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11/30
2015

biji (1)

中小流マーケティングの極意

私が書店に行く時は、
仕事柄ビジネス書を買うことが多い。
マーケティングを解説した本や、
ビジネスの成功例を紹介した本などだ。

ところが、書店にあるようなビジネス書の多くは
大手企業向けの内容であり、
日本企業の99%ほど(?)を占める
中小企業には合わない内容なのだ。

つまり中小企業のマーケティングは別にある。
したがって、書店に並んでいるビジネス書を
中小企業の経営者や関係者が読み、
鵜呑みにすることは避けたほうがいいということだ。

先日のビジ達でご紹介した、
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社が
いい事例を投げかけてくれている。

その代表である中石真一路氏は、
耳の不自由な方(難聴者)のための
設置型スピーカーシステム“コミューン”を開発した。

会社自体は4年目に突入したばかりだが、
販売も順調に進んで収支は黒字となり、
コミューンは多くの人から求められる商品になっている。

中石氏曰く、中小企業の商品は必要な機能をしっかりつけて、
その効果を最大限に発揮するデザインに
仕上げることが大切だというのだ。

確かに、コミューンはグッドデザイン賞も獲得した
独特の形をしている。
流線型の美しいデザインを作るには
手間もコストもかかるのだが、
本来の機能を発揮するにはこの形がいいとして、
妥協しなかったという。

そして当然コストがかかるということは、
プライスもそれを受けた価格帯となってくる。
コミューンは20万円程度ということだが、
一見高い価格帯に思われるようだ。

しかし開発への投資とビジネスとしての今後を考えると、
必然性ある設定といえる。
ところが“買う側”の論理で語られるマーケティングでは、
この価格帯では売れないと位置づけられてしまうのだ。

他にも中小企業流のマーケティングで
成功したところと言えば、
少し前にビジ達でご紹介した株式会社ブレストだ。

ここはプラスチックごみの油化装置を製造しているのだが、
代表の伊東昭典氏流の考え方で
まずはコンパクトな装置に着目した。

大勢の人々にブレストの油化装置を知ってもらい、
理解してもらうところから
始めた方がいいのでは…と考えたからだ。
そこで、小型装置の開発となったわけなのだ。

それが成功して、世界規模での販売や
問い合わせに至ったという。
この発想も、業界の大手企業や
專門家の人たちにはなかったものだ。

どちらの会社も社員規模が10人程度であるが、
上手くいったそのポイントを5つ挙げてみよう。

1.大きな市場より狭い市場
2.一般的、平均的を考えない
3.消費者におもねらない、正統な価格設定
4.限られた流通でいい
5.本物にこだわる

こうして見てみると、
中小企業が成功するためのマーケティングは、
大企業をターゲットにしたものとはかなり違うことがわかる。

好きな人や理解してくれる人が買ってくれればいい、
くらいの考えでいることや、
徹底的に質や技術にこだわり抜くことが大切なのだ。

こうした発想こそが、「カンブリア宮殿」や
「ガイアの夜明け」などの
テレビ番組でも注目される中小企業に見られる共通点である。

さて、この中小企業のマーケティング論はいかがだろうか。
これからの時代は、
このマーケティング論が主流になるかも!?

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グッドデザイン賞を受賞したコミューン

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コミューンを作り上げた中石真一路氏

biji (4)

株式会社ブレストの伊東昭典氏

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