07/23
2018
『人生で大切なことは、すべて厨房で学んだ』 庖・上神田梅雄
毎月恒例、新宿の早朝清掃でいつも顔を合わせる方がいる。
それが、上神田梅雄氏だ。
そう、かの有名な新宿調理師専門学校の校長なわけだが…。
その上神田氏が、先日出版された本が
『人生で大切なことは、すべて厨房で学んだ』だ。
師匠・西宮利晃氏への弟子入りから
修業時代を経て一流の料理人へと成長するまでを描いた自伝である。
この本によると、料理人にも力士の番付のように
下洗い、中洗い、焼き方、向板(むこういた)、板前…
といった、10段階の地位があるそうだ。
和食の一流料理人たちはみなこの地位を
大変な努力で登っていくわけだが…
上神田氏は下積み時代、
人の3倍働こうと取り組んでいたという。
本の中に、こんな言葉がある。
“鍋磨きも包丁研ぎも、トイレ掃除だってあります。
「洗い方2年間」は料理とは直接関係のない
下っ端仕事の毎日なので、気持ちが腐るのではないかという
印象を受けるかもしれませんが、
ここが一流の料理人への道を歩むのか、その道から外れるのか、
まさに分岐であり「分水嶺」となるところです。”
一見遠回りに見える手入れや掃除だが、
そうした地道な仕事からはさまざまな気付きや、
それを見て、評価してくれる人との出会いがある。
効率ばかりを追っていては、成長が出来ないことを
上神田氏は見抜いていたのだ。
さらに上神田氏は、稽古事にも徹底して向き合った。
氷彫刻や生け花、切り花、茶道など、
料理には直接関係が無くとも、
和食の場を彩る技を身銭を切って習得したという。
こうした姿勢こそ、一流とそうでない料理人を分ける
分水嶺なのだろう。
弊社(クオーターバック)にも、
働く価値「7つの法則」という以下のような基本的理念がある。
1.成長の法則
2.社会性の法則
3.出会いの法則
4.生活活性の法則
5.存在価値の法則
6.可能性追求の法則
7.生きがいの法則
一流の料理人に憧れ、料理の世界へ飛び込み、
師匠である西宮氏との出会いや、
料理の仕事を通じて成長し、
自分の可能性を追求していった上神田氏は、
まさに“働くことの価値”を理解して
実践していたのではなかろうか!
やはり理念ある徹底した仕事こそ
人としての成長につながるということなのだろう!