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2012
小阪裕司博士が語る“心の豊かさ”
先日開催したαクラブ定例セミナーのゲストに、
情報学博士であり、ワクワク系マーケティング実践会を主宰する、
小阪裕司氏をお迎えした。
今回のセミナーテーマは
『KAIZENビジネスカンファレンス』。
小阪氏には、人の価値観や買い方・選び方の
変化に合わせて、
企業もビジネスを変える必要性があることについて、
3つの事例を交えながら語っていただいた。
事例の1つがが、アメリカやメキシコで売られている
P&Gの衣類用柔軟剤「ダウニー」が
なぜか売れていること。
(P&Gジャパンから発売されている「レノア」があるのに!)
当然、輸入商品となるため、価格は割高。
しかし、その香りを好む人が多く、売り上げは実に好調なのだ。
2つ目は主婦層向けの雑誌『Mart』で取り上げられ、
瞬く間に人気に火がついた「ル・クルーゼ」というフランス製の鍋。
実物は重いので女性にとって使い勝手が
よいとは言えない。
が、オープン棚に飾ってあると
気分が高揚するとして、
主に台所を彩るインテリアの役割を
果たしているそうだ。
3つ目は木の床材の「ライブナチュラル」。
発売から10年も経っているのだが、
月に1万坪程度売れればよいところを、
なんと10万坪も売れているのだそうだ。
それほど売れている理由は「心の豊かさになる床材」という
テーマを基にした、豊かさを感じさせる商品作りと、
そのための付加価値のコミュニケーションだろう。
HPには「自然が創りだしたみずみずしい
木肌や鮮やかな木目、
熟練工の手を加えることで、
美しい意匠を愉しんでいただけます。」と
書かれている。
これらの事例から、いま、人は心の豊かさと充足感を
求めているのだということが分かるだろう。
今回セミナーで小阪氏が語っていたように、
これからはものをつくるだけではなく、
「自ら需要を創造し、お客さまをつくっていく」ことが必要なのだ。
つまり、商品の“ココが好き!”
と言ってくれるファンをつくっていくことが、
選ばれるビジネスにつながっていくということ。
しかし、忘れてはいけない。
そうしたものづくりは、会社の風土や文化、
人づくりまでしていかなくては、
決して実現できないだろう。