04/08
2013
『伝え方が9割』コピーライター 佐々木圭一 著
皆さんは、どのように気になる異性をデートに誘うだろうか。
昔は「私とデートしてください」と、直球で勝負するのが定番だったが…。
そんな誘い方で当たって砕けてしまった経験を
持つ人は多いはず(私も何度も…)。
しかし、例えばイタ飯が好物な相手に対して、
「驚くほど美味いパスタのお店があるんだけど行かない?」
といった誘い方をするとどうか。
相手にとってのメリットを提示してあげることで、
「そんなに美味しいパスタなら食べてみたい」となり、
結果的にデートを実現できるという。
“伝え方次第で驚くほど結果が変わる”。
今回ご紹介するのはそんな内容の本だ。
著者の佐々木氏は、博報堂出身のコピーライターでありながら、
元々は伝えることが大の苦手だったという興味深い経歴をもっている。
しかし、コピーライターとしての経験を積むうちに、
心を動かすコピーには技術と論理があり、
法則のもとに成り立っていることに気づいたという。
例えば、相手に気持ちを伝える際の「あなたが好き」という言葉。
「嫌いになりたいのに、あなたが好き」と伝えた方が、
より好きという気持ちが強調される。
対になる言葉と抱き合わせて使うことで、
より言葉に力を持たせることができるのだ。
これを佐々木流に言うと、“言葉に強いエネルギーが宿る”ということ。
また、オバマ大統領の就任後の演説で、
「これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ。」
という有名なセリフがあるが、
相対する言葉を使うことにより、共感を強く促すことができる。
こういった効果的な伝え方は、我々のビジネスシーンでも
広く活用することができるという。
例えば、上司が部下に残業をお願いする際、
ただ「残業をお願いできる?」というよりも、
「きみの企画書が刺さるんだよなぁ。お願いできない?」と、
相手を称え認めてあげることで、快く残業を引き受けてもらえる。
また、よくパン屋などで遭遇する
「4分ほどお待ちいただけますか」というセリフ。
これを、「出来たてをご用意いたしますので
4分ほどお待ちいただけますか。」と言い換えるだけで、
4分待たなければならないというデメリットが、
出来たてをもらえるというメリットになり、
お客さまはすんなりと受け入れることができるのだ。
このように、伝え方の法則を知り、そのルールに従えば、
自分と相手、双方間でものごとを気持ちよく
進められることを語ってくれている。
「伝え方が9割」というだけあって、
事例も多く楽しく読め、わかりやすい本書。
ビジネスに活用できるヒントもあちこちに。
同じ業界ということもあり、当然知っていた内容もあるが、
“確かに”と学ぶところも多い満足の一冊だった。