12/12
2016
パラダイムシフトの行方
最近、「予想外の結果」が
あちこちで起こっていると気付いているだろうか?
たとえばイギリスのEU離脱騒動。
まさかと思われたが、国民投票で過半数を超えてしまった。
さらに衝撃的だったのは、アメリカ大統領選挙でのトランプ氏当選。
そして、日本国内でいえば、アニメーション映画『君の名は。』が
興行収入200億円を突破し、邦画歴代2位となった。
今までアニメーション作品は
ジブリが上位を独占していたことを思えば、
映画を観る人々に何らかの変化が起きているのだと考えられる。
実はこれ、価値観に変化が現れてきた証なのだ。
私がたびたび声高に発信している、
「パラダイムシフト75」の過渡期が来ているということ。
やっぱり、「時代の価値観は75年周期で大きく変わる」のだ。
今がちょうどその変わり目ということで、
冒頭で挙げたようなことが起こっている。
このパラダイムシフトは、当然ビジネスでも進んでいる。
では、ビジネスではどんな価値観の変化が起きているのか!?
一昔前は「安い早いうまい」であり、
便利で経済的なことが評価される価値観だったが、
今はかなり変わってきている。
たとえば、私がビジ達でたびたび取り上げている
長崎ちゃんぽんのリンガーハット。
安全でおいしい国産野菜を強調しているが、そのお値段は630円。
5年ほど前は390円だったのだが、
これだけ値上がりしても多くの人が選んでくれている。
また、雑誌『自遊人』の編集長、岩佐十良氏が経営する里山十帖は、
全12部屋の小さな宿ながら毎日満員御礼。
もちろん新潟県南魚沼市でおいしいお米もつくり、
食材はオーガニックにこだわり、
旅館自体のストーリー展開も上手いわけだが…。
さらに埼玉県のラーメン店「津気屋」も、
オリジナルの麺の味や店内外の演出、
食べ方などに独特の価値を持たせ、連日客足が途絶えない。
このように、現在は「価値づくり」を大切にし、
伝える努力をしている企業が選ばれているのだ。
ただ、価値づくりといっても「value(バリュー)」と
「worth(ワース)」では意味が変わってくる。
バリューとは、他と比較して価値があるかどうかという意味があり、
「お値打価格」として使われる言葉。
一方でワースは、本質的で不変の価値という意味があり、
ビジネスでの「付加価値」などに使われるもの。
なぜリンガーハットや里山十帖が選ばれているのかといえば、
これらはすべて「ワース」の価値をつくり上げているからだ。
つまり、パラダイムシフトの行方はここにある。
これからのビジネスは、どうやって
「なればこそ」の付加価値をつくり、
それをどのようにコミュニケーションしていくのかということ。
多くの生活者は価値を求めてお金を使い、
その価値で選ぶ時代になったのだ。