これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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目からウロコのおすすめ本

12/02
2013

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『頭の回転数を上げる45の方法』久保 憂希也, 芝本 秀徳 著

ビジネスにおいて、成果を出している人もいれば、
知識やスキルがあるのになぜか成果を出せない人もいる。
一体なぜその差が生まれるのだろうか?

本作では、その能力の差をコンピューターに例えていた。
いくら便利なアプリケーションソフトウエア(知識やスキル)があっても、
処理する能力を持つOS(地頭)が機能しなければ運用できない。
つまり、頭の回転が速く仕事のできる人は、
OSが機能している(地頭がいい)ということ。
これには私も、なるほどと納得させられた。

さらに、地頭のいい人は結果ではなくプロセスを大切にする。
プロセスをおろそかにして儲けだけを求めても、
ビジネスはなかなかうまくいかないし人間性も磨かれない。

…アレ??? なんだかどこかで聞いたことのある言葉!
実は、書店で本作の「はじめに」に目を通した時に気づいたのだが、
この本には私が今まで“ビジ達”で語ってきたのと
似た内容がたくさん登場するのだ。

柔道と柔術を比較した話にも、思わず頷いてしまった。
鍛錬や心の成長に力点を置き、
プロセスやマインドに焦点を当てているのが柔“道”。
一方、柔“術”は技術の獲得や勝利など結果を重視する。
人間的成長よりも、いかに効率的に勝つかを求めるのだ。

経済優先型の今の世の中は、発想が“術”に偏りがちだ。
きっとこの先ますます“術”に偏っていくだろう。
結果だけを求めると、小手先のスキルアップや知識、
数字を上げるためのテクニックに意識が向いてしまう。

しかし、“道”を歩んでいけば、必ず自分を成長させることができるし、
本来いるべき場所に辿り着くことができる。
そして“道”を大切にして真摯に取り組んでいれば、
必ず人から選ばれ、協力を得られるようになる。

あ~この本で言うところの地頭(から)自体を
鍛えるということにもつながるのだ。

これからの時代、“道”と“術”をどう活用していくかが大切だ。
本書はそうした社会を目指さなければいけないと再確認させてくれる1冊だ!

ところで私がこの本で大きく気に入ったのは、
“はじめに”のところなんだなぁ~。

book

地頭を鍛える!

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11/18
2013

book1

『とこトン村の花子』 ささざきよしてる 著

とこトン村に生まれ、大きな鼻をした花子は、
鼻の大きなことを理由に友達から
たびたびいじめられていました。
しかし転機は突然現れます。

花子はお父さんにおべんとうをもっていきました。
草むらにねころがった花子は、
おもいっきり山の空気をすいこみました。
「おや?」花子は、たおれた木の穴の方から、
いい香りがしてくるのに気づきました。
「?!?!……」花子の鼻がピクピクうごきます。

花子は、そばにあった、スコップをかりて、
穴をほりはじめました。やはり穴のなかから、
ほんのりいい香りがしてきます。
その日から、花子はひとりで
穴をほりすすめることにしました。

この物語は、ささざきよしてる氏作の
絵本『とこトン村の花子』の一節だ。

そこに登場するのは、すべて豚のキャラクターたち。
鼻が大きいことでいじめられていた花子が、
そのコンプレックスだった鼻がきっかけで温泉を掘り当て、
みんな仲良く過ごせるようになった…というストーリー。

実は「ささざきよしてる」とはペンネームで、
実名は笹崎静雄氏という。
笹崎氏はなんと、埼玉県日高市で
つくられる絶品ハムが有名な
サイボクハム(埼玉種畜牧場)の
社長でもあるのだ。
そのサイボクハムにはテーマパークを
彷彿させる集客力があり、
年間350~400万人が訪れるという。

そんな人気の牧場を経営する笹崎氏が、
どうして絵本をつくろうと思ったのだろうか。
もちろん、絵本がその昔から
好きだということはあったようだが…。
そこには3つの理由があるという。

1つ目は豚や地域への感謝の気持ち。
サイボクハムの人気の理由は、
ただ美味しいと言うだけではない。
商品である豚に対してや地域の人たち、
働く人への感謝の気持ちがあって
サイボクハムは成り立っているからだ。

次に絵本にはその国の文化が反映するから。
日本特有の地域や仲間を思いやる気持ちを
表現するのにぴったりなのだ。

3つ目は生物多様性。
人はそれぞれ個性を持っている。
それはごくごく当たり前のことで、
それを活かしていけば
それぞれのところで貢献できる
ということを伝えたかったという。

うんうん、絵本も奥が深いね~。
絵本とは、子どもにとっては
いろいろなことを知る大切な入口なのだ。

実は私はこれまでにサイボクハムを何度も訪問している。
5回、いや6回だろうか。訪れるたびに新しい
プラスアルファがあることに驚いているのだ。

肉やハム、野菜が所狭しと陳列されており、
食のテーマパークのようでもあるし、道の駅風でもある。

先代の社長は何度かお話を伺ったことがあるのだが、
まさか現社長が絵本を出しているとは…。
この絵本を読んでいると、
笹崎社長の豚への感謝の気持ちと
思い入れが伝わってくる。

ところでこの絵本、サイボクハムの
お店で売っているのだろうか…。
今度確かめてみよ~っと。

book1

絵本の作者である笹崎社長

book2

いじめられっこの花子が大手柄!

book3

一生懸命な花子にみんなの気持ちが動き出す…!

book4

個性豊かなメンバーが仲よく働く

book5

豚への感謝の気持ちがつまった一冊

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10/28
2013

book

“ヨコハマ物語” 試写会

舞台に上がって黒幕の前で並び、
一人ずつマイクを持ちコメントをする。
そこに浴びせられるマスコミからのフラッシュ…。
そんな舞台挨拶がある試写会を体験してきた。

ということで、映画「ヨコハマ物語」の試写会に行ってきた。
映画の内容は、北乃きい演じる25歳の女性が、
奥田瑛二扮する65歳の男性の家に転がり込み、
奇妙なシェアハウス生活をするという人間ドラマだ。

この映画のテーマは、ズバり「人間再生」。
2人の主人公以外にも女性3人、
子ども1人の計6人が一つ屋根の下で共同生活をおくる。
登場人物たちはそれぞれ悩みを抱え、
行き詰まりを感じているのだが、
生活していく内に、徐々に人生を再生する
きっかけを掴んでいくのだ。

この映画を観て、改めて感じたこと。
それは、人は集うことで相乗効果が生まれるということだ。
人は、人と出会うことで自分自身が
変わることができるし、成長できる。

人との関わりがあるからこそ、
何事も面白いと感じられるし、
新しいこととの出会いもある。
まさに人は、人との相乗効果で
生かされていると言っても過言ではない。

これはビジネスにおいても同じことだろう。
日々の仕事には、人との関わりが不可欠だ。
人が出会うからこそ、お互いが刺激しあって成長し、
大きな成果をあげることが可能になるのだ。

これまでも“シナジー”の大切さについては、
このビジ達でも何度も語ってきたが、
やはり“シナジー”をより効果的に
ビジネスに活かそうとすれば、
その成功確率は間違いなく上がるということ。

この映画の監督である喜多一郎氏は、
その他の作品にも今回のような「人間再生」というテーマを持って、
撮り続けてきたようだ(少しお話をさせて頂いたが…)。
この人と人との相乗効果の大切さは、
日常生活でもビジネスでも同じなのだと再確認できた。

ちなみに、映画の内容はというと…。
実は当初、舞台挨拶を聞きながらも
あまり期待していなかったのだが(ごめんなさい!)、
いざ観てみるととても面白かった。

「ヨコハマ物語」は11月16日(土)から
横浜ブルクにてロードショー!
興味がある方はぜひ観てほしい。

book (1)

奇妙なシェアハウスの先には…?

book (2)

テーマは人間再生!

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10/21
2013

book (1)

『晏子』宮城谷昌光・著

ついに400ページ・4巻を読破したぞ~。
ということで、以前告知した通り、『晏子』の話、第2弾。

おさらいになるが、『晏子』とは、
宮城谷昌光著の中国史小説 春秋時代(紀元前500年~600年)の
斉(せい)を支えた、父・晏弱(あんじゃく)と
その息子・晏嬰(あんえい)を描いたものである。

その中でも非常に印象的な「晏嬰と梁丘拠(りょうきゅうきょ)の
“和”と“同”の違い」をご紹介しよう。

君主である景公と臣下である晏嬰とのやり取りでのこと。
「梁丘拠だけが、わしと和するなぁ」。と満足げに話した君主に対して、
晏嬰はこう言い放った。
「梁丘拠は“同”ずるのであって、“和”するとは申せません」。

その理由に“和”は、君主がよいといったことでも
不備があれば臣下は進言し、君主の聴許を完全なものにする。
そして、君主がならぬといったことでも、
よい点があれば、臣下は進言し、君主の不可を可にかえる。
そうすることで政治が整うのだ、と。
それに対して、梁丘拠は君主に言われるがままに
しているだけの“同”でしかないのだと。

このように酷評された梁丘拠は、当然、晏嬰に対抗し、
へこませてやろうと思っていた。
しかし、梁丘拠が晏嬰の鼻を明かすことは永遠にできなかった。

善であり、道理を優先とすることから、
時には人の痛いところをつくような発言をする晏嬰は、
はじめは周りから煙たがられたこともあるだろう。
しかし、最終的には客観的で正しい判断をする晏嬰が、
多くの臣下や庶民からも認められたのは間違いない。

そして物語の終盤の梁丘拠と晏嬰とのやり取りも印象深い。

「死ぬまであなたには勝てそうにない…」。
そういった梁丘拠に対し晏子はこういった。

「やり続ける者は成功し、
歩き続ける者は目的地に到着するといいます。
私は人と変わったところはないが、
やり始めたことは投げ出さず、
歩き続けて休まなかった者です。
あなたが私に勝てないというのであれば、
それだけのことです」。と。

やり始めたことは投げ出さず、
歩き続けて…お~、まさに鍵山相談役(イエローハット創業者)が
よく口にする言葉であり、掃除でも実践してきたこと。
そして、例の言葉「益はなくとも、意味はある」。
この『晏子』で宮城谷氏が伝えたかった意味のある価値観。
鍵山相談役はこのキーワードは、時代を超えて意味のあるものだという。

この『晏子』の中では、斉の国だけでも4人の君主が登場し、
そこに仕える臣下は数え切れないほど出現してくる。
そして、お互いに対抗意識を燃やし、
危機感から常につぶし合いをすることになるのだ。

もしかしたら、この時代にあっても、
私たちは似たようなつぶし合いをしているのかもしれない。

ここは『晏子』に倣って、善に対しての徹底力を!
すなわち、「仁・義・礼・智・信」を日々の社会生活において、
実践すべきことなのかもしれない。

これはまだまだ学びがありそうだから、もう1度読まなくては!
400ページ×4巻…なかなか読むのは大変だけどね~。

book (1)

ついに4巻読破~!

book (2)

目上の人に対しても正義を貫く

book (3)

晏子には時代を超えて学びがある!

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10/15
2013

book (1)

「いちえふ」竜田一人

『物書きの本質を体現しているこの作品の迫力の前では、
ただ頭の中で考えて何か高尚なことを描こうとしている
作品がちっぽけに見えてしまう』

これはある審査員の談。

今回は、おすすめ本といいながらもご紹介するのは「マンガ」。
それも週刊コミック誌『モーニング』に掲載された
1回限りの読み切りマンガだ。

その名は、「いちえふ」。

福島第一原発「1F」での真実を描いたこの作品は、
第34回MANGA OPENでは満場一致で大賞を獲得。
先の談は、その審査員のコメントである。

作者の竜田一人(たつた・かずと)氏は、
元々漫画家として活動していたようだが(?)、
高給と好奇心、それにほんの少しの義侠心から、
福島第一原発の仕事を求め、作業員となったそうだ。

実際に作者が現場に赴いて取材して描いたということもあり、
ストーリー性はほとんどないにせよ、読み応えのある作品だった。
何より、そこには“リアリティ”があったのだ。

例えば、その現場で作業するときの服装。
綿手袋、ゴム手袋、靴下、靴、靴カバー、
某SF映画に出てくるような全面マスクなどをして、
その建屋に足を踏み入れることが描かれている。

また、放射線計測器APDを付けて、
危険な現場に入る直前、
「ご安全に!」と声をかけ合うのだとか。

まさにそこで働いていないとわからない
“真実”が描かれているのだ。

そして、そこで働く人たちの気持ち、真剣さ、
大変さまでもがこのマンガからは伝わってくる。
それこそ、現場を普通にカメラにおさめた映像よりも、
“リアリティ”が伝わってくるのだ。

言うならばこの作品には、“物語性”はあまりない。
しかし、マンガだからこそ伝えられる“リアリティ”がそこにある
(まぁ~場所が場所だけに、ほとんどの人が足を踏み入れることも
観ることもできない可能性のあるところだからだろうか)。

マンガというものが子供だけのものから大人のものへ、
そして一つの特徴を持った
“メディア”としての役割を担っているとも言える。

少し前に紹介した「島耕作」の弘兼憲史氏、
「ブラックジャック」の手塚治虫氏もそうだが、
今回の竜田一人氏も少し違った角度から、
マンガだからこそ伝えられること、
伝えなくてはいけないことを描いてくれている。

福島第一原発で作業員として働いていた作者が
描く渾身のルポルタージュ。
ぜひ機会があれば読んでいただきたい。

book (1)

第34回MANGA OPEN大賞

book (2)

物語性よりもリアリティ

book (3)

マンガは重要なひとつのメディア

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