「松田勇二」は、大手広告代理店に勤めるサラリーマン。
お客さんや家族とのやりとりの中で壁にぶつかるが、
謎の指導者に導かれて「自分を変える7つのステップ」を実践していく。
そして、さまざまな問題を解決していくというストーリー。
そして成長した「松田勇二」になるというわけ!

私がアドラー本を3冊も読む理由は、
ビジネスにも役立つようなヒントが、たくさんちりばめられているからだ。
ビジネスはもちろん、家庭も、趣味も、
生活を営むうえで必ず絡んでくるのが人間関係。
人は一人では生きていけない。

だからこそ、自分が所属する共同体に貢献し、
一体感を感じることで高い充足を得られる。
それをアドラーは「共同体感覚」と呼んでいる。
家族、組織、地域、社会、国…
あらゆる共同体への意識を持つことで、
自分自身も成熟していくのだろう。

アドラー心理学を学んでいると、
私の説く“仕事道”とオーバーラップする部分が多いことに気づく。
個人としての人間性、スペシャリストとしての成長、
組織の成長、そして社会貢献。
一人ひとりがそうした意識で生きていけば、
善循環が起こり世の中もうまく回っていく。

社会人として、家庭人として、一人の人間として、
「自分のあり方」へのヒントをくれるこの本。
新たな自分にステップアップするチャンスにめぐり合えるかもしれない!

「人間は社会的存在である」と提言していアドラーが、
「人間は動物的な存在である」と答えたフロイトと
袂を分かった理由がわかるような気がする。

アドラーは人間の心理を掘り下げるだけでなく、
どうすればその研究を人間社会の中で良い方向に活かせるのか。

その研究の社会意識を教えていたということだろう。
もう少し早く、アドラーの本に出会っていれば…
(“たら”“れば”はビジ達に似合わないかな~)。

book

是非、手に取っていただきたい!

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目からウロコのおすすめ本

09/29
2014

book1

『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』小倉広・著

「あ~ダメダメ! そんなやり方をしたら、
 こういう問題が起きちゃうでしょ。
 なんでそんなやり方をするのかなぁ…考えればわかるでしょ。
 いいかい、このやり方でやり直してみて」

う~ん、会社ではよく聞くこんな言い方
(私もよくやってきた…)。
これでは、勇気づけならぬ“勇気くじき”となってしまう。
私は30数年経営をやってきたが、
20年以上は部下に対して“勇気くじき”の
コミュニケーションをしてきたのでは…とハッとさせられた。

先日ご紹介した
『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』は、
アドラーの考え方や哲学について触れる書籍。
今回ご紹介する『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』では、
日常生活やビジネスにおいて、アドラーの考え方を
具体的にどう活かしたらいいのかが書かれている。

先ほどの事例の場合、部下を勇気づけるには
こんな接し方が効果的だという。
「この仕事を進める際には、
 こんな観点に気をつけるといいかもしれませんね。
 そうすると、どのようなやり方が考えられますか?」

つまり、学校の先生のように教える(ティーチング)ではなく、
相手と対話することにより自発的な行動を促す(コーチング)なのだ。
この書籍によると、部下の教育の三本柱は
「ほめない」「叱らない」「教えない」。

短期的な結果を出すために、
部下をやみくもにほめてその気にさせたり、
思い通りのやり方をしないからといって叱りつけたり、
上司が先に答えを出してしまったり…。
これでは人は育たない!

部下に主導権を握らせて自発的な思考や行動を引き出すことで、
自信を持って仕事に取り組んでもらうことができるのだ。
そして自らの行動で得た経験や知識は、
成長するための糧となる。

この40~50年、多くの企業は目先の利益を追ってきた。
そのため全国チェーン展開がよしとされ、
安易なマニュアル重視のビジネスが浸透してしまった。

しかし長い目で見ると、
人が育たなければその会社が困るだけではなく、
いずれは本人の社会生活にも偏りが生じる。

社会のためにも今後のビジネスのためにも、
人を育む価値観こそが重要なのだ。
つまり、「人を育てない限り先はない」。

…あれ、これって私がいつも言っていること!?

book1

ほめるな叱るな教えるな!

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