
12/03
2012

吉田カバンの“できるけど、しない”
何度かビジ達に登場している吉田カバン(吉は「土」の下に「口」)。
1935年、吉田吉蔵(よしだきちぞう)氏により創業された。
「一針入魂(いっしんにゅうこん)」という信念を掲げ、
確かな職人の技術で一つひとつの鞄を丹精込めてつくっている鞄メーカーだ。
(ちなみに、私のビジネスバッグも吉田カバン製!)
実は、吉田カバンもしっかり
「できるけど、しない」という勇気ある決断をしていた!
安価な中国製品が増え、多くの企業が中国に生産工場を移した頃でも、
吉田カバンは決して海外生産に手を出さなかった。
確かに、生産工場を海外に置けばコスト削減や大量生産は可能だが、
一度手を出してしまえば今度はベトナムやミャンマーで…と続いていくだろう。
結果的に、一針に魂を込めて鞄をつくっている職人の技術を失ってしまう。
だから、日本に伝わる職人の技術を守るために吉蔵氏は「職人さんを絶やすことは決してしない。
だから“メイドインジャパン”を貫くんだ。海外生産には手を出すな」
と言い続けたのだ。
もう1つ、吉田カバンのその昔の大ヒット商品として知られる「エレガントバッグ」。
ファスナーの開閉によってマチ部分を調整できる革新的な鞄だ。
当然海外からもライセンスの話がたくさん来たが、
吉蔵氏は「会社の顔が見えなくなる」と徹底して受けなかったという。
ライセンス契約をすれば、鞄はさらに売れ
会社の規模も大きくなったかもしれない。
しかし、吉田カバンならではのクリエイティブや存在意義を守るために、
吉蔵氏は利益を優先せずに「できるけど、しない」決断をしたのだ。
できることをすべてやっていけば、
一時のお金や規模は手に入るかもしれないが、長期的に見れば
それは必ずしも会社やステークホルダーにとっていい影響を及ぼすとは言えない。
吉田カバンの「できるけど、しない」のように、どれほど商品が売れていても、
目先の儲けや自分たちの都合を優先せずに本質を見極めることこそが、
今の日本に必要な価値観ではないだろうか!?
さすが、私が15年以上も愛用している吉田カバンの価値観だ!
これからも、こだわりのものづくりを続けてほしいなぁ~。