06/03
2013
士魂の覚悟
「じゃぶじゃぶ使え」
そう繰り返しおっしゃっていたのは、
あの「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」で話題沸騰中の坂本孝氏。
実は先日、私が主催するαクラブ定例セミナーに
ゲスト講師としてご講演いただいたのだ。
この「じゃぶじゃぶ使え」とは、
「原材料費を気にせず、じゃぶじゃぶ使え」ということ。
提供する料理の原価率は60%を超え、
中には85%に達する料理もあるというから驚きだ。
「俺の」シリーズが人気なのは、
一流の食材を使って一流の料理人が作る料理を、
立ち食いスタイルによって回転数を上げることで
驚くほど安く提供しているからだ。
料理の質に妥協を許さない一流思考と、安価で提供するための工夫。
その信念を貫く“覚悟”が、お客さまの満足度を醸成し、
結果として集客に結びついているのだろう。
そんな話を伺った後日、私は坂本氏が展開する
新たな「俺の」シリーズ、「俺の割烹」に足を運んだ。
すると、なんとレジの横に、“じゃぶじゃぶ”と
毛筆で書かれた額が飾ってあるではないか!
まさか飾られているとは思わなかったので正直驚いたが、
お客さまも従業員もよく見える場所に飾られた
その“じゃぶじゃぶ”からは、
やはり坂本氏の確固たる“覚悟”が感じられた。
さて、このところよくビジ達でもご紹介させていただいている、
現在の出光興産の創業者・出光佐三氏も
まさに確固たる“覚悟”を持っていた方。
当時の出光商会は、日本が戦争に負けたことで
海外の店舗は締めざるを得なくなり、
多くの店員が仕事に就けない状態であった。
さらに、国内でも販売する商品(石油)が尽き、経営危機に陥っていた。
しかし、断固として馘首(かくしゅ)をしなかった出光氏。
それは、社員を家族のように思い、
“人間尊重”の精神を重んじていたからに他ならない。
いくら経営危機に陥っても、
「店員は財産だ。絶対に馘首はしない」という信念を貫く
“覚悟”があったからこそ、その後の店員たちの活躍と
会社の成果につながったのだろう。
また、イエローハットの創業者であり、
日本を美しくする会の相談役を務める鍵山秀三郎氏も、
「徹底する」という“覚悟”を持って掃除を継続してきた。
掃除は徹底し、そして継続して行わなければ、
様々な「気づき」を得ることはできない、という
信念に基づいた“覚悟”である。
この“覚悟”が様々な気づきを生み、
また多くの人々の心を動かしてきた。
今まさに、時代は過渡期を迎えようとしている。
これからの時代、この徹底した“覚悟”こそが、
ビジネスで成果を上げるため、そして社会から評価を得るための
重要なキーワードになるのではないだろうか。
これを中島流に“士魂の覚悟”と呼ぶことにしよう。
揺るがない、武士の魂を持った“覚悟”ということだ。