10/02
2017
弘兼憲史流、知行合一
時は2030年。
階段から落ちてケガをした主人公を
介護するのは、なんと最先端のAIを搭載したアンドロイド!
・・・という物語の漫画を描いているのが、
あの、弘兼憲史先生だ。
ビッグコミックで連載されている短編集、
『黄昏流星群』に掲載されている物語である。
ここで内容を少しご紹介しよう。
主人公は60歳の女性。
誤って階段を踏み外したことから物語は始まり、
危機的状況ではないが、車いすと介護人が
必要な体になってしまう。
そこで医者の息子が介護用アンドロイドを
プレゼントするのだが、
「どうせならアラン・ドロン似のアンドロイドがいい」
という彼女の希望により、アラン・ドロン似のアンドロイド
との奇妙な共同生活が始まる・・・というストーリー。
自分好みのアンドロイドであるが故に、
物語は怪しい方向へと流れていくんだよねぇ~。
(このちょっとしたエロチックが、弘兼先生たるところ)
この物語の中にはビジ達で何度も取り上げた
“ディープラーニング”というキーワードも
出てきて、これまた驚き!
近未来である2030年の漫画を描くには、
医療的な知識も含めAIでありディープラーニング
のことなどもきちんと学ばなければならないのだ。
弘兼先生の素晴らしいところは、
今注目されている社会問題や、世界でテーマとして
扱われる諸問題に関係した物語を描いていることだ。
ここに、弘兼流の考え方がある。
彼が以前出版した、
『60歳から人生を愉しむ43の方法』
という本に書かれていた
「先人に学び、後人に伝える」や
「学ぼうという気持ちが若さを保つ」という言葉。
これを読んで私が思い至ったのが、
まさにこの考え方こそ、王陽明の“知行合一”の
考え方に一致するのではないか!? ということ。
弘兼先生は、得た知識をただ持っているだけでなく
漫画というツールから能動的に発信している。
これが“先人に学び後人に伝える”の実践であり、
“知行合一”ということなのだ。
弘兼先生はモーニング、イブニング、
ビッグコミックオリジナルと今もいくつもの
連載を持ちバリバリ現役で活躍している。
さらには、私よりだいぶ先輩で
もう70歳だというのにこの勉強魂・・・
本当に恐れ入るばかりだ。