02/29
2016
“平生食堂”が繁盛する理由
「チャーハン」
(若い兄ちゃんがぶっきらぼうに…)
<店員>「5番さん、チャーハン。」
「チャーハン大盛りお願いします」
(ジャケットを着たオジさんが…)
<店員>「3番さんチャーハン大盛り」
「オレもチャーハン大盛りで!」
(普段着風のお兄さん)
今日は私の後から入って来た7人中、
5人がなんとチャーハンを注文。
とにかく、オーダーの半分以上が
チャーハンなのだ。
(まるで、チャーハン専門店の勢い!)
なぜか私はチャーハンではなく、
ラーメンなのだが…
(ここはチャーハンも美味しいが
普通のラーメンも美味しい)
この神楽坂にある中華食堂は、
この地にオープンして
40年くらいになると思うが、
ある意味ではしっかりブランディング
されていると言っていいだろう。
常連のお客様で十分繁盛しているお店なのだ。
先日などは、夜の10時半過ぎにチャーハンを
テイクアウトしようと思ったのだが…
店の外にもお客様がいるではないか!?
閉店間近でも行列のできる繁盛店なのだ。
なぜ、これほど繁盛するかだが…
さて、一応この中華食堂を
客観的な視点で紹介すると…
神楽坂の駅には近いが、
早稲田通りには面しておらず、
店に行くには急坂の路地を
下らなくてはならない。
店頭もビールのケースや
自転車が置いてあり、
あまりきれいとは言えない。
店内に入っても、昔ながらの
テーブルが並んでいて、
特にオシャレなところは何もない。
店員の方たちも、オープン当初からいた
ようなベテランのオバさんたちばかり。
(すみません、お世話になっているのに…)
メニューも10品以上はあるが、
限られたポピュラーなものばかりで、
中華の料理店が出す料理は
ほとんどないと言ってもいい。
(あ~餃子すらなかった)
席数はわずか28席なのだ。
どうだろう、店のイメージは描けただろうか。
少なくとも、これまでの紹介では、
これだけ繁盛する理由は
何も見えてこないと思うが…
具体的に繁盛度を紹介すると…
昼の11時から14時くらいのランチタイムと
呼ばれる時間帯だけでも、
5回転はしているという。
すなわち昼だけで約150人以上の
人たちがこの店を訪れている計算となる。
この神楽坂一帯のお店が羨ましく思う
ランチタイム5回転なのだ。
中島流の常連客計算では、
昼のお客様だけでも1,500人を超す
贔屓客がいるということになる。
すばらしい繁盛店と言っていいだろう。
え~先程の店の環境で、
どうしたら1,500人もの常連客が…と思うはず。
実はこの答えは、お客様の顔ぶれと顔つきにある。
ここには“平生(へいぜい)”があるのだ。
近所にはオシャレな
イタリアンもフレンチもある。
メニューもいろいろ揃っている
中華料理店だってある。
ところがここに来るお客様は、
緊張感もなく気負いもなく美味しそうに
普段着の食事を楽しんでいるのだ。
もちろん、食事代も普段着だし…
ということで、この中華食堂は、
店の姿から雰囲気、店員の対応、メニュー
そしてプライスまで全て
“平生”を演出しているのだ。
チャーハンもラーメンも
見た目は“平生”だが、
味は天下一品と言ってもいいかも。
そして、ご主人は厨房で汗を流しているし
奥様も店頭にときどき立っているし…
味以外は何から何まで“平生”なのだ。
あの手この手で非日常を提案してくれる
店舗が多い中で、平成の“平生食堂”は
逆にかけがえのない嬉しい食事処なのかもしれない。
でも、あのお店の主人が意識して“平生”を
演出しているとは思えないのだが…
さて、いつまでこの“平生”を
保ってくれるのだろうか?
ところで、この“平生”、
これからの時代のキーワードに
思えてならないのは私だけ!?