
04/22
2013

虎屋の凡事徹底には、密度がある
徹底した衛生管理のもと、
最高のお菓子づくりを追求し続ける老舗「虎屋」。
それぞれの時代の風土や生活様式、そして味覚など、
あらゆる日本文化を形にした和菓子は、
遡ること室町時代から愛され続けている。
今回は、そんな虎屋の裏側に迫る!
先日、私たちは弊社で開催しているリーダーズセミナーにおいて、
静岡県は御殿場にある虎屋の製造工場を視察させていただいた。
あの羊羹の絶妙な甘さと硬さ、そして顧客の心をつかむ
“信頼”は一体どのようにして作られるのか。
やはりそこには老舗ならではの、
いや虎屋ならではの“徹底ぶり”があった。
まず、私たちを驚かせたのは、
虎屋従業員全員のクレームゼロを追求し続ける意識の高さだ。
お菓子に髪の毛が入らないように30分に1回ローラーをかけ、
体毛が入らないように35~36℃という熱い室温の中でも長袖を着る。
(以前まで60分に1回だったそうだが…それでもやり過ぎでは…)。
クレームを限りなくゼロに近づけるための意識と行動は、
老舗ならではのプライドすら感じられた。
またお菓子づくりにおいて、
一定の品質に仕上げるために数値だけに頼らず、
要所に必ず人の“舌”で判断しているそうだ。
実際に全員で試食して、
「本当にこれは虎屋がいつも出しているものと同じか」
を確認するのだとか。
とはいえ、原材料についてのしっかりした知識がなければ、
何かあったときの対処もできないだろう。
そこで、虎屋では原材料の豆や砂糖の知識を
労働者全員に徹底して学ばせているそうだ。
材料によっては、おそらく季節や温度によっても左右され、
作るプロセスも異なってくる。
ということは、その特長をきちんと理解していないと、
同じお菓子はできないということだ。
今ご紹介したことは、虎屋裏側のほんの一部にしかすぎない。
しかし、その徹底ぶりは“信頼”を得るに足る奥深さとレベルの高さを感じる。
虎屋の徹底ぶりは、
鍵山秀三郎相談役(日本を美しくする会)の
お言葉を借りるなら“凡事徹底”。
鍵山流は、
「当たり前のことを、人には真似できないほど一生懸命やること」だというが、
まさにこの言葉がしっくりくる。
いや~、500年以上選ばれ続けるには
やはりそれだけの理由があるのだ。
効率ではなく、お客様が実際に召し上がる場面を
常に思い描きながらお菓子を作る虎屋。
「おいおいそこまでする?」
思わず周りから聞こえてきそうだが、
そんな凡事徹底の密度こそ、
虎屋が選ばれ続けてきた理由のひとつなのだろう。