11/10
2014
「人間万事塞翁が馬」
先日、ある情報誌に画業40周年を迎えた
弘兼憲史氏の座右の銘として、
「人間万事塞翁が馬」ということわざが
紹介されていた。
ところで、このことわざを
正確に読める人はどれだけいるだろう。
私は何も疑わず
“にんげんばんじさいおうがうま”と
読んでいたのだが、
これは“じんかんばんじさいおうがうま”と読むのだ。
中国の北の方に住んでいた、
占い上手な老人に由来する言葉だ。
その老人は馬を逃がしてしまった(=禍)のだが、
彼は残念がる様子も見せず、
「このことが幸福にならないとも限らない」と言った。
そして実際、
その馬は後に良馬の群を引き連れ戻ってきた(=福)。
しかし、良馬に乗った老人の息子が
落馬をして足を骨折してしまう(=禍)。
それ自体は不幸な出来事だったが、
怪我をしたことで戦争に行かなくて済み、
結果的に生きながらえたという(=福)。
つまり、人生における幸不幸は、予測がしづらく、
災いがいつ幸福に転じるかもわからないのだ。
この30年間を振り返ってみれば、
私もまさに似たような体験をしていた。
1つ目は、私が今の会社を起業して間もない頃。
以前働いていた会社から身に覚えのないことで
賠償請求された。
しかしここで、“裁判”というものを知ったおかげで、
その後の人生や仕事に役立つ勉強ができた。
2つ目は、とある案件で弊社の安易な行動が
大きなトラブルへと発展し、
結果として売上の3分の1を占める
定期の仕事を失ってしまったこと。
しかしここでも、なんとか売上を戻そうと、
新たな仕事にチャレンジしたことで、
結果的に仕事の幅が広がった。
そして、3つ目はリーマンショックによる影響で
売上が前年の65%にまで落ちてしまったこと。
これは、コストの見直しや仕事の取り組み方など、
社内の良くない部分を洗い出す
“体質改善”につなげることができた。
こうしてみると、やはりビジネスにおいても
「人間万事塞翁が馬」なのだ。
“禍”は必ずどこかからやってくるし、
そのタイミングを予測することはできない。
しかし、やってきた“禍”に対して
どう対応するかを決めることはできる。
ビジネスにおいては、それがその後の“福”を決めるのだ。
とにかく、困難にあたった時にも、
諦めずに思考し、チャレンジすることが、
福につながるに違いない。