05/13
2013
西郷南洲遺訓から
『人間がその知恵を働かせるということは、
国家や社会のためである。
だがそこには人間としての「道」がなければならない。
電信を設け、鉄道を敷き、蒸気仕掛けの機械を造る。
そういうことは、たしかに耳目を驚かせる。
しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、
といった必要の根本を見極めておかなければ、
いたずらに開発のための開発に追いまわされることになる。
まして、みだりに外国の盛大を羨んで、
利害損得を論じ、家屋の構造から玩具にいたるまで、
いちいち外国の真似をして、贅沢の風潮を生じさせ、
財産を浪費すれば、国力は疲弊してしまう。
それのみならず、人の心も軽薄に流れ、
結局は日本そのものが滅んでしまうだろう。』
(西郷南洲遺訓10条より)
先日、私は連休を使って九州は鹿児島へ行ってきた。
目的はというと、皆さんよくご存知の
“西郷隆盛翁”についてきちんと調べたかったからだ
(もちろんそれだけではないが…)。
明治維新の立役者である西郷隆盛氏(別名西郷南洲氏)。
私は、実際に西郷氏が最期を迎えたといわれる洞窟に行き、
その地域の人たちにもいろいろと話を聞いてきた。
そして、冒頭の「西郷南洲遺訓」へと辿り着いたというわけだ。
「西郷南洲遺訓」とは、西郷氏が西南戦争に決起するまで
その思想・哲学・言行を全41条にまとめたもの。
冒頭の文章はその中の一部である。
この部分で何を語っているのかというと、
利便性の追求や西洋の模倣に終始した、利害損得だけを考えての
企業活動は、本当の意味での財産の浪費であり、
国力は疲弊してしまうということだ。
あれ? この話、私の書籍『儲けないがいい』やブログ、
ここ数年セミナーで語り続けてきたことと
全く一緒ではないだろうか。
この遺訓が明治維新前後のものだとすれば、西郷氏はこのことを
約150年も前から語っていたということになる。
まさか西郷氏は、そんなにも早く
現代がこうなることを予測していたということだろうか。
今のような経済優先型のビジネスモデルは、
社会を乱し、国力を弱体化させ、しまいには人もダメにしてしまう。
西郷氏が語る「必要の根本を見極める力」が、
まさに今必要ということだ。
いや~、さすが西郷隆盛どん!
今もなお多くの人に尊敬されているのは、
日本を愛するがゆえのさまざまな決断をしてきたからだろう。
急速な国際化、効率優先の経済、
多くの不祥事など世情の乱れが目立ってきた今こそ、
西郷氏のような価値観を持ち、
これからのビジネスを見直すときなのだ。
もしかして西郷氏は未来人で、
私のブログや書籍を読んでいたのかも!? …なんて。