05/27
2013
小が大に勝つ秘訣!
先日のαクラブ定例セミナーで、
「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」を経営する
坂本孝(さかもとたかし)社長が語ってくれたのは、
後発の小さな飲食店が大手に勝つための秘訣だ。
坂本氏が今の大ヒットスタイルを確立できたのは、
大手に負けないための展開として、
先輩経営者からこんなアドバイスを受けたからだという。
「原価をしっかりかけろ」
「セントラルキッチンを持つな」
そこからヒントを得た坂本氏は、スタッフとの度重なる
ディスカッションの末、調理作業の効率化、手間や人件費、
原価の削減といった、大手飲食店が実践する手法は取り入れず、
“大手にはできないことを実践しよう”という発想に辿り着く。
まず着手したのは、“腕のいいシェフ”の獲得。
かの有名な高級寿司屋、銀座「久兵衛」に招待し、
一流シェフたちを口説いたのだとか。
そして次に、“原材料費をじゃぶじゃぶ使う”という、
思い切った発想を実践。提供する料理の原価率は60%以上で、
中には85%に達する料理もあるというから驚きだ。
一流のシェフが高級食材を使って提供する料理を、
格安でいただける夢のようなお店。
しかし、それではどうやって粗利を獲得するのか。
ここで坂本氏のアイディアが光る。
“立ち飲み”だ。
これにより、1日3~4回転を実現し、充分な売上げを確保したのだ
(立ち飲み屋には100回は通ったのだとか…
研究のためだけではなさそうに思うけど…)。
さらには「ソムリエ」や「ジャズの生演奏」を取り入れ、
料理とお酒をより美味しくするための演出にも気を利かせた。
このように坂本氏は、たとえビジネスモデルが世間に明かされたとしても
なかなか真似できない新しい飲食店ブランドを確立したのだ。
ここまでは坂本氏ご本人が語っていた秘訣だが、
私が彼の話を伺っていて気付いた、
小が大に勝つための重要なポイントがもう1つある。
それは“夢”を語ること。
それも大風呂敷を広げるほどの夢を語ることだ。
坂本氏が一流シェフたちを口説いた際も、熱い“夢”を語ったという。
大手飲食店は、収益を保つために常識的かつ保守的な
ロジカル思考を優先し、なかなか夢を語らない。
しかし坂本氏は、新しい形でお客さまに喜んでいただく飲食店スタイルと、
それに賭ける思いをシェフたちに熱弁したわけだ。
シェフたちはそこに、自分自身の新たな存在理由と
可能性を感じたのではないだろうか。
もしかすると、大風呂敷を広げ、夢を語った坂本氏の思いそのものが、
“小が大に勝つ秘訣”だったのかもしれない。