01/05
2015
『里山ビジネス』 玉村豊男著
北海道の芽室の大自然の中で育った私には、
昔から里山が馴染み深いものだった。
今でこそ新宿区に会社を構えているが、
私の原点はあの里山にある風景だ。
そして2014年の海外研修ツアーで訪れた、
エジンバラのクレイジンズファームでは、
理想的な“6次産業”を目の当たりにした。
大手流通に頼らず、その地域や人のための
農業を確立している。
そうだ! 地域とともに生きることこそ、
これからの日本が目指すべきものだ!
…と思った私は、さっそくこれを
中島流『里山ビジネス』と命名。
ふと思いついて検索をかけてみたら、
エエーーッ? 全く同じタイトルの本がある!!
それが、今回ご紹介する「里山ビジネス」なのだ。
著者の玉村豊男氏は、
カラダを壊したことを機に長野の里山に引っ越した。
畑をやりながら、静かに暮らしたい。
そう思ったのがきっかけなので、
始めは隠遁的な生活が目的だったという。
しかし、今ではワイナリーとレストランを経営し、
年間4万人もの人たちが訪れるところになっている。
玉村氏は一体どのようにして、
多くの人から選ばれるビジネスを実現できたのだろうか?
実は、玉村氏は儲けようとしてワイナリーを始めたわけではないのだ。
里山の環境を生かしたうえで、
夫婦二人が食べていける手段として考えたものだという。
奥さんと二人で生活できれば良いのだから、
当然儲けは度外視してのスタート。
しかし、地域に根付いた「里山ビジネス」によって
じわじわとお客様を増やしていったのだ。
日本本来の、自然の恵みを活かした農業。
そして、その収穫物を地元で味わえるレストラン。
玉村氏の作るワインや、レストランの料理が美味しいことはもちろんだが、
こうしたスタイル自体が支持されたとも言えるだろう。
一方で、都会で売られている野菜の多くは
農薬をばらまき、大量に生産して大手流通に乗せたものだ。
現代日本の病理の一端は、
こうした農業の構造が担っているのでは?
それに対する有効な処方箋が、この「里山ビジネス」!
地域社会に根付いた農業と、それを活かしたビジネスだ。
私の考えていたことを改めて裏付けてくれたこの本は、
これからの日本社会にとっても意味のある新たな風となるだろう。
いや~とにかく“里山”はこれからの社会の
重要なキーワードになることは間違いない!