
08/18
2025

鍵山秀三郎相談役が求めた “人間力醸成”へのメッセージ!
今年の1月に逝去された
イエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏の
この8月のある日の“一日一話”。
(広島に原子爆弾が投下された日)
『読んだ本の一節をご紹介します。
「人間には能力と人柄と二つの面がある。
現代は能力を高めるほうばかりに目がいってしまい、
そのための学ぶ機会はたくさんある。
ところが現代人は、能力ばかり高くなって、
人柄や人間性、人格が伴っていない。
まるで、エンジンとボディだけで、
ハンドルとブレーキがついていない自動車のようなものだ」
人が凶器になるという警告です。』
(鍵山秀三郎著『凡事徹底』「一日一話」PHP研究所刊)
我らが“掃除に学ぶ会”の鍵山秀三郎相談役の言葉は、
私たち“掃除に学ぶ会”はもちろん、
現代社会に向けても多くの示唆を与えてくれる。
鍵山相談役は、能力と人柄のバランスの重要性を説き、
現代人が能力を追い求める一方で、
人間性が置き去りにされている状況を危惧していた。
能力の向上に多くの時間と資源が投じられ、
多くの新たなテクノロジーが生み出されているが、
人柄や人格形成に対する取り組みが不足していることを
指摘していたのだ。
AIや自動運転、IoTなどの技術革新は、
確かに私たちの日常生活を便利にし、経済の発展を促している。
しかし、それらテクノロジーをどのように
社会に意味のある活用とするかは、
私たち人間の資質にかかっているということ。
もしかしたら、これらの技術が軍事産業であり、
さまざまな地球上でのいざこざに
多く活用されていることにも危惧していたのだろう。
【日本人が有していた高い精神性が失われてきた!】
先にこのビジ達で紹介した“鍵山教師塾”での相談役の話。
「“智”の不足は“情”で補えるが、
“情”の不足は“智”では補うことができない」に通じる。
「半世紀前までの日本人は
“情“によって自分自身を制御していたために
穏やかな社会が保たれていました。
“情“のチカラが“智”の劣っているところを補っていたのです。
戦争によって国土が焼け野原になるという未曾有の惨事に
見舞われたにも拘らず、世相は今より落ち着いていました。
その後、経済的な国力が増加するにつれて
教育の場と機会が豊かになり高学歴の人が多くなりました。
しかし、“智”の面は向上しましたが、それに反比例して
“情”の面が衰退していったのです。
学歴は高くなり“智”の面は著しく向上したのに、
総合力である「人間力」は低下したのです。
「人間力」とは、“智”と“情”の総和ですので、
“情”の面が退化すれば人間力という総和力は低下します。
“情”とは周囲の人に気を配り思いやる心です。
“智”の不足は“情”で補えますが、
“情”の不足は“智”では補うことができないのです」
鍵山相談役の言葉から学べるのは、
新たなテクノロジーの発展だけでなく、
その運用に必要な道徳心や倫理観の醸成には
“智”と“情”の総和である「人間力」が不可欠ということ。
それは、個人だけでなく、組織や社会全体として
取り組むべき課題であり、教育現場でも、
知識やスキルの習得と同時に、人としての在り方や
他者への思いやりを学ぶ機会を
増やしていくことが求められているということ。
まず私たちにできることとして、“トイレ掃除”に限らず、
さまざまな公共の場での掃除に取り組むことが、
私たちの“人間力の醸成”に役立ってくれるということだろう!