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2012
人づくりはいい職人づくりに通ず
いい人材を育てることが、会社を育てる。
だからこそ、人を大切にしよう…これは、ビジ達で
過去に何度も語ってきた考え方だ。
なんと、ある企業では、“育てる”ことが本来の目的と言い切っている。
それが神奈川県で家具工芸を手掛ける秋山木工だ。
この会社が取り入れている丁稚制度は、
丁稚として4年間、職人として4年間働いたあとは、
強制的に秋山木工から出ていって
もらうというルール。
8年間も修行したとなれば、
会社にとって大切な人材なのに、
なぜ外部に放出してしまうのか?
実はこの制度ができた背景には、
16歳で丁稚になった、秋山利輝社長の経歴が関係している。
秋山社長は丁稚として現場に入り、
技術を身につけたら
他の現場に丁稚として入る、ということを3~4社で繰り返してきた。
当然、技術も身につき、ある程度給料がもらえる頃に
また丁稚状態で次に移るわけだから、
それなりの覚悟が必要。
そのお陰で多くの職人の技に触れることができ、
様々な技術を身に付けることが出来たという。
そんな彼が得た結論、それは
「丁稚制度は、良い技術のためではなく、
まず人づくり」。
これは、出会ってきた職人たちが、彼に技術ではなく
“職人の心得”を学ばせてくれたからだろう。
だからこそ、27歳で秋山木工を創業し、
試行錯誤の末に
「良い仕事のために、まずは人間性」という考え方に行き着いたのだ。
すると次第に「この会社の使命は、
良い家具づくりではない。
いい人づくりであり、いい職人作り」という
意識になってくる。
自分たちの商売の目標は良い家具をつくることだが、
その出来は人間性に左右される。
つまり、家具づくりよりも、まずは人づくりということ。
なんという偶然か、それは私の“仕事道”による育み力に当てはまる!
仕事道とは、仕事を通して人間性磨き、
プロの技術とノウハウの向上を目指す。
そして組織の成長と社会貢献を実践していくこと。
これらの礎は“人”であるため、良い人材を育む力が大切になる。
人づくりに必要な資金を得るために稼ぐ必要はあるが、ビジネスの目的は決して儲けることではない。
いい人を育てることが、いい職人を育て、
良い家具をつくることにつながっていく。
秋山木工は、この“育み力”をビジネスに
したような会社なのだ。