これからの選ばれるビジネス!

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目からウロコのおすすめ本

03/09
2015

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『ブルース、日本でワインをつくる』ブルース・ガットラヴ 木村博江著

わ、わ、わ!
長年の疑問が解決!!
まさに感動の一冊!

おっと失礼、思わず取り乱してしまった。
それというのも、
有限会社ココ・ファーム・ワイナリーの元醸造責任者、
ブルース・ガットラヴ氏の著書
『ブルース、日本でワインをつくる』を読んで、
長年の疑問の数々が解決したから。

ブルース氏は、現在北海道の岩見沢で
ぶどう畑を開拓し、ワイナリーを経営している。

北海道の出身地でワイナリー構想を
描いている私にとっては、
知りたかったことをあれこれ教えてくれる、
素晴らしい本なのだ。

また、この本の中ではブルース氏が
いかにして日本のココ・ファーム・ワイナリーで
ワイン造りを実践するようになったのか。
どのように障がいをもつ人たちといい関係を築き、
ワイン造りを続けてきたのかについて、
触れられている。

少しでもココ・ファームのことを知っている人なら、
川田昇園長との関係を含め、
いろいろと疑問に感じていたことに対して
答えを出してくれる内容なのだ。

それだけではなく、
なんといっても私が嬉しかったのは、
北海道の風土の中で、
ヨーロッパのワインぶどうの品種が
どうやって育つのかを具体的に知れたこと!

たとえば、ブルース氏の14ヘクタールの畑のうち、
ぶどう畑は2.3ヘクタール。
そのうちの1.8ヘクタールに
ピノ・ノワール8,000本を植え、
残りの0.5ヘクタールに
ソーヴィニョンブランを植えているのだとか。

他にも800本のぶどうの木と、
その他の作物が、元々の自然と共存する
有機農法で大切に育てられている。

つまり、ブルース氏のワインづくりは
工場のように大量生産し、農薬をばらまく農業とは
根本的にちがうものなのだ。

人間の手を加えても、里山のなかにある限り
畑は自然の中に取り込まれていく可能性がある。
それならば、自然の力を活かした農業こそ
最もスマートで、持続可能なやり方だということ。
(うんうん、育て方次第でヨーロッパのぶどう品種は
北海道の地でも十分育つということ。すばらしい!)

そのほかにも、
なるほど~!と感心することばかり。

ココ・ファーム・ワイナリーを一躍有名にした、
2000年の九州沖縄サミット乾杯で用いられた
スパークリングワイン『NOVO』や、
2008年北海道洞爺湖サミットの
総理夫人主催の夕食会で飲まれた赤ワイン
『風のルージュ』誕生の秘密も明かされている。

また、ココ・ファーム・ワイナリー創始者である
川田昇氏に共鳴したきっかけ(これが知りたかった!)
も語られていて、改めて川田氏の偉大さに感じ入った。

1961年にニューヨークで生まれ、
カルフォルニア大学で醸造学を学んだ青年が、
どのようにして日本で有機ワイン作りに
人生を捧げることになったのか。

運命の不思議に感謝するとともに、
醸造家としての勇気とチャレンジ精神に、
こちらも奮い立つ一冊。

まさに、いま注目の「マッサン」を
彷彿とさせるお話がたくさんあった。

ワイナリー経営には興味がない方も、
ぜひぜひ読んでいただきたい一冊だ。

book (1)

素敵なジャケットの本です!

book (2)

ココ・ファーム・ワイナリー創始者の川田昇氏

book (3)

気になるワイン造りのあれこれを知れる

book (4)

北海道でもぶどうを育てられる!

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02/16
2015

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『猟師、花火師、ときどき祭り』大島公司・著

「あんた誰?」からの出発だった――。
そう表紙に綴られているこの本の著者・大島公司氏は、
もともとは大手広告企業で働く
サラリーマンだったそうだが、
その後180度違う世界に飛び込んでいく。

契機となったのは、東日本大震災。
会社を退職したばかりだったこともあり、
すぐに宮城県石巻市へ向かい、
復興支援に勤しんでいたそうだ。
そこで、何もできない自分を改めて知ることに。

そんな中、町の人々の神輿への期待感を耳にし、
大島氏は世話人として祭りを再開させる。
そんな活動へのチャレンジから話の幕があがっていく。

夏祭りのフィナーレには、
打ち上げ花火のイベントがある。
祭りの準備から本番まで走り続けた大島氏は、
夜空に打ち上がった花火に心を揺さぶられたという。

ならば、来年は人の心を動かすことのできる
自作の花火を打ち上げたいと決心することになる。
そこで大島氏は、花火師になるための活動に着手。

制作しているうち、
素材へのこだわりも出てきたというのだから、
本腰をすえて取り組んでいた姿が想像される。

とにかく目の前にある興味と課題に
次から次へとチャレンジする大島氏。

さらには、狩猟免許を取得することに。
なんと猟師にもなってしまったのだ(スゴ~イ!)。
滞在していた石巻市の周りには
豊かな里山が広がっているため、
シカなどが獲れるそうだ。

先日、大島氏にお会いした際、
実際に獲ったシカの肉を持参されていた。
獲るだけではなく、さばいて、
おいしく食べることが大切だという。

広告マンだった大島氏は、
石巻市での生活を通して、
祭りのプロデュースから、
花火師と猟師のスキルまで身につけることに。

それが功を奏し、
フランスの町と石巻市を結びつける活動に繋がっていく。
ついにはフランスで日本のお神輿を担ぎ、
日本の祭りを披露!
世界に日本文化を発信しているという訳だ。

この本を読み、実際に大島氏と
お話させてもらって私が感じたこと。
それは、まさに日本本来の価値観に軸を置きながら
“生きる”ことを体験しているということ。

いい大学を出て、名のある企業に就職しながらも、
その肩書きを捨ててまで選んだ石巻市での生活。

都会では身に付けられない実体験の数々は、
これからの時代を地に足つけて生きていける、
かけがえのないエナジーを得たのではないだろうか。

30歳となる大島氏だが、
躊躇なくその現場に飛び込み、
体当たりで取り組む姿勢が
多くの人々の共感を得ているのだろう。

そんな大島氏は、
5月にInterFM『BUSINESS LAB.』に登場予定。
乞うご期待!

book (1)

実際に大島氏とお会いすることができた

book (2)

帯に書いてある言葉のインパクトもすごい!

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02/02
2015

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『スマート・テロワール 農村消滅論からの大転換』 松尾雅彦著

ここ何年か、「農村消滅論」というものが
一部で唱えられているが、これにはっきりと
NO!を唱えるのがこの本。

ポテトチップスなどのお菓子で有名な会社、
カルビーの元社長である松尾雅彦氏が書いた
『スマート・テロワール 農村消滅論からの大転換』だ。

“スマート・テロワール”とは、
「美しく強靭な農村自給圏」のこと。
里山を中心とした農村で、小さな自給圏を作り、
地域ごとに自立した経済を作っていくというものだ。

じつは松尾氏は、私が理事を務めるNBC
(東京ニュービジネス協議会)の先輩にあたる。
先日、NBCで私が担当する昼餉フォーラムに
ゲストとして来ていただいたとき、
この本の内容を中心にお話していただいたのだ。
さらに、参加者全員に本のプレゼントまでしていただいた!

この本によれば、
現代の日本における何よりの成長産業は「農業」。
今、日本で手入れされていないままになっている
耕作放棄地や水田約100万ヘクタールを畑に転換すれば、
農業は15兆円産業を創造できるというのだ。

これは根拠のない話ではなく、
美味しいポテトチップスを安定供給するため、
全国の農家とじゃがいも生産の契約を結んできた
カルビーの元社長だからこそ言えること。
日本の農業に昔から深い関わりを
持ってきた方だからこそ、説得力も増すというものだ。

また、松尾氏は、
NPO法人「日本で最も美しい村」連合のリーダーでもある。
世界に誇れる日本の美しい里山の風景・文化を守りつつ、
その農村が地産地消の経済を発展させ、
自立できるようなビジネスモデルを目指すのが、
この連合の目的だ。

今こそ、産業としての農業を見直すとき!
熱く語る松尾氏のお話に、
昼餉フォーラムの参加者は興味津津。
定員30名の集まりが満席になるほどの盛況ぶりだった。

思えば、昨年私が見学した
エジンバラのクレイジンズファームで
見てきた6次産業化も、「スマート・テロワール」
実現のひとつのカタチと言えるのではないか。

何かと“里山”づくこの頃、
偶然であるように見えて、すべては必然なのかも?
いやいや、それだけ世の中で
“里山“の需要が増してきているということ!
あらためてそう感じた出会いだった。

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農業を15兆円産業にするとは!?

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熱く語る松尾氏!

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参加者も興味津津

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昼餉フォーラム記念の一枚!

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日本経済活性化のヒント!

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01/19
2015

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『発酵道』寺田啓佐(けいすけ)・著

私がこの本と出会ったのは、
2011年頃だっただろうか。

沖縄で開催された講演会
(もちろん私がゲストスピーカー)の際、
関係者の方から“今年1番の本”として
プレゼントしてもらったのだ。
この方はきっと私の話を聞いて、
価値観が似ていると感じておすすめしてくれたのだろう。
その頃の私の話のテーマは“仕事道”だった
(思わず夢中で読んでしまった)。

先日、池袋にあるバー
「たまにはTSUKIでも眺めましょ(通称・たまTSUKI)」が
主催するバスツアーで、酒蔵・寺田本家を訪れる機会があった。

寺田本家では徹底した自然酒づくりをされていて、
まさに『発酵道』を読んだイメージそのまま!

23代目当主であった著者・寺田啓佐氏は、
ある病気を患ってしまう。
そこで、これまでお金を追い求めて競争を続け、
自分の快楽だけをむさぼって生きてきたことに気付く。
これを正さない限り、
自分が病気に負けてしまうかもしれない。

寺田氏はこの病気を機に、自分の生き方、
そして酒蔵自体の在り方も見つめなおすことになる。

私がこの本を読んで、
一番印象に残っている言葉は“腐敗”と“発酵”だ。

本来酒づくりはあえて菌を投入し、
自分たちの都合を優先させた流れによって同じ味の酒をつくる。
都合を合わせ、利益を追い求めて酒づくりをすることは、
“腐敗”の道を歩んでいるのではないかと思った寺田氏は、
酒づくりを変えていったのだ。

そこで本来の“発酵”に注目し、
無農薬米を使用した酒づくりを始める。
人間の都合によって菌を投入するのではなく、
タイミングをすべて自然にまかせる。

その“自然にこだわった”行程によって
つくられたものは、「自然酒」として販売されている。

今の時代、効率ばかりを求めて
人間の都合に合わせてしまいがちだ。
そんな効率の追求ばかりしていては
「自分だけ、今だけ、お金だけ」
といった価値観になってしまう。

経済効率ばかり追い求めなくとも、
本来の在り方でいれば、
人間に合う自然な歩みになるはず。
それこそが“発酵”ではないだろうか。

理念を通して、自分たちの生活に落とし込む
徹底ぶりを寺田本家では体感することができた。

その結果、いい酒づくりを通して
多くの人々に喜ばれることが、
世の中の“発酵”へとつながっているのだろう。

余談だが、『発酵道』の“道”っていいよねぇ。
日本人らしくって(もちろん、“仕事道”に通じるところがたくさんある!)。


book1

ついに寺田本家を訪問!

book2

酒蔵の中も見学させていただいた

book3

徹底した自然酒づくりを拝見!

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01/05
2015

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『里山ビジネス』 玉村豊男著

北海道の芽室の大自然の中で育った私には、
昔から里山が馴染み深いものだった。
今でこそ新宿区に会社を構えているが、
私の原点はあの里山にある風景だ。

そして2014年の海外研修ツアーで訪れた、
エジンバラのクレイジンズファームでは、
理想的な“6次産業”を目の当たりにした。

大手流通に頼らず、その地域や人のための
農業を確立している。
そうだ! 地域とともに生きることこそ、
これからの日本が目指すべきものだ!

…と思った私は、さっそくこれを
中島流『里山ビジネス』と命名。
ふと思いついて検索をかけてみたら、
エエーーッ? 全く同じタイトルの本がある!!

それが、今回ご紹介する「里山ビジネス」なのだ。

著者の玉村豊男氏は、
カラダを壊したことを機に長野の里山に引っ越した。
畑をやりながら、静かに暮らしたい。
そう思ったのがきっかけなので、
始めは隠遁的な生活が目的だったという。

しかし、今ではワイナリーとレストランを経営し、
年間4万人もの人たちが訪れるところになっている。
玉村氏は一体どのようにして、
多くの人から選ばれるビジネスを実現できたのだろうか?

実は、玉村氏は儲けようとしてワイナリーを始めたわけではないのだ。

里山の環境を生かしたうえで、
夫婦二人が食べていける手段として考えたものだという。
奥さんと二人で生活できれば良いのだから、
当然儲けは度外視してのスタート。

しかし、地域に根付いた「里山ビジネス」によって
じわじわとお客様を増やしていったのだ。

日本本来の、自然の恵みを活かした農業。
そして、その収穫物を地元で味わえるレストラン。
玉村氏の作るワインや、レストランの料理が美味しいことはもちろんだが、
こうしたスタイル自体が支持されたとも言えるだろう。

一方で、都会で売られている野菜の多くは
農薬をばらまき、大量に生産して大手流通に乗せたものだ。

現代日本の病理の一端は、
こうした農業の構造が担っているのでは?

それに対する有効な処方箋が、この「里山ビジネス」!
地域社会に根付いた農業と、それを活かしたビジネスだ。

私の考えていたことを改めて裏付けてくれたこの本は、
これからの日本社会にとっても意味のある新たな風となるだろう。

いや~とにかく“里山”はこれからの社会の
重要なキーワードになることは間違いない!

book

ズバリこれだ!

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