これからの選ばれるビジネス!

これからの選ばれるビジネス!中島セイジのビジネスの達人

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11/13
2023

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“人間にしかできないこと”を敢えて選択! 主婦の店“さいち”の繁盛の理由

ある日、その店の社長と専務は、お店を閉め片付けが終わった後、
今日あったお客さまからのクレームについて
お店の奥の部屋で夜遅くまで話し合いをしていた。

(専務)「今日来たお客さまから、昨日買った“きんぴら牛蒡”がいつもより
しょっぱかったと言われたの。
一応、当日の惣菜担当のスタッフに確認してみると、
“レシピ通りに調理した”というのよ。
レシピ通りに作ったと言われちゃうとねぇ~、修正の仕方がないし…」

(社長)「とはいえ、何らかの対処をしないことには、また同じような
クレームが来ることにもなるしなぁ~」

その社長(夫)と専務(奥様)の話し合いは深夜まで続いた。
そしてその会議の結論は…
これまで作り上げてきた約300種類にも及ぶお惣菜のレシピを
このクレームを機に破棄することに至ったという。
(ひゃ~、スゴい決断!)

これ以降のお惣菜作りは、それぞれの担当者の五感と記憶での展開となった。
だから新たなお惣菜担当を増やすときには、多くの時間が必要になったという。
とはいえ、季節や使う素材によってそのレシピは変わり、
より評判のいいお惣菜コーナーとなり、
“さいち”ファンが増えることにもつながったわけだ。

“主婦の店・さいち”と謳っていることもあり、
“さいち”は主婦にとって心強い味方であることをコンセプトに
常に美味しいお惣菜を作り続けることが存在理由となっている。

実は秋保(あきう)温泉街を訪問しこの話をお聞きしてから、
もう20年くらい経つのかもしれない。
ある月刊の経営者向け情報誌の制作をしていた頃のこと。
お陰さまでいい出会いがたくさんもらえたわけだ。

【会長は今朝も、大人気のおはぎを棚一杯に並べていたという】
先日久々に、主婦の店“さいち”に行く機会をもらった。
今回は仕事ではなかったわけだが…
車を第4駐車場に停めお店に向かった際、
ウィークデイだというのにあの“さいち銀座通り”、
すなわちお惣菜通路はお客さまでいっぱい。

さすが「秋保おはぎ」の“さいち”として有名な
全国区のスーパーマーケットである。
なんとおはぎは、1日平均5,000個売るという。
コンビニほどの広さなのに年間7~8億円売ると言われている
主婦に大人気の繁盛店スーパーマーケットなのだ。

数年ぶりだったので、次なるおはぎを並べようとしている係の人に
コソッと「会長(当時の社長)は元気?!」と聞いてみたわけだが、
「毎日朝一で、おはぎを最初にこれらの棚いっぱいに並べるのは、会長です。
今日も会長が綺麗に並べてましたよ」と報告してくれた。
(よかった、よかった!)

もう90歳に近いと思うのだが、とにかく元気だという報告が聞けて嬉しかった。
いつも来るときは、取材か経営者仲間を連れての訪問だったので、
会長には毎回声をかけお会いしていたのだ。

【“さいち”は、早くから“人間にしかできないこと”に照準を当てていた?!】
このところジェネレーティブAIの出現により、
「ジェネレーティブAIが有能なツールになればなるほど、
そして合理性に優れているAIが浸透すればするほど、
人間にしかできない事をすることこそが、人間の仕事になってくる」
とビジ達でも発信してきた。

もしかしたらこの“さいち”のお惣菜のレシピづくりも、
AIに頼ればかなり活躍してくれることは間違いないだろう。
ところが人は、季節によっても天候によっても、求める“美味しい”が
変わってくると聞いたことがある。

もちろんお惣菜の素材も季節や畑によって変わってくるわけで、
これらへの対応が“人間にしかできないこと”なのかもしれないのだ。
手間のかかる“人間にしかできないこと”を敢えて選択したことが、
この“さいち”の繁盛に大きく貢献していることは間違いないようだ。

先の『ナスルディンのカギ』もそうだが、手元が明るく楽に探せるところには
次なるステージへのカギはないということ。
やっぱりそれなりの覚悟と決断が必要なのは間違いない。
いまだに秋保温泉街の“さいち”は、次なる時代の対処の仕方までも
私たちに教えてくれている。

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宮城県仙台市にある“主婦の店・さいち”

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大人気の繁盛店

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2016年訪問時の会長(当時の社長)

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目からウロコのおすすめ本

11/13
2023

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『行動経済学は最強の学問である』Part 3 “情報オーバーロード”の脅威とは?

あなたは一日に何通のメールを受信している?
私はウィークデイでだいたい80〜90通くらい。
これらのメールを確認チェックするだけでも、
日々結構時間を取られているわけだ。

あなたはその着信メールを一日何回チェックしているだろうか。
専門知識を基に知的労働をする“ナレッジワーカー”は、
少なくとも一日に50回はメールをチェックしているというのだ。
こんなことをしていては集中力が途切れ、生産性が落ちるのは当然。
もちろんそんなことは分かっているのに、ついつい何回もメールボックスを
開いてしまうという。

“タイパ”すなわち“タイムパフォーマンス”が叫ばれるなか、
当然、誰もが時間効率を上げたいわけだが…

【“情報オーバーロード”にどう対処するのか?!】
タイパ時代、集中力を高めて限られた時間を有効に使いたい、
そして的確な意思決定をしたいというのは誰もの願い。
ところがなかなか集中できない状況に身を置いているのが実際。

そこで行動経済学における「情報オーバーロード(Information Overload)」。
すなわち、多過ぎる情報のせいで人が非合理な行動をしてしまうこと。
いかに私たちは、この情報化社会による多過ぎる情報に
踊らされているかである。

そこでユーザーに“情報オーバーロード”とさせないために…
Amazonは、ユーザーのデータを蓄積しアルゴリズムを使って
“おすすめ商品”を出している。

TikTokは、アプリを開いた瞬間におすすめ動画が流れてくる。
Netflixも同様で、アプリを開くと必ずおすすめが流れてくる。
YouTubeもあなたの好みのサムネがたくさん写し出されているはず。
世界のプラットフォーマーたちはさすがである。

ここまでは相手が選択しやすくなるための行動経済学の視点だったのだが、
私たちのビジネスシーンにおいても、
無数の選択肢に迫られることが多くある。
すべての選択肢を検討し熟考した上で決定したいところだが、
なかなかそんな時間の余裕もないし、選択するための知識もないのが実際。

【私たちはどうすれば“選択オーバーロード”を避けられるのか?!】
スティーブ・ジョブズが黒いタートルネックだけを着ていたのは有名。
服を選ぶ時間も、画期性ある商品開発にあてたかったのだろう。
オバマ元大統領も“スーツは3着しか持ってない”と聞いたことがある。
マーク・ザッカーバーグもそのほとんどがグレーまたは紺のTシャツか
それにジャケット。

彼らは服を選ぶ時間をもっと生産性のある意味ある時間に
使いたかったのだろう。
ということは、“そもそも選ばないようにする”というのは一つの方法。

ちなみに、行動経済学ではこのことを“情報オーバーロード”ではなく
“選択オーバーロード”にならないためにと言っているようだ。

実は私も、黒いパンツに黒のジャケット、黒い靴下は定番。
日々変えるのはワイシャツとネクタイだけ。
仕事柄もあり人前に立つことも多いので、ある程度のファッションセンスは
求められることから、ワイシャツも襟が小さいタイプと決め、
自ずとネクタイもスリムなタイプとしている。

これだけでも、服を買うときもコーディネートをするときも
それほどの時間を要さないわけだ。

そういえばクルマを持たない、ゴルフもしないという明確な意志を持つことも、
選択にも時間をかけず、そこにかかる時間を他の重要なことに使えることに。
“そもそも選ばないようにする”ということは、
さまざまな面であらかじめ自分ルールを明確に決めておくことなのだ。

経営者は特に、この変化の時代はクリティカルな意思決定を
多くしなければならないわけで、“選択オーバーロード”になってる暇はない。
もっともっと新たな時代の“選ばれるビジネス”を探り出し、
どう創り上げていくのかに時間を割かなければ…

あーもしかしたら、例のジェネレーティブAIが大量のデータを学習して、
これら“情報オーバーロード”や“選択オーバーロード”から
私たちを救ってくれるということなのか?!

ふむふむ、令和のすべてが加速するオーバーロード時代には、
DXを駆使してAIをどう使いこなすかということが
次なるビジネスステージへの近道なのかもしれないのだ。

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“情報オーバーロード”の対処法をご紹介

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