03/24
2014
成長から成熟へ ―さよなら経済大国 天野祐吉著
BS放送で長々と放送されている
あのテレビショッピングに物申す。
あれはどう見たって広告!
本来テレビのCM時間は
一週間の総放送時間の18%まで
と決まっているらしいが、
どうやらテレビショッピングは
“生活情報番組”として
位置づけられているらしく、
これはCMではないと主張しているという…。
こんな話を堂々と展開するのは、
『広告批評』の主宰者であり、
希代のコラムニスト・天野祐吉(あまの・ゆうきち)氏。
そして、そんな天野氏の著書こそ、
今週の目からウロコのおすすめ本だ。
希代のコラムニストの最後のメッセージ!
「広告という窓から世の中をのぞいてきた
ぼくの私的な日記みたいなものです」
と、こんな文章が帯には書かれている。
しかし残念ながら、
天野氏がこの本を手にとることはなかった。
というのも、この書籍が発行される
1ヶ月前に亡くなられたのだ。
ある意味、この本は私たちへの遺言のようなもの。
60年にわたって広告業界の最前線に立ってきた著者が、
広告が私たちにもたらした功と罪を、
冒頭のようなユニークな視点で語ってくれている。
またこんな話も…。
最近よく見かけるマスクをした人々。
昔は、マスクをかけている人はめったにいなかったが、
ここ最近マスク人間がどんどん増えているというのだ。
天野氏曰く、鞍馬天狗も覆面で
顔を隠しているから怖がられる存在であり、
マスクも同じ。花粉症やPM2.5もあると思うが…
確かに“異常”かもしれない。
そして最後に、天野氏が生きてきた中で最も大きな転換点として、
8・15の敗戦と3・11の大災害について書かれている。
天野流では、
「8・15で成長社会が始まり、
3・11で成長社会から
成熟社会への転換が始まる」というのだ。
あれ?
この価値観は私がこのビジ達でもよく発信する
中島流「パラダイムシフト75」の流れにピッタリである。
まさに、天野氏もいま時代は転換期を迎え、
次の時代へと移ろうとしていると感じていたということ。
そして、そのためには、
やはり地球規模な価値観で物事を見ていかないといけないということだ。
天野氏は本の中で日本を
「べっぴんの国」であるべきと表現している。
「べっぴん」と聞けば、
美人のことを言うように思いがちだが、
本来は「別品」、
つまり何か他とは違う
特別なものを意味するそうだ。
経済力にせよ軍事力にせよ、
日本は1位や2位を争う国でなくていい。
「別品の国」を目指したほうがいいと語っているのだ。
広告の視点から見た「欲望の60年」。
天野氏の最後のメッセージを、
皆さんも読んでみてはいかがだろうか。