06/09
2014
スコットランド流6次産業
今回のイギリス視察ツアーのポイントは、
スコットランドのエジンバラ。
イギリスへ旅行に行っても、
エジンバラまで足をのばすことは
なかなか無いだろう。
それがどうしてわざわざ??
スコットランドと言えば、
もちろんスコッチウイスキー。
そのスコッチの本場でオーク樽の香りを…。
という発想はもちろんあったのだが、
目的はそれだけではない。農業だ。
これからの時代、
世界的に“農業”が重要視されるとみている。
そこで、エジンバラの農場
“クレイジンズファーム”を訪ねることになった。
ファーム自身が
そこで取れた農産物・畜産加工品を販売する他、
それらを使ったカフェも経営している。
いわば日本で注目されている
“6次産業”を体現した施設である。
そこで私は実に印象的な言葉を聞いた。
「人気のある商品を大手のチェーンストア、
テスコから卸して欲しいとも言われたんですが、
そんなに数多くはつくれません。
大手流通に卸すと、
いろいろな意味でこちらの方が
お金を出さなくてはならないことになりますから…」
うーむ、と唸ってしまった。
実はこのクレイジンズファーム、
160万ヘクタールの農地を持ち、年間30万人が訪れ、
日本円にすると3億円弱の売上がある。
つまり、経営的には十分成り立っているのだ。
地元の農家が
納屋で販売をするところから始まり、
現在では近隣の農家・畜産家とも協力。
野菜・果物といった農作物の他にも、
チーズやハム・アイスクリームなどの加工品も扱っているのだ。
今年72歳の女性(経営者の母)がつくる
マーマレードやラズベリーのジャムは、
このファームでは大人気商品だという。
広大な畑は、トラクターによるトレーラー
(この、トラクターというのがまたいいじゃないか!)
で見学することもできる。
私たちは、これで見学させていただいたのだ。
ここでは作物や家畜を育て
加工するのも地元農家、
買うのも地元のお客さんがほとんど。
こうしていい循環で作物とお金が回っている以上、
いくら大手スーパーからの誘いと言えど、
安易に「乗る」理由にはならないだろう。
自分たちで育てたものを、
自分たちで工夫して加工販売し、
レストラン経営までして地元の人たちに届ける。
何も大手流通に乗せなくても、
自分たちの存在理由が十分にあるのだ。
自立したこれからの農業の形がここにある。
それに比べて…と私は思ってしまった。
日本の農業は遅れている!と言わざるを得ない。
それはやっぱり、
JAをはじめ、政府の安易な対策のせいなのだろう。
余計な助成金のおかげで、
自分たちでビジネス化、
すなわち第6次産業化がなかなか実現できない。
「産直市場グリーンファーム」の事例のように、
地域の人は品ぞろえの多い地元産のいろいろ、
を欲しているのだ。
それに気づかず、誰かの言いなりになって、
農薬や化学肥料を使い漠然と作物を作り、
流通に流してしまっては…。
日本の農業も、もっともっと考え、そして実行しなくては!
改めて、そんなことを感じたツアーだった。