06/23
2014
“糠釘(ぬかくぎ)の流儀”
なんの手応えも無く効き目が無く無駄な事を
“糠に釘”と言う。
この言葉は、通常あまり良いことに
使われないことが多いだろう。
ところが、そんな“糠に釘”な行為も
徹底的に続けると、新しい効果や発見を
生むことにつながることを確信した。
先週、リーダーズセミナーの
レポートの中で紹介したガードレール磨き。
そこでもいくらか語ったが、
ほとんどの人がガードレールは
掃除の対象ではないと思ってきた。
なにしろ、やってもやっても終わらない
作業に思えてならないのだから。
ところが…しっかり磨いてみると、
本当に白く綺麗になっていく。
確かにガードレールの量は、
日本だけでも地球数周分、
いや、数十周分あるかもしれないが、
その時磨いた50メートル程の
ガードレールは美しく復活した。
日本を美しくする会の鍵山相談役は、
50年前に1人で掃除を取り組んだ。
1人でできる掃除の量は知れたもので、
一見すると糠に釘のような行為ともいえる。
ところが、10年続けたところで、
1人2人と鍵山相談役を手伝う人たちが
現れはじめたという。
そして30年経った頃には、
経営者たちが集まり“掃除の会”
が立ち上がり、50年経った今では
支局を含め全国に
125ヵ所の会の規模となったのだ。
まさに“糠に釘”だった鍵山相談役の
取り組みは、今や日本中に拡大して
いったのだ(海外もだけど…)。
また、鍵山相談役がよく口にする
言葉に「1人の100歩より、100人の1歩」
というものがある。
1人の1歩は一見知れているが、
100人の1歩の方が相乗効果があると、
糠に釘であっても、
徹底的に掃除をするということは、
人の心を動かす相乗効果を生むのだ。
なぜなら、その姿は、
人に影響を与えることができるし、
その人自身にもいろいろと
意味ある変化がでてくる。
つまり、掃除をやり続けることは
いろいろな“浄化”作用が期待できる。
物理的な面はもちろんだが、
特に精神面の浄化の効果が大きい。
もしかしてこれが“良知の発現”!?
良知とは、何かをやり続けたことで
潜在的に持っていたものを引き出し、
新しい人間性を芽生えさせること、
つまり浄化の先にある状態のことだ。
私は、拙著でこの発現のことを
「石炭からダイヤモンド」と言っていた。
微底継続することで化学変化のような
ことが起き、同じ炭素であっても
価値あるものへと変化するのだ。
これは、ビジネスにおいても同様だ。
“糠に釘”のようなことも、
微底継続することで何かが起きるのだ。
そうすることで、1人、また1人と
自分のビジネスに賛同、
協力してくれる人が出てくるに違いない。
そして、最終的には協力者との相乗効果で、
より良いビジネスへと
展開していくことができるだろう。