10/09
2018
武豊騎手4000勝の“馬優先主義”
あの武豊騎手が、JRAでは前人未到の
なんと4000勝を達成した。
これがどのくらいすごい記録かというと、
歴代勝利数2位の岡部騎手が2943勝なのだ。
もはや、今後も破られることはない
記録なのではないだろうか。
先日、その武騎手が4001勝を目指す
GⅠレースを中山競馬場で見てきたわけだが…
その武騎手が、達成のタイミングのインタビューで
こんなことを言っていた。
「多くの人に支えられ、多くの人、馬、競馬に
恵まれてここまでこられた」と。
さすがのコメントである。
この4000勝を祝うあるメディアの記事に…
レースで負けた後も最善を尽くす。
真夏の小倉では下級条件戦で着外になっても
ゆっくり歩いて引き揚げるという。
そしてこれに武騎手は
「これだけ暑いと馬も疲れるからねぇ~」
というコメントも掲載されていた。
ここに武騎手の仕事道が
凝縮されているのではないだろうか。
“馬優先主義”という、ホースマンとしての
ぶれない信念がにじみ出ているのだ。
競馬関係者も
「武騎手が乗ったあとは、馬が傷まない」
と口を揃えて証言しているという。
4000勝というアンタッチャブルレコードを
成し遂げることができたのは、
この信念を実践し続けたことにより
信頼され、応援されてきたからだろう。
目先の勝利だけに捉われず、
人や馬との関係性を構築していくことにより、
自らも成長し、ひいては競馬業界全体も
成長させてきたのではないだろうか。
常に今ではなく先を考えて対応すること。
それは、ビジネスにおいても同様だ。
「木を見て森を見ず」という言葉があるが、
目先の利益に固執せずに
ロングレンジで物事を考えることが
のちの成功につながるということ。
私が最近よく口にしている
“キャリアディベロップメント”についても
同じ考えが根幹となっている。
スタッフのその先のキャリアをどう育んでいくかを、
上の者が意識してマネジメントしていくべきだということ。
育成のプロセスは目先の利益にならないかもしれないが、
長期的に考えると会社の成長には欠かせない。
点でなく線で考えていくことが、
ビジネスでは必要不可欠なのだ。
武騎手も、同様の考えで周囲の人や馬と
関係を築いてきたのではないだろうか。
武豊流の“仕事道”を競馬業界で実践し続け、
この金字塔を打ち立てるに至ったのだ。
私たちが仕事人として在り続けるために、
「武豊騎手4000勝の“馬優先主義”」から
学ぶべき部分がたくさんあるのでは
ないだろうか。